GT-R50が戻って来た
今の市場でメーカーが話題のブランドになるのは極めて難しい。ポルシェは次々とコレクターやバイヤーが欲しがる限定モデルをリリースし、うまくやっている方だ。
その戦略は賛否両論であり、反対派は売上を上げる簡単な手段だと批判する。ポルシェは確かにやり過ぎたかもしれないが、日産は今後もっとやるべきだということを今回の企画で証明した。その企画の正体とは?それはもちろんGT-R50だ。GT-RとItaldesignの各50周年記念をするコラボ作品。
我々は6月に初めてこの車を見たが、あれからGoodwood Festival of Speed や Monterey Car Weekなど注目度の高いイベントに展示されてきた。海外勤務を終え、GT-R50はやっと日本に戻り、その記念として日産は代官山T-Siteでレベル高いイベントを行った。
今後別の記事で紹介するが、僕はアメリカで行われた日産イベントの帰りで、空港から都内まで急遽移動し、話題のGT-Rを見ることができた。
今回のイベントは普段と少し違う印象を受けた。日本のメーカーは保守的だということはみんな知っているが、そのイメージを覆す外装を持ったワンオフスーパーカーは実際目の前にあった。
日産の様な日本メーカーは普段こんな事はしない;機能性に優れ、手が届く早い車を作り、有名スーパーカーの必要のなさを感じさせようとする。しかし、このGT-Rバリエーションはとんでもないパフォーマンスを持ちながらハイパーカー並みのルックスも持っている。そして驚くことにこの車は少数でありながらも生産することになっている。
数年前のNissan IDxの様なごまかしとは違う。GT-R50は50名にとって現実となる。しかし価格は高く、US$1 millionもする噂が出ている。
まず第一印象として実物は本当にかっこいい;写真ではこの車の美しさを語れない。‘GT-R’として分かるポイントに近未来的でグランドな様相を注入したみたいだ。
内装もスゴイ;通常のR35よりもシンプルで機能性も抜群だ。新しいダッシュボードデザインには剥き出しのカーボンファイバー、スエード、本革が使われ、ゴールドトリムと組み合わせられ、外見のテーマとリンクさせている。
GT-R50はGT3エンジンを積むNismo GT-Rをベースにして作られているので、デジタルメーターでさらなるパフォーマンスを物語っている。このメーターは単なる綺麗なLCDパネルではなく、本格的なMoTeCデータロガーユニットだからそれ以上言う必要はないだろう。日産は今回のイベントのビデオもアップし、僕も編集に取り掛かったので是非見てください!
CHAPTER TWO
Two Legends
今回特別にスポットライトされたGT-R50以外にレアなGT-R がNissan Heritage Collectionから2台来ていた。1台目は初めてのBCNR33 GT-R LM ホモロゲーションスペシャル。この車はほとんど外で姿を現さない;日産は一年おきにNismo Festivalで展示しているが、普段は厚木の巨大な倉庫に保管されている。FRになったLMをホモロゲーションするためにダウブルウィッシュボーンサスペンションを搭載したが、それを入れるために行われた形状変更を見ていて、マニアとしてとても楽しかった。
リヤを見てください。レジェンドとはこのことを言います。
R33の隣には別のワンオフ車両が止まっていた。70年代オイルショックのため一度もレースしなかったKPGC110ケンメリレースカー。2台並べてみるとItaldesignがどこから印象受けたかが分かる様な気がする。
今回の特別車両3台をじっくり見終わった頃にT-Siteの駐車場はR35 GT-Rで埋め尽くされていた。一般オーナーの車もあれば、他の面白い車もあった。
羽田空港からはこのProject 33に乗ってきた。オーナーのAkiは羽田から代官山へと大きな寄り道をしてくれた。このイベントで彼のR33が一番程度の良い、輝いていた車に違いない。
そこでAkiに関する秘密を一つ教えよう。彼は去年から日産の法務室で勤務しており、GT-R50が無事日本に到着するのを確認しにきたGlobal DesignのAlfonso Albaisaと話しているのが分かる。Akiは普段忙しく、Project 33もたまにしか更新できないが仕事のないときは熱心に車を磨いている。
今回の主役は朝から必ず4−5人に囲まれていたが、やっと綺麗なショットを撮ることができた。
車のデザインサポートをしていたItaldesignスタッフに話しかけたら快くカーボンとアルミのステーを見せてくれた。これはアクチュエーターを利用し、一瞬でリヤウィングを立たせる優れものだ。
他のカスタムボディパネルと同じく、リヤゲートもカーボンファイバーだ。トランクの中にはカスタムレザーのGT-R50バッグが入れられる。
一番クールなディテールは?このルーフから飛び出る透明なブレーキランプだと思う。
Italdesignは何も隠していなかった。逆に我々オタク達には全てを見せてくれた。
カーボンファイバー ボンネットを外した瞬間に大勢の人が集まった。
GT3スペックエンジンを撮るのには少し時間がかかった。プラスチック製のエンジンカバーの色以外はほとんどノーマルに見えた。もっとオリジナルなエンジンカバーを期待していたファンはこれに関して少しがっかりしていた様だった。
ワンオフのヘッドライトassyを含む大胆なプロフィールとボンネットをつけるのにフロントフェンダーは大きく加工された。裏側のフェンダー部分もカーボンファイバーで出来ているのですごい。
FINAL CHAPTER
Hunting Japan Style
今回のテーマにぴったりな車が近くに止まっていた、初代シルビアCSP311。当時日産のデザインは海外から影響受けていたので美しい車がたくさん誕生した時代だった。
この車はAlbrecht Goerts がデザインし、有名なBMWデザインも手がけていた。
シルエットはLancia Fulviaを思いださせる、間違いなく欧州スタイル。偶然にも今回のイベントでも一台見かけた。
CSP311シルビアは500台ちょっと生産され、日産の中でも非常にレアな車だ。
その隣にはまた日本では特にレアな車。。。Clio V6 Renault SportはRenault 5の様にリヤシートにエンジンを積む小さなハッチバックだ。しかしこの車にはターボチャージャーは付いてない。
今回のイベントテーマはデザインであり、日産のデザイナーが参加していたのも不思議ではなかった。その中に面白い車に乗ってきた人も。個人的なヒットはIsuzu VehiCROSS。90年台の日本ではよく見かけた車-公道用の真のコンセプトカー。
日本の車イベントはやはりカラフルなGT3 RSがないと始まらない。この一台でコントラストを!
元Nissan Chief Creative Officer Shiro Nakamuraも参加していた。去年引退し、Alfonso Albaisaが引き継ぎするまで20年近く日産とインフィニティーブランドのデザインを担当してきた。
偶然、道に出た瞬間に彼の作品、日本では販売されていない2世代目のInfiniti FXを見かけた。しかもワイドボディ仕様。さすが代官山!
イベントが始まって1−2時間経っても中に入ろうとしている車の行列は続いた。
一台出れば、一台入って行った。
初代シルビアの話をしていた時のLancia Fulviaだ。
似ているのが分かるよね?
近くにまたLanciaが。Thesisは決して美しい車ではないが、目立つのは間違いない-日本では大切なことだ。
完全ノーマルでいじられていない964 Porsche Carrera 2は新鮮だ。最高!
今回のイベントは代官山Tsiteで行われたイベントの中でも一番かもしれない。日産の様なメーカーが遊び心を持ち、普段と違うものを生み出すことは我々マニアに夢を与えてくれる。他のメーカーからも同じ様な努力を見たい。
数百年も日本を決めてきた控えめなスタンスはもうやめよう。今だからこそ目立つべきだと思う。