Aki Fuchigamiは高校出てすぐトヨタのディーラーでメカニックとして働きだした。まだ10代だったFuchigamiは北海道の厳しい冬が与えたダメージのある様々なトヨタ車を朝の9時から5時まで整備していた。仕事が終わってからの彼の行動はあまり知られておらず、速い車に興味を持っていたことも知られていなかった。

小型エンジンから大量のパワーを生み出す事に夢中になり、ターボチャージャーをよく使うことがあった。どんなエンジンにもターボチャージャーをつけ、まだ未成年だったにも関わらず、 10秒台をマークしていた。

そして何よりもすごいのはこれはすべて80年代に起きたことである。当時はドラッグレース専用のタイヤなんてほとんどなく、トラクションコントロールは足で行うものだったのだ。

1993年までにAkiはメカニックから営業までのしあがり、彼のサイドビジネスも調子良かった。本職から隠すために顧客はすべて口コミからだった。

できるだけ両方の仕事を効率よく続けたかったが、仕事の量がパンクしてしまった。サイドビジネスの顧客からは熱心にショップを開けてもらいたいと言われ、27歳でディーラーを退職し、ガレージボンバーというショップを開けた。

ショップを開店してまもなくデモカーを作成することにした。目立つのはもちろん、見た目も走りもよくなければならなかった。そして96年にこのR32 GT-Rを購入した。購入した瞬間からこのGTRはガレージボンバーの実力を見せ付ける役割となった。

フルチューン以外の仕様は考えられなかった。

R32は早速バラバラにされ、フレームから作り直された。シャーシー全体のスポット溶接も加え、クロモリ製のロールケージとカスタム　クオーターパネルを作成した。ボディー補強が終わった時点でHouse of Kolorのミッドナイトパープル色が塗られた。

このクォーターパネルはワンオフデザインであり、もう1台分のGT-Rパネルをオリジナルの上にかぶせ、内側のフェンダー内を押し出していた。見た目はノーマルだが各サイド30mmワイドなタイヤとホイルが入るようになった。

ガレージボンバーはフルサービスのチューニングショップであったが、エンジンを作る事に熱中であった。

自社のデモカーでは躊躇しなかった。

Akiは自らN1ブロックのシリンダーを1ミリボアアップし、Tomei Poweredのパーツで腰下を全てくみ上げた。ヘッドはポート加工され,
チャンバー内の容積を全て合わせてTomei Poweredのバルブ類を組み込んだ。カムシャフトは日産のワークスエンジンを担当していたレイニック社のものを使用。

純正のインマニはGROUP Aのインマニと100mmスロットルボディーに交換され、巨大なHKS T51 Rタービンがノーマルツインターボの代わりに使われた。フロントパイプはワンオフ。デュアルチタンマフラーを使い、760馬力をHOLINGER 6速ギヤボックスを通して4輪に伝えた。

ガレージボンバーのR32 GT-Rは99年に完成した。サーキット専用に作られていたが内装のカーペットは元に戻し、パワーウインドウも入れ、ストリート用に登録。車重はノーマルより軽い2,600ポンドであった。

この仕様で3年間数え切れない程の9秒台の走りを見せ、技術力をアピールした。

その後、Akiは自分のキャリア発展のために、レイマックスというレース　エンジン・パフォーマンス　パーツ　メーカーに就職した。レイニック社の管轄にあったレイマックス社では、自分の生まれ故郷の北海道から800マイルも遠い、横浜で新しい店舗の担当をすることになった。ガレージボンバーは信頼してた仲間に任せ、思い切って関東エリアに引っ越した。

レイマックスで働き３年後、またチャンスが訪れる。2004年頃、レイマックスはTRDサポートのNASCARトラック用のカムシャフトを開発していた。
プロジェクトを進めるため、会社は1人アメリカに駐在させることを検討していた。Akiはすぐにボランティアし、マーケットリサーチとカスタマーサポートはもちろん、チューニングショップも運営できることをアピールした。

会社は試してみようと、Akiは家族とGT-RとともにHuntington Beach, CAに引っ越してきた。そこでAIMをオープンし、NASCARトラック、一般客、とFORMULA Dドライバーのためのサポートショップを開いた。

