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コラム(2026/09/15)
世界最多の人口をかかえる国、インド。2023年半ばに中国を抜き、外務省では2024年のデータとして総人口およそ14億5049万人と発表している。それまで世界一だった中国が少子高齢化と人口減少が進むなか、インドでは若い世代が多い。平均年齢も28~29歳前後と”若さ”が圧倒的に目立っており、これが人口増加の加速にも繋がったと考えられる。そのインドにおける自動車市場は現在世界3位。アメリカや中国に迫る勢いだ。当然ながら日本の自動車メーカーが目をつけないはずがない。同国で圧倒的なシェアを誇るスズキ、そして他のメーカーも構想をねっている。

・スズキは40%のシェア
現在、インドで圧倒的なシェアを握っているのはスズキ。およそ40%のシェアだという。もともと日本の自動車メーカーとしては早くから参画。1982年にインド国営との合弁会社を設立し、進出している。軽自動車製造という強みを活かし、安価で耐久性が高く、現地の中間層のニーズに合わせたクルマ作りに注力。コンパうとカーや小型車の販売で足元をがっちりと固めた。その結果、同社における売上高のうち、およそ4割を稼ぎ出している。

現地の合弁会社「マルチ・スズキ・インディア」では、今後まだまだ伸びる市場を想定し、その状況を見ながら適切なタイミングで400万台体制を目指すというビジョンを持っている。まず、地域の特性に合わせた販売チャンネルを展開し、全国各地にネットワークを拡大する方向だという。昨年9月には、インド政府が物品・サービス税(GST)の大幅な税率改正を実施。これを受け、自動車販売においては大幅な値ごろ感の改善に繋がり、販売台数の急拡大がいつ減した。とりわけ、対象となる排気量1200cc以下、全長4000mm以下のガソリン車等が記録的な購買ブームを巻き起こし、スズキとしては販売数がおよそ39%増という追い風にもなった。そのなかには、オートバイからのステップアップ_つまり乗り換えもあり、生涯初の自動車購入となった客層も多かったようだ。

インドでは、乗用車市場におけるSUVの人気も伸びているようだ。スズキがラインナップする販売車両の構成比の推移もじわじわとSUVが伸びており、SUV市場シェアは2025年4月から2026年2月は19.6%で、前期の16.8%より上昇している形だ。

・国内販売だけに留まらない
マルチ・スズキ・インディアが製造し、販売しているのはインド国内に限らない。インドで生産したクルマの5台に1台、およそ45万台は現在中東やアフリカに輸出している。つまり、同社にとってインドの現地工場は、世界最大の生産・輸出を行なう”心臓部”でもある。

今年7月にはインド・デリー市において開催された「日印合同経済フォーラム」の場で、マルチ・スズキ・インディアがハリヤナ州カルコダに新設した4輪工場の開所式を執り行った。日本の高市首相の訪印にあわせてイベントを実施、当日は高市首相やモディ首相をはじめ両国政府関係者らが列席。日本のスズキ、マルチ・スズキ・インディアからも両社長が出席し、アピールした。

2030年度の目標に掲げる同国での400万台規模の生産体制が実現すると、日本国内で100万台規模の生産体制をもつ同社としては、とてつもない生産体制をインド国内に抱えることになる。となれば、両国の首相が経済フォーラムの会場に姿を見せても何ら不思議はないということだ。

・成長軌道にのる経済を見据え、他の自動車メーカーは?
輸入関税の引き下げはじめ、国営企業の民営化や外資規制の緩和など、インド国内の経済は、今や平均で年7%ほどの成長を続けているという。人口の多さから経済大国になる日もそう遠くはない。かつて中国で見られた勢いが、次はインドに訪れるという形だろう。

また、前述のように中国との比較でいうと、インドは人口構成に大きな特徴が見られる。少子高齢化の中国とは異なり、インドの人口ピラミッドは釣鐘型。若い人口が圧倒的に多い。中国と比較しても平均年齢はおよそ10歳若い、29歳。つまり、豊富な労働力が強みとなり経済発展へと繋がってくる。モノが必要になるため、製造業の隆盛も言わずもがな。消費力が増大することにより、好循環が続いていく。

スズキでは、いち早くインドに根を下ろして同国の自動車需要を担ってきた。小型車を得意とする同社としては、願ったり叶ったりの”お相手”だった。この先は小型車から次の車格に買い替えることを意識した戦略を立てる必要が出てくるはず。それを見据え、またガソリンやディーゼルエンジンに変わる車両_つまり電気自動車(EV)の参入も見られるようになっている。

現地では、日系のスタートアップ企業が工場を構え、EV製造に取り組んでいる。目をつけているのは、自動車を購入する”一歩手前”の消費者だ。手軽に移動できる手段としてEVの三輪車製造にたどり着いた。これなら搭載する電池も小容量のもので済む。現在、販売中のEV三輪車は現地価格で30万円ほど。低所得者層はこれでもまだハードルが高いため、現地の金融機関と組んでローンサービスも提供しているという。購入者は手にしたEV三輪車を仕事の”アシ”にして収入増に繋げることができる。一方、販売側としてはローン返済後はアップグレードの車両購入へと誘導することも視野に入れる。”ウィン・ウィン”となるその狙いは当たり、開業から11年経った今では、年間で1万台を超えるビジネスへと成長しているのだという。

経済成長を追い風に、中間層予備軍の自動車消費も身近になりつつあるインド。スズキをはじめとする国内の自動車メーカー、そしてスタートアップの日系企業だけでなく、EVで奮闘する中国や韓国の自動車(EV)メーカーもインドをターゲットにさらなる”仕掛け”を行なうことになりそうだ。

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