2015ル・マン24時間耐久 - イベント・レースレポート

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2015ル・マン24時間耐久

2015年6月15日 更新

ル・マン24H、緻密な戦略をノーミスで敢行したポルシェが勝利!

予選では、2台の僚友に若干の遅れを取っていた19号車 ポルシェ919ハイブリッド(N.ヒュルケンベルグ/E.バンバー/N.タンディ組)。だが決勝に入ると、安定したペースとノーミスのレース運びがトップというポジションを盤石なものにした今年のル・マン24時間。今回が83回目の決勝となる歴史あるレースの中でも、稀に見る緻密な戦略とレベルの高い駆け引きが繰り広げられた一戦といっていいだろう。

 

結果だけを見れば、安定した速さを武器にミスなく周回を重ねた19号車が、最終的に2位と1周の差をつけて完勝を果たした、という形になる。確かに1周13.629kmもある長いル・マンの特設コースでは、わずか1周とはいえない大きなアドバンテージであることは明らか。だがその差を構築するまでの間、決して19号車が安泰なレース運びをしたわけでなく、つねに僅差で後続車との攻防戦を耐え忍ぶことに成功したのがその理由であり、確固たるポジションを手にする底力があったから実現できたことでもある。結果、ル・マン24時間初出場の2選手(N.ヒュルケンベルグ、E.バンバー組)とGTクラス経験者で構成されたトリオが見事に開眼し、伝統の一戦で大きな大輪の花を咲かせることになった。

 

まさに、怖い物知らずの底力を見せた19号車に続いたのは、先輩格の17号車。元F1パイロットのM.ウェーバーを軸としたトリオが19号車の盾となり、後方から勢いよく迫り来る7号車 アウディR18 e-トロン・クワトロ(M.ファスラー/A.ロッテラー/B.トレルイエ組)を退ける役回りを担当。一方で、アウディ勢もそれぞれ車両トラブルやアクシデントで、本来の力を引き出すパフォーマンスを完全に発揮できず、あと一歩力が及ばなかったようだ。

 

昨年、16年ぶりにル・マン24時間レースに復帰したものの、結果的には辛酸を舐めたポルシェ勢。その雪辱を果たすために採った戦略が見事に的中、これまでの勝利数を17へと伸ばすことにも成功。ポルシェが常勝アウディの好敵手として立ちはだかったことにより、また新たな歴史が始まったといえる。

 

これに対し、日本勢の戦いは厳しい結果に終わった。トヨタはWEC(世界耐久選手権)の開幕戦ですでにライバル達の速さを認識。加えて、このル・マンがデビューレースとなったニッサンは開発が大幅に遅れ、戦うというよりもなんとかコースを走ることだけでミッションが完了するのが精いっぱい。来年以降の挑戦こそ、真価が問われることになる。

 

◎ル・マン24時間レース決勝結果(総合トップ3および各クラストップ)

1.No.19 ポルシェ919ハイブリッド(N.ヒュルケンベルグ/E.バンバー/N.タンディ組)395Laps
2.No.17 ポルシェ919ハイブリッド (T.ベルンハルト/M.ウエーバー/B.ハートレー組)+1Lap
3.No. 7 アウディR18 e-トロン・クワトロ(M.ファスラー/A.ロッテラー/B.トレルイエ組)+2Laps

LMP2
No.47 オレカ05・ニッサン(M.ホーソン/R.ブラッドレー/N.ラピエール組)358周

LMGTE Pro
No.64 シボレー・コルベットC7.R(O.ギャビン/T.ミルナー/J.タイラー組)337周

LMGTE Am
No.72 SMPレーシング (.V.シャイタル/A.ベルトリーニ/A.バソフ組)332周

 

Text&Photos : Motoko SHIMAMURA

 

 

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  • 2015年6月15日 更新

    ル・マン24Hレース、18時間が経過。19号車ポルシェが引き続きトップに

    空が白み始めたル・マン。久々の朝日が期待されるも、すぐさま灰色の空が広がり、薄曇りの朝を迎えることになった。レースは小さなアクシデントの重なりでこれまでに4度のセーフティカーが導入されることとなったが、上位の順位争いに大きな影響を与えることはなかった。

