一連の不運、メカニカルトラブルと臨死体験を克服して完成された574whp R32
 

数週間前、南カリフォルニアのカーミートを訪れ、日産３世代目Skyline GT-Rに関するある事に気づいた。どこへ行っても見かけるScionやCivicよりJDM R32 GT-Rの方が多い気がする。これは数年前に通った、２５年以上前の輸入車であれば、National Traffic Highway Safety Administrationの規制に従わなくても良いという法律のおかげである。(JDM車の輸入方法に関するガイドもお忘れずに！) それ以来、日本から来るほとんどのコンテナには、右ハンドルの中古R32Skylineが乗っており、かなりの台数が市場に送り込まれている。中にはかなり乱暴に扱われた車も入っている。
 

勘違いしてもらいたくない。悪口を言っているわけではなく、公道を走っている車を見ると、まだワクワクする。何を言いたいかというと、JDMファンにとってGT-Rはドリームカーであり、手の届きやすい価格（$32,500 もあればBringATrailer.comで程度の良い車が買える）でリーガルになったので、R32オーナーとして目立ちたいなら、人一倍頑張らなければならない。Orlando Villalobosは1989 Skyline GT-Rでまさに、そうしなければならなかった。
 

Corpus Christi, Texas 出身のOrlando は、現在米国海兵隊の軍曹だ。オリジナルGran Turismoゲームでは、80年代〜 90年代 の Group A ツーリングカーをいつも選んでいたので、トヨタスープラやフォードSierraよりも、AWD GT-Rに惹かれた。しかし、大人になるまでアメリカで所有するという、子供の頃の夢を叶うことはできなかった。
 

外観をみると、今からでも筑波サーキットでバトルできるようなルックスだ。OrlandoのVoltexウィングは、富士スピードウェイで実際に圧倒的なタイムを叩き出したレーシングカーから手配したものだ。本格的なJDM仕様にするための部品リストは長いが、目に見えないパーツが貢献している。現代的な信頼性と500+馬力の性能で、この31年前の車は、Orlandoが昔ゲームで使っていた古いGroup Aレーシングカーより優れている。
 

このRB26DETTは今、もっとパワー出せるか？もちろんだ。Orlandoによると、燃料システムとエンジンは８００馬力まで対応できるという。ハイパワータービン交換する前に、走行会でドライビング技術を磨くことに専念しているという。 「時間との戦いで、自己ベストを出そうとするチャレンジが好きだ。これは自己啓発の一種であり、できることであれば、みんなもっと自己責任をとれば、人生をよくすることができると感じている。」
 

ここからはOrlandoに話を譲るが、彼はみんなに知ってもらいたいストーリーがあるという。ドリームカーを手に入れて作ることは決して簡単なプロセスではなかった。車に乗り、ステアリングを握るたびに、命の大事さを思い知らされている。ここからはOrlando本人から説明してもらいましょう。
 

LIVING A LIFE OF NO REGRETS
「2010にアフガニスタンに派遣された。今までの４年間で経験したことのない辛い任務だった。何回も敵から銃撃を受け、爆弾攻撃も受けた。尊敬する不発弾処理マスター軍曹Daniel Fedder先輩を亡くし、命の儚さと尊さを改めて知らされた。後悔のない人生を送ると自分に誓い、いつもやりたいと言っていたことを実行すると決めた。ドリームカーのGT-R（Gran Turismo時代は夢中になっていた車）を所有することも、その一つの目標だった。
 

ULTIMATE FIND CLOSE TO HOME
基地にいた頃から、ネットで車を探し始めた。運良く地元に近いCorpus Christi, Texasに一台あった。今は友達である、Josh “Joshiroku” Garciaは、イリジウムサテライト電話からかかってきた番号を見て、怪しい者だと思い、すぐに電話を切った。数日後、親が彼に連絡を取り、僕は本気で彼の車に興味を持っていたと伝えてくれた。 Joshの家族にも軍人がいたので、親にテストドライブをさせ、僕が欲しければ、それまで車を取っておいてくれると言ってくれた。車はもちろん欲しかったので、すぐにお金を払い、車は僕のものになった。
 

