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コラム(2026/07/14)
とりわけ危険を伴う悪質な運転行為に対し、処罰する「危険運転致死傷罪」の要件に、数値基準を導入する改正自動車運転死傷罪罰法が今月21日に施行されることが決まった。先月25日、衆議院本会議において全会一致で可決されたものが成立する。これを受け、危険運転の適用要件がより明確になるという。

・基準に違反すると、原則一律で適用対象に
新たに施行される「危険運転致死傷罪」が適用された場合、最高刑は拘禁刑(2025年から新たに導入されたもので、受刑者を刑務所に収容する刑罰。「懲役刑」と「禁錮刑」を一本化した新しい制度)20年となる。これは、過失運転致死傷罪の拘禁刑7年よりはるかに重いものとなる。

危険運転と聞いて、イメージしやすいのは「スピード超過」だと思うが、最高速度が時速60km以下の道路の場合は時速50km超過、時速60km以上の道路であれば、時速60km以上の超過が「高速度の運転」に該当することになる。さらに、注意が必要なのは、今年9月から、日常生活で使われる「生活道路」の最高速度がこれまでの時速60kmから時速30kmに引き下げされるため、時速80km以上で生活道路を走った場合、速度超過の危険運転が適用される可能性が出てくる。とりわけ、深夜などに信号がなく、ほとんど人通りもないような生活道路を超加速度で走った場合は、大きなリスクを伴うことになる。

さらに、改正法では数値基準に加えて「重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度」という要件も設けられた。これはどういう状況が対象となるのか。たとえば、基準値を時速10km下回って運転していても多くの児童が通学途中であるとか、冬場に凍結した路面を走行している場合が当てはまるとしている。

一方、”厳禁”が基本の飲酒運転はどうか。こちらは、吸気1リットルあたりのアルコール度濃度が「0.5ミリ以上」が基準値となる。しかしながら、アルコールの耐性には個人差があるため、現行法の規定により「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」と判断された場合は、十分に対象となることを覚えておいてほしい。また、意図的にタイヤを滑らせるなど制御困難なドリフト走行やオートバイでのウィリー走行も新たに対象となっている。

・基準の明確化の背景にあるもの
高速度、飲酒、ドリフトなどの危険な走行が原因となって発生する事故は、今のなお後を絶たない。これまで交通事故で身内を失うという悲しい思いをしてきた被害者遺族らは、新たに施行される「危険運転致死傷罪」の適用を”大きな前進”と受け止めていると各報道は伝えている。

現行法では「制御困難な高速度」、「正常な運転が困難な状態」といった抽象的な表現が用いられていたため、例えば、時速194kmの死亡事故でも危険運転とは認められなかったり、同程度の飲酒でも判断が分かれるケースがあったという。つまり、これまで判断基準の曖昧さに無念の涙を流してきた遺族も多いはずだ。

その批判から見直しを求める声が強まり、今回の施行へと繋がったのだが、数値化することで、司法判断のバラつきが縮小するのは歓迎すべき点であろう。そして、ステアリングを握る運転手に対しての抑止力も強くなる。具体的な数値を把握することで、より意識した運転に誘導しやすくなるはずだ。

その一方で「グレーゾーン」は依然として残るだろう。それが危険運転と過失運転の違いではないだろうか。過失運転とは、一般的な交通事故に対して広く適用される規定。運転中の注意怠慢によって発生する事故がその対象であり、軽いものであれば前方不注意や安全不確認、あるいはハンドル操作ミスなど、”つい、うっかり”がもとで起こる交通事故がこれに該当する。”うっかり”とはいえ、被害者や遺族にとっては大事な命にかかわる事故であることに何ら違いはない。「故意に危険な状況を作り出そうとする積極的な意思が存在しない」ということで、過失運転致死傷罪になるのだから、良心のない加害者は保身のために危険運転の意思はなかったと反論する可能性も否めない。

誰の得にもならず、関わる人みんながつらく、悲しい思いをする危険運転を少しでも減らすため、まずはハンドルキーパーのひとりひとりが高い意識を持ちながら運転を心がける必要があるといえる。

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