日本で自らモータースポーツの世界に踏み込む事はなかなか少ない。最大の理由が金銭的な問題である。確かに中古で購入すれば少ないコストでクルマは入手できるが、状態や年式が古いとパーツの有無などのリスクがついてしまう。また人気の高い「ランエボ」、「インプレッサ」となると元々のパワーがあり過ぎてドライビングミス繋がったり、モータースポーツを初めてすぐに自分の手の中に収めるというのはなかなか難しい。それにパーツも多く、交換時には大きなコストが掛かってしまう可能性もある。 そんな問題に対して真正面から立ち向かったのが群馬県高崎市にあるアフターパーツメーカー キャロッセである。キャロッセは「CUSCO」ブランドで様々なモータースポーツカテゴリで絶大な人気を博している。特に有名なのはジムカーナ、ラリーの世界だ。そのキャロッセが日本のモータースポーツファンに「ファン」で終わるのではなく、実際に参加して楽しんで貰いたいという一心で見つけ出したのは南国マレーシア最大の自動車メーカー「プロトン」が生産するスポーツハッチバック「サトリアネオ」。プロトンはラリーファンにはお馴染みのメーカーで提携関係にある三菱のランサーエボリューションを自社ブランドに発売、WRCに参戦していた経歴がある。 サトリアネオはプロトンブランドで販売されていた三菱ミラージュの後継者として開発されました。プロトン独自のプラットフォームに1.6L 直列4気筒エンジンを搭載、ミッションは5速。パワーは113馬力と決してパワフルではないが低速トルクが厚いので非常に乗りやすいものとなっている。足回りはリアにマルチリンク式を採用しているので高速コーナリングでの踏ん張りに優れる。 標準グレードで159万6000円である。 このグレードの他にtype-Bからtype-Dまで用意されている。標準グレードはtype-Aとなる。 下の写真がtype-DでFIA公認競技に参戦可能な使用となっている。 またこのサトリアネオは国土交通省で型式認証と取得、同時にJAF公認車両にも登録。 今回株式会社キャロッセの協力で標準車「type-A」とFIA規定仕様の「type-D」にそれぞれ試乗することができた。 type-Aはどこにでもある普通の3ドアハッチバックにしか見えない。しかし、違う部分も当然ある。操作性を意識した小径ステアリングホイール、レーシーなシフト部分。また乗ってみてまず気づくのは着座時の視点が高く感じる、というよりは天井が低い。あくまでもメインは競技なのでバケットシートに交換前提と考えるべきだ。走りはどうだ、低速トルクが厚いので発進は非常にスムーズで市街地での運転は楽チンそのものである。山道、今回は榛名峠を試乗コースとしたが、登り坂でのトルクはやはりもう1つパンチが欲しいところではあるが、下りになれば程良い快適なワインディングを楽しめる。コーナリングはマルチリンク式リア・サスペンションのお陰であるのか安定している。しかし、初期装備のタイヤでは些か役不足感は否めない。 クスコカラーリングのtype-Dはドア開けてのサイドバーに少々苦戦し乗り込む。シートはノーマルのままなので頭部と天井のロールゲージがスレスレである。バケットシートに交換する際は底付けが基本らしく、背の高い外国人ドライバーは苦労しているとのことである。肝心の走行性能はどうだろうか。試乗車は強化クラッチが装着されているので若干タッチが重く、遊びが狭い。加速性能はロールゲージによる重量増があるが全く気にはならない。ロールゲージ装着の為、遮音性が犠牲になって室内にエンジン音がよく響くので気持ち的にパワフルになった感じではあった。コーナーではLSDのお陰で一段と曲がりやすくなったが、ロールゲージと3ナンバーサイズの車体のお陰で安定し、安心してワインディングができる。 確かにパワーはない。しかし、ロールゲージ+LSDが装着されて安心してワインディング、モータースポーツデビューが飾れるのであれば150万を切るプライスは非常にお買い得ではないだろうか? 車両協力:株式会社キャロッセ・プロトンジャパン 群馬県高崎市新保町1664-1 (栗原 淳)新車150万円前後でモータースポーツを楽しめるスポーツハッチバック!
type-B:type-A+CUSCO LSD 138万6000円
type-C:type-A+CUSCO LSD+ 6点式ロールゲージ(セーフティ21) 143万8500円
type-D:type-A+CUSCO LSD+18点式ロールゲージ(FIA規定2名乗車)149万1000円
オプションパーツ、アップグレードパーツも豊富になっており、様々なカテゴリーに参戦する可能性が大きく広がった。
実際に乗ってみて….