     

    トップの座を守っていた19号車に迫ろうとしたライバルたちはその勢いや焦りからか、小さなミスを犯すことになった。あるいはクルマのコンディション確認を強いられるなど、長距離レースで一番求められる安定性の些細な差が、結果的に大きな差となって現れたという感じだ。

     

    レースはゴールまであと4時間あまり。チェッカーを受けるまでドラマの内容に劇的な変化が起るのか…。もうしばらくその様子を見守らなければならない。

    ◎ル・マン24時間レース途中結果(午前3時・12時間経過/総合トップ3および各クラストップ)

    1.No.19 ポルシェ919ハイブリッド(N.ヒュルケンベルグ/E.バンバー/N.タンディ組)291
    2.No.17 ポルシェ919ハイブリッド (T.ベルンハルト/M.ウエーバー/B.ハートレー組)+2’26.738
    3.No. 9 アウディR18 e-トロン・クワトロ(F.アルバカーキ/M.ボナノミ/R.ラスト組)+3’41.086

     

    LMP2
    No.47 オレカ05・ニッサン(M.ホーソン/R.ブラッドレー/N.ラピエール組)265周

    LMGTE Pro
    No.51 フェラーリ458 イタリア(G.ブルーニ/T.バイランダー/G.フィジケラ組)249周

    LMGTE Am
    No.98 アストンマーチン・バンテージV8 (.ダラ-ラナ/P.ラミー/M.ラウダ組)247周

     

    Text : Motoko SHIMAMURA

     



    2015年6月14日 更新

    ル・マン24Hレース、12時間が経過。19号車ポルシェがレースを牽引

    安定した天候に恵まれ、順調に周回を重ねている今年のル・マン24時間。12時間を過ぎ、なおもポルシェの優勢は変わらず。中でも19号車においてはノーミスの周回を続けており、着実に後続との差を築き上げている。
    現時点でトップ19号車と同一周回数の車両は全4台。しかしながら、2位の9号車アウディとの差をすでに1分強広げ、勝利への足下をより一層固めているという感じだ。

     

    レースは午後23時を前に、3度目のセーフティカーが導入。加えて17号車はピットストップのペナルティ、18号車はコースオフを喫するなど、ポルシェの牙城にも少しずつ脆さが見えはじめる。そんな中、頻繁にピットインを繰り返しながらもなんとか周回を重ねていたニッサン勢にも暗雲が立ち込めた。21号車は今年ル・マン初挑戦となる松田次生がドライブ中に、自らの車両からもれたであろうオイルに乗ってコースアウト。ピットへクルマを戻そうと奮闘したが、オフィシャルからの制止もあり万事休す。午後1時44分には正式なリタイヤ届けが出された。

     

    一方で、1号車トヨタにおいては、午前3時半に15回目のルーティンワークピットインを実施。中嶋一貴が2回目の走行を迎えている。

     

    ◎ル・マン24時間レース途中結果(午前3時・12時間経過/総合トップ3および各クラストップ)

    1.No.18 ポルシェ919ハイブリッド(R.デュマ/N.ジャニ/N.リーブ組)192周
    2.No. 9 アウディR18 e-トロン・クワトロ(F.アルバカーキ/M.ボナノミ/R.ラスト組)+1’03.643
    3.No. 7 アウディR18 e-トロン・クワトロ(M.ファスラー/A.ロッテラー/B.トレルイエ組)+1’06.588

     

    LMP2
    No.47 オレカ05・ニッサン(M.ホーソン/R.ブラッドレー/N.ラピエール組)175周

     

    LMGTE Pro
    No.99 アストンマーチン・バンテージV8(F.リース/A.マクドーウェル/R.スタナウェイ組)165周

     

    LMGTE Am
    No.72 フェラーリ458イタリア(V.シャイタル/A.ベルトリーニ/A.バソフ) 163周

     

     