CURSED R32
外観はノーマルに近かったが、エンジンには手が入っており、 BCNR33 Bremboブレーキも装着していた。さらに、程度の良いゴールドBBS LMホイールも履いていたが、このホイールを元々購入した人は、取引１週間後に運悪く命を落としたという。この時点で、車が呪われていると気づけばよかったと思う。
 

NEAR DEATH EXPERIENCE
アフガニスタンから戻り、車を乗り始めて３日間後、緩やかなカーブを低速で曲がっていたらコントロールを失った。コントロールが無くなる理由は一つもなかったはず。HICASはブロックされていたし、路面にはオイルも何もなかった。車は僕を殺そうとした。車は激しく揺れ、その直後にノッキングが発生するようになった。
 

THE CURSE STRIKES AGAIN
しばらくして沖縄の勤務が命じられた。その後、沖縄、韓国、フィリピン、ドバイを周り、車はその間ずっと保管されていた。ドバイで一年住んでから沖縄に戻り、2014年にカリフォルニアへ戻った。ドバイで働いていた頃、車を売ってくれたJosh Garcia、がBCNR33エンジンをスワップしてくれ、今のエアロもつけてくれた。しばらくしてカリフォルニアで落ち着き、車の輸送を手配したのだが、再び呪いが襲ったのである。輸送中にカーキャリアトラックのタイヤがパンクし、タイヤ交換中にトラックがジャッキスタンドから落ちてしまい、ドライバーを押しつぶし、殺してしまいました。
 

FOWL PLAY
その数週間後、車は別のドライバーに運び出され、無事に届けられたが、車に乗ることはほとんどなかった。2015年にまた軍事展開があり、紹介されたRBスペシャリストに車を預けた。 ベルトとフルード交換を行い、７ヶ月保管する約束だったが、彼達は自分の車かのように毎日乗り回し、ノッキング状態で車を返してきた。何もできなかったので車をまた他の場所に移動させ、保管した。この時点では車を走らせるモチベーションは完全に消滅していた。ショップからショップへと回り、最悪な時期だった。
 

BARDABE SAVES THE DAY
2018年にAustin, Texasにある、Bardabe PerformanceのオーナーJuan Vargasと出会い、全てが前向きに動き始めた。しっかり補強された、安全でレスポンスの良いエンジン計画を立ててくれた。僕はリヤがまた飛び出ないように、車の動きを安定させたかった。操安性の高い、頑丈な車が欲しく、ノッキングも欲しくなかった。
 

2019年12月にN1ブロック、ビッグシングルタービンキット、多数の美しいハードラインとカスタムフューエルシステムで車はやっと呪いを解く準備ができた。Juanは、高温で回るRBのオイルライン破損など、よくあるエンジントラブルをすべて排除したかった。他人の不注意で、この車が長い間使えなかったことは知っていたので、彼は絶対にこの車を楽しんでもらいたい、と思ってくれていた。
 

POSITIVE FUTURE
今はどんなシナリオでも対応でき、絶対に　壊れないストリート仕様だ。今後はBNR34 6速GETRAGミッションにアップグレードし、強化アームとスタビライザーバ―を入れる予定だ。いずれは、サーキット走行会にも出る予定だが、今は毎日乗って、短い人生を楽しもうと思っている。周りのサポートさえあれば、どんな呪いでも克服できると信じられる様になった。
 

Tuning Menu

車両:1989 Nissan Skyline GT-R (BNR32)
オーナー:Orlando Villalobos
出身地:Corpus Christi, TX (stationed in San Diego, CA)
職業:Master Sergeant at United States Marine Corps
Instagram:@zombie_samurai_gtr
パワー:574whp; 437 lb-ft of torque (E74 ethanol at 20psi)
 

記事提供元：SUPER STREET ONLINE