このショップは2年間運営したが、本社がインターナショナル マーケットからの撤退をする決断をしたため、店を閉めることになってしまった。レイマックスは横浜でAkiの新しいポジションを用意していたが、Akiはカリフォルニアに残ることを決意した。将来の不安を抱えていたが、彼を受け入れてくれるショップに対して手助けできると確信していた。

現在AKIはGMG Racingの10年ベテランであり,Pirelli World Challengeチームのレースサポートをしている。彼のGT-Rはドラッグ専用に作られたが、最近はサーキット用のおもちゃに進化している。

長年保管されていたエンジンとミッションは去年組み直し、その翌週にラグナ　セカで無事シェイクダウンを終えた。Akiはすでに業界ではトップレベルのレーシングメカニックとして認められているが、本人は昔と変わらず、日々精進している。

今後Akiの愛車はサーキット用に開発していき、自分自身のテクニックを磨きながら本業のレースサポートに生かして行きたいと考えている。

ガレージボンバーのショップは10年前にクローズしたが、伝説のチューニングショップとしての思い出は今でも健在だ。カリフォルニア、そして北海道でも昔のお客さんは未だにお店のステッカーを車に貼り、サーキットでカーライフを楽しんでいる。

噂によると若いAE86オーナーズクラブがガレージボンバーの名前を復活させていると言う。Akiの甥がリーダーらしい。

’91 NISSAN SKYLINE GT-R
オーナーAKI FUCHIGAMI

出身地 HUNTINGTON BEACH, CA

職業 レースメカニック

パワー 760 whp

エンジン N1 エンジン　ブロック; NISMO社エンジン　マウント , エンジン　メタル; Tomei社クランクシャフト , H-ビーム　コンロッド, B タイプ　バルブ　スプリング,バウルブ　ガイド ; WPC 加工バルブ; Samco社ラジエーター　ホーズ ; Reinik 社Group A 68-66 カム　シャフト; ウォーター　ジャケット　加工; カム　ポケット加工; ヘッド　ポート　加工; 燃調室容積合わせ; ブロンズ　バルブ　ガイド; 銅 シートリング; ３層アルミ　ラジエーター; 10-gallon　燃料タンク; -8AN アルミ燃料ライン; HKS社 T51R タービン, エキマニ, GT2 ウェーストゲート,デリバリーパイプ ; 100mm シングル　スロットル　ボディー; Group A インマニ;
Blitz社インタークーラー, 100mm インタークーラー　パイプ; Bosch社 044 燃料ポンプ; Injector Dynamics 社　ID1000　インジェクター ; XS 社燃料フィルター,　燃圧　レギュレーター; Garage Bomber社フロントパイプ ,チタン製デュアル　マフラー
駆動系 Holinger社６速ミッション; HKS 社　トリプル　プレート　クラッチ, フライ　ホイール; Cusco 社 LSDデフ; WPC 加工ドライブ　シャフト
ECU MoTeC社 ECU, データロガー,ブースト　コントローラー; HKS社 Attesa コントローラー
足回り・シャーシ Öhlins社 Flag-R 車高調整ダンパー; Swift社スプリング ; ワンオフ　フロント　ロワー　コントロール　アーム,アッパー　コントロール　アーム ,リヤ　トラクション　ロッド, リヤ　タイ　ロッド, ライン　ロック　システム, 4130 製クロモリロール　ケージ, ピローボール　ブッシング　コンバージョン,　スポット溶接
ブレーキ 355mm フロント Brembo社 F50 ビッグ　ブレーキ; R33用リヤ　ブレーキ
ホイール・タイヤ 17×9.5” Volk Racing社TE37ホイール ; 275/40R17 Nitto社 NT01 タイヤ
外装 カスタム　リヤ　クォーター　パネル; House of Kolor社 Midnight Purple 塗装; GReddy社フロント　バンパー, サイド　ステップ; Lexan製ウィンドー

内装 Blitz社　バケット　シート; Nardi社　ステアリング; MoTeC社　ダッシュ　モニター　ディスプレイ

http://www.superstreetonline.com/features/1706-aki-fuchigamis-1991-nissan-skyline-gtr-r32-bomber/