    Text : Motoko SHIMAMURA



    2015年6月14日 更新

    ル・マン24Hレース、6時間が経過。トップはポルシェの17号車

    6月13日、現地時間午後3時にスタートを切った今年のル・マン24時間レース。スタートを前に盛り上がるピットには、オランド・フランス大統領が来場。多くのSPに囲まれつつ、主要チームを表敬訪問。今年で83回目の開催となる伝統レースらしさを演出した。
    朝から天候も安定し、レース日和に恵まれた決勝日。まずは予選でトップ3を独占したポルシェ勢が順当にレースをリードしたが、その後方から2台のアウディがハイペースでプレッシャーをかけて3台の中に割って入った。

     

    まずレースは10周前後に1回目のピットインを終えると、いよいよここからルーティンワークが始まるかに思われたが、レース開始1時間を前に、GTカーの1台がオイル漏れを起こして出火。プロトカーを巻き込んでのアクシデントになったため、最初のセーフティカーが導入された。レースはおよそ30分後に再開したが、1時間半後にはまたもセーフティカーがコースイン。これは、8号車アウディがスピードリミットを設けられているエリアで多くの周回遅れの車両を避け損ね、バリアに車両をヒットさせたため。40分以上かかって修復が完了し、午後7時過ぎから改めてレースモードへと突入する。

     

    そんな中でも17号車ポルシェは盤石の走りを披露。周りが小さなトラブルやハプニングでペースを乱すのを尻目にトップ快走を続けた。一方で、着々とポジアップを見せていたのが7号車アウディ。着実にポジションアップを果たし、開始2時間目にはトップ争いに名を刻む活躍を見せる。レースは午後9時、開始から6時間を過ぎてやや安定した流れを見せている。

     

    なお、ニッサン勢は23号車がピットスタートを強いられるも、3台揃って出走を果たした。途中、電気系トラブルやパーツの交換などピットでの作業も幾度か重なってはいるが、粘り強く周回を重ねている状態だ。

    ◎ル・マン24時間レース途中結果(21時・6時間経過/総合トップ3および各クラストップ)

    1.No.17 ポルシェ919ハイブリッド(T.ベルンハルト/M.ウエーバー/B.ハートレー組)93周
    2.No. 7 アウディR18 e-トロン・クワトロ(M.ファスラー/A.ロッテラー/B.トレルイエ組)3.188
    3.No. 9 アウディR18 e-トロン・クワトロ(F.アルバカーキ/M.ボナノミ/R.ラスト組)11.290

    LMP2
    No.47 オレカ05・ニッサン(M.ホーソン/R.ブラッドレー/N.ラピエール組)86周

    LMGTE Pro
    No.99 アストンマーチン・バンテージV8(F.リース/A.マクドーウェル/R.スタナウェイ組)81周

    LMGTE Am
    No.98 アストンマーチン・バンテージV8(P.ダラ-ラナ/P.ラミー/M.ラウダ組)80周

     

     

    (Text:Motoko SHIMAMURA)



    2015年6月13日 更新

    ル・マン24時間、最速ポルシェが予選トップ3を独占!

    ル・マン24時間レースの予選2日目が行われた6月11日。前日よりも天候が安定し、気温、路面温度も上昇する中で最後のセッションがスタートした。2日目も前日に驚愕の最速ラップタイムをマークしたポルシェ勢が奮闘。チームの僚友同士がアタックを行い、19号車ポルシェ919ハイブリッドが自己ベストタイムを更新する。だが、残るチームメイト2台は予選1回目の最速タイムを上回るようなアタックは行わず、決勝に向けてのクルマ作りに時間を費やした。ライバル勢も同じような動きを見せ、ポールポジションタイムを奪取するためのアタックというより、チームでの消化メニューに則り粛々と作業を続けるような状況が長く続いた。

     

    セッションは、午後7時からの予選2回目で2度赤旗が出るアクシデントが発生。一度はセッション延長のアナウンスがされたが、午後8時過ぎにはGTカーが大クラッシュを喫し、車両が激しくウォールに接触。車両回収やウォールの修復などが長引くと判断され、午後9時直前にセッション終了が決まった。

     

    変わって最後のアタックチャンスとなる予選3回目は午後9時30分から深夜12時までの扱いとなり、最後のセッションがスタート。気温23度、路面温度27度と前夜よりもともに10度近く高い気温、さらにコース上はダーティでクリアラップを取りにくい状態ではあったが、9号車アウディR18 e-トロン・クワトロがこのセッションでベストタイム更新。だが、ポジションアップには結びつけることができなかった。

     

    一方、16年ぶりのル・マン復帰戦ながら、開発の遅れなどで不安材料を抱えたまま予選へと突入したニッサン勢。夜間での慣熟走行を続けた結果、徐々にタイムアップ。前夜はLMP2車両にも遅れを取っていたが、最後尾ながらようやくLMP1のグループに名を刻むことになった。

     

    なお、セッションは午後11時すぎにまたも赤旗中断、残り時間10分強での再開となり、タイム更新のクルマが現れることがないまま、全予選が終了。結果、1日目のセッション序盤で最速ラップをマークした18号車ポルシェがポールポジションを手中に収めることになった。

     

    なお、ポルシェに遅れを取っていたアウディ、トヨタ勢もこの日はアタックよりも決勝に向けてのメニューを消化するべく、着々と作業を進めていた模様。よってポジション変動に影響はなかった。

     

    2日にわたる予選を終了したル・マン24時間。金曜日はピットウォークやル・マン市内でのパレードなど、ファンサービスに特化した一日に。決勝レースは13日・土曜日の午後3時に号砲を迎える。

    ◎予選総合結果(各クラストップ)

    LMP1 No.18 ポルシェ919ハイブリッド(R.デュマ/N.ジャニ/N.リーブ)3’16.887
    LMP2 No.47 オレカ05・ニッサン(M.ホーソン/R.ブラッドレー/N.ラピエール)3’38.032
    GTE Pro No.99 アストンマーチン・バンテージV8(F.リース/A.マクドーウェル/R.スタナウェイ)3’54.928
    GTE Am No.98 アストンマーチン・バンテージV8(P.ダラ-ラナ/P.ラミー/M.ラウダ)3’55.102

     

     

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    3分16秒887という驚愕のタイムをマークした18号車ポルシェ。7年ぶりに予選最速タイムが更新された。

     

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    WEC第2戦スパ、雨の中で大クラッシュを喫し、腰椎を損傷した中嶋一貴だったが、無事にル・マン出場を果たし、元気な姿を披露した。

     

    16年ぶりの復帰となったニッサン勢のうち、日本人ドライバー松田次生がドライブする21号車はなつかしのカラーリングに。

    16年ぶりの復帰となったニッサン勢のうち、日本人ドライバー松田次生がドライブする21号車はなつかしのカラーリングに。

     

    (Text&Photo:Motoko SHIMAMURA)

     



    2015年6月12日 更新

    ル・マン24時間、初日トップはポルシェが獲得

    6月10日、薄曇りの中、第83回ル・マン24時間レースの予選1回目が行われ、昨年からシリーズに復活を果たしたポルシェが驚愕のトップタイムをマーク、暫定ポールポジションを手にした。

     

    レースウィークは、7、8日にル・マン市街地で行われた公開車検からスタート。9日はサーキット内での準備作業が着々と進み、この日はまず午後4時から4時間にわたってフリー走行を実施。午後10時からの予選1回目に向けて各チームともそれぞれのメニューに取り組んだ。

     

    天気予報では雨の確立が極めて低かったこの日、あいにく午後2時を迎える前には雨が降りはじめ、あっという間にウェットコンディションへと変わってしまった。だが、午後4時のスタートが近づくと、徐々に天候も回復。路面はまだ濡れているものの降雨は免れる状況でセッションが幕を開けた。しかし、この天候の変更は実に気まぐれで、その後は降ったり止んだりの繰り返し。予選セットの最終確認や路面に合わせたタイヤコンディションのチェックなど、やるべき作業が思うほど消化できない状態となった。

     

    そんな中、この日がレースカーでのル・マン初走行となったニッサン勢。21号車ニッサンGT-R LMニスモをドライブする松田次生が早速ステアリングを握り、フィーリングをチェック。実際はピットでの作業時間が長く、思うように周回を重ねるまでには至らなかった。

     

    結果、フリー走行のトップタイムをマークしたのは、17号車ポルシェ919ハイブリッド。3分21秒362のタイムでライバルのアウディやトヨタに大きな差を築いた。

     

    迎えた午後10時。夜になって天気が回復したル・マンは気温、路面温度も夕方とほぼ同等。路面はドライへと好転したことで、トップタイムの更新に期待が集まった。するとコースイン後、アウトラップを終えた17号車ポルシェのT.ベルンハルドが3分17秒767のタイムをマーク!2008年にプジョーのS.サラザンがマークしたレコードラップ3分18秒513を大きく更新してみせる。だがドラマはここで終わらない。さらに僚友の18号車ポルシェのN.ジャニが3分16秒887という驚愕の最速タイムをマーク。ポルシェの容赦ない予選アタック攻撃をみせつけた。

     

    一方、アウディやトヨタといったライバル勢はこの動きを静観視。すべては決勝に向けての準備に特化しているかのような動きを見せ、ポルシェ3台にトップ3の座を明け渡している。結果、ポルシェは18、17、19号車の順に予選を終了。これに8号車アウディR18 e-トロン・クワトロ、9号車、7号車のアウディ勢が続き、トヨタTS040ハイブリッドの2台は2号車が7番手、中嶋一貴がドライブする1号車は8番手となった。

     

    その中嶋。世界耐久レース(WEC)第2戦スパ・フランコルシャンの公式練習中、大雨の中でクラッシュを喫し、一時はル・マンへの出場が危ぶまれたが、手術の末にル・マン出走を実現。この日もセッション終盤にニュータイヤを装着してのアタックに挑み、健在ぶりをアピールしている。一方、ニッサン勢は23号車ニッサンGT-R LMニスモが総合12番手。松田次生はル・マンルーキーに義務付けられているナイトセッション5周走行を無事完了。だが、同時に電気系のトラブル修復に時間を取られることにもなり、思うほどマイレージを重ねることはできずにこの日のセッションを終えている。

     

    ◎予選1回目結果(各クラストップ)
    LMP1 No.18 ポルシェ919ハイブリッド(R.デュマ/N.ジャニ/N.リーブ)3’16.887
    LMP2 No.47 オレカ05・ニッサン(M.ホーソン/R.ブラッドレー/N.ラピエール)3’38.032
    GTE Pro No.99 アストンマーチン・バンテージV8(F.リース/A.マクドーウェル/R.スタナウェイ)3’54.928
    GTE Am No.98 アストンマーチン・バンテージV8(P.ダラ-ラナ/P.ラミー/M.ラウダ)3’55.102

     

    (Text:Motoko SHIMAMURA)

     



    2015年6月10日 更新

    ル・マン24時間、公開車検が終了

    6月7、8日、フランスのル・マン市街地において、ル・マン24時間レースの公開車検が快晴の中で執り行われた。今年は日産チームも16年ぶりにお目見えした。

    ・いよいよ、ル・マンウィークがスタート!

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    7日の午後からスタートしたル・マン24時間レースの公開車検。いわゆる参加受付をする仮設の建物の壁面には、レースウィークのイベントスケジュールが表記されていた。2日間に渡って行われる公開車検は、なかなか時間通りに進まないことが多く、それを見越してドライバーたちもわりとリラックスモード。

    ・常勝チーム、通算14回目の総合優勝獲得を目指す

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    去年のル・マンウィナーであるアウディ。今シーズンの世界耐久シリーズ(WEC)でも開幕戦のシルバーストン、第2戦のスパ・フランコルシャンを連勝。勢いづいている。現状、速さではポルシェにやや分があるようだが、レースでの総合力では盤石の強さを誇っている。その一角を担うのは、日本のレースで腕を磨き、ル・マンで大輪の花を咲かせたブノワ・トレルイエ、アンドレ・ロッテラーと、マルセル・ファスラーが組むアウディ7号車。トリオ結成6年目となる最強コンビの活躍に注目が集まる。


    ・16年ぶりのル・マン参戦はGT-Rの名とともに

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    今シーズンは開幕戦からのチャレンジを表明していたものの、開発が大幅に遅れ、このル・マンがデビュー戦となる日産チーム。GT-R、NISMOという名がつく戦闘マシンが3台勢揃いし、16年ぶりのル・マンチャレンジとなった。うち、日本人の松田次生がドライブする21号車には、1990年のル・マン24時間の予選でポールポジションを獲得したニッサンR90CKをリスペクトトしたカラーリングが施されている。初の実戦で迎える長時間の戦いだけに、チームとしての底力が問われる。


    ・4年目のチャレンジで勝利を!

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    2台体制でアウディ、ポルシェとの戦いに挑むのは、トヨタ。昨シーズンは念願のシリーズタイトルを獲得し、その1号車には新たに中嶋一貴が乗り込むことになった。今シーズンは、速さの部分でライバルにやや先を越されているが、ル・マンの戦いは24時間の長丁場。その中で、粘り強くしたたかな戦いを繰り広げてくれそうだ。


    ・日産ドライバー、大集合

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    3台体制でル・マンに挑む日産勢。公開車検時には、併せてドライバーは参加受付をはじめ、レーシングスーツやヘルメット等の装備品チェックを行う。終了後には日産の9選手が大集合した。日本のレースでもお馴染の松田次生、ルーカス・オルドネス、そしてベテランのミハエル・クルムらが笑顔を見せた。


    ・怪我を乗り越えて一貴が出走へ

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    第2戦スパの練習走行、雨の中で大クラッシュを起こして腰椎骨折のアクシデントに見舞われたトヨタの中嶋一貴。その後、ル・マン出場のために最新医療の治療を行い、リハビリを敢行。5月末のテストデーでステアリングを握って復活をアピール。「ル・マンに出るためにすべて準備してきた。今年は去年よりさらに落ち着いて臨めると思う。目標は謙虚に言えば表彰台」とやる気を見せた。


    ・公開車検ならではの…

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    車検時に参加受付に訪れたドライバーは、最後に記念ポスターへサインをして業務終了、となる。全56チームのドライバーのサインが勢揃いすれば、とってもゴージャスな1枚になること、間違いなし!


    2日間に渡る公開車検が終了。9日、火曜日の夕方からはドライバーの集合写真撮影が行われ、徐々にル・マンウィークらしさが濃くなってくる。10日、水曜日には実走行がスタート。現地時間(日本との時差は7時間)の夕方4時から8時までフリー走行、そして午後10時から深夜12時までが予選1回目となる。



    Text & Photo : 島村元子 / Motoko SHIMAMURA



    2015年6月5日 更新

    今年のル・マンはますます激化! アウディ、ポルシェ、トヨタに復活組の日産も!

    6月に入り、ヨーロッパではテニスのフレンチ・オープン、イギリスのウィンブルドンとスポーツシーズン全盛期を迎えているが、モータースポーツ界でなによりも最大のお祭りイベントとして名を馳せるのが、フランスで行われるル・マン24時間レースだ。ひと足先にドイツで行われたニュルブルクリンク24時間レースは、草レースの最大級イベントとしてのカラーが濃いが、このル・マンは今やトップメーカーがF1に負けじと劣らぬ最新の技術を競う過酷なレースに変貌した。果たして今年は、どのようなドラマが待ち受けているのだろうか。

     

    ■ドイツ、日本のメーカー対決が激化

     

    フランスのサルト・サーキットにまた世界中から耐久レースファンが集まる季節が迫ってきた。今年で83回目のレース開催となる「ル・マン24時間レース」は彼らにとって年に一度のお祭りであり