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コラム(2026/06/26)
6月21日、スイスにおいてアメリカとイランが戦闘終結に向けて「60日間で包括的な合意を目指す覚書」を締結した。ようやく両国が初めて直接的に協議を実施したことになる。これに合わせ、現在は多くの仲介国が関与するなか、まだ両国による駆け引きも多く最終的な合意に至るまで時間を要するだろうが、そのなかで気になるのがホルムズ海峡における航行。日本では、依然として原油確保で大きな影響を受けているだけに、いつになれば安定した供給が可能になるのか。

・ホルムズ海峡の現状
スイス中部に位置するビュルゲンシュトックにおいて協議を設けたアメリカとイラン。最新の報道として最終合意に向けた実務者協議が今月末30日に行なわれると伝わる。今回は、原子力エネルギーの専門家らが参加する「技術レベルの協議」だと言われており、アメリカとイランにおける協議の最重要課題のひとつであるイランの核問題を巡る議論が本格化する可能性があるようだ。

覚書の草案に基づき両国の”言い分”がどこまで通用するのか、合意への道は決して一筋縄ではいかないと思われる。なかでも、アメリカが懸念するホルムズ海峡の通航については、協議後の24日にトランプ大統領自らが、SNSで「イランは米国に対し、通航料や保険料などいかなる料金も徴収しないと伝えた」と投稿しており、もし、これが虚偽であれば交渉が直ちに終了するという警告も行なっている。これは、戦闘中、イランは実質的な通航料にあたる”サービス料”を徴収する意向を示しており、それに対する牽制球でもあると思われる。まさに、神経戦とも言える。

そんななか、25日にはホルムズ海峡内にいた1隻の船舶が正体不明の飛翔体による攻撃を受けたと報道された。暫定和平に合意して以来、初の攻撃とあって震撼する事態となったが、運行再開を待ちわびる関係国にとってはさらに不安が膨らむことに。攻撃後、一旦、戦闘開始前の水準まで戻っていた原油価格にも影響し、一気に上昇。今後の動向が注視されている。もっとも、現時点でホルムズ海峡における船舶は運航が続いているという。しかしながら、イランがホルムズ海峡の通航管理のために「ペルシャ湾海峡庁(PGSA)」なるものを設置しており、この枠組み以外での通航については、保険や安全通航の保証の対象外であると表明しているため、なんとも悩ましい事態となっている。実際、大型タンカーが途中で引き返すケースも見受けられているといい、まだまだ予断を許さない形であることが露呈したといえる。

・海峡の通航停止による影響
ここで、ホルムズ海峡封鎖以降、日本国内で起きた大小さまざまな”異変”を振り返ってみたい。ガソリン代が急騰したのは言わずもがな。これまで名前すら認知していたなかった製品の原材料であるナフサが不足し、プラスチック製品の確保が難航。日用品の物価も高騰するだけでなく、自治体によっては名前入りのゴミ袋の確保が困難になったところもある。また、菓子や食品のパッケージに用いる印刷用インクが高騰したため、シンプルなパッケージへの変更を余儀なくされたメーカーもあった。モノクロパッケージになったスナック菓子がその代表だ。また、パッキンやチューブ等、化学系加工資材が調達難となり、建築やリフォーム業界では資材確保が難しく、現場の作業がストップしたケースもある。このように、原油の調達が滞ると生活においてありとあらゆる影響が出ることとなり、いかに人の暮らしの中に原油が浸透しているかを痛感することになる。

今回、暫定ではあるが、両国の実務者同士が対面して和平合意へ動き出したことにより、滞留中だったタンカーが通航を再開した。しかし、実際に引き返すことになると輸送への時間がさらに延長され、これに伴い保険料や運賃へ転嫁されるため、結果としてガソリン価格の高騰はじめ、製品の価格上昇を回避できなくなる。海峡が”間違いなく安全”な状態にならなければ、安定した原油価格が実現することは極めて難しい。結果、現状としては極めて難しい状況にあると言わざるを得ないのではないだろうか。

日本における原油輸入は、その9割超を中東に依存している。当然ながら、その多くはホルムズ海峡を通過し、長い時間をかけて日本へと運ばれる。そのため、戦闘開始後、多くの混乱を招き、大きな影響を受けている。戦闘前は1日で125~140隻が通航していたというが、戦闘中は1日7隻程度に留まっていたとのこと。折しも、今日、国土交通省で行なわれた記者会見の場で、ペルシャ湾内に留まっていた日本関係船舶2隻がホルムズ海峡を通過したと報告され、これを受けて未だ同湾内に留まっている日本関係船舶は35隻になったとのこと。乗組員の健康状態に問題はなく、船体の異常もないという。今回の2隻の通過により、中東情勢の悪化以降、ホルムズ海峡を通過した日本関連の船舶はあわせて9隻になったが、滞留中の船舶のほうがはるかに多いことを考えると、滞留中である船舶の乗組員の精神的疲労を考えると決して”健康”とは言い難いはずだ。果たして、不安解消はいつになるのか。まだ明確な答えは出ていない。

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