レースという実験の場でクルマを走らせて初めてわかる問題点は、決して少なくないだろう。だが、今回の参戦の根底になるのは、電気自動車の開発、そしてガソリン車からの移行という大きなうねりにある今の自動車業界の進む道に一石を投じたいというトヨタの思いも透けて見える。「今回の水素エンジンは、エンジンもカーボンニュートラルの役に立てること、そして、モータースポーツを支えるメカニックやプライベートガレージの方が将来使えるプラットフォームにできるよう、まずはROOKIE Racing がトライさせていただきたい」と豊田社長。世界を見渡せば、自動車大国のアメリカはじめドイツでもEVの開発、製造へと舵を切る自動車メーカーが多い中、日本におけるカーボンニュートラルを実現するには、EVがすべてではないというメッセージでもあるのではないか。長年に渡り、「日本のモノづくり」を支えてきた自動車産業。日本独自のカーボンニュートラル──、そのひとつ、「高効率エンジンとモーターの複合技術」とカーボンニュートラル燃料をあわせることにより、二酸化炭素の大幅な低減実現の可能性についてもっと真摯に向かうべきだとメッセージを送っているようだ。これからの自動車はハイブリッドでなくEV……、という一辺倒な考えにとらわれず、二酸化炭素を排出しない燃料とはなんぞや? というスタンスで次世代の自動車づくりを考慮すべきだ、と言われている気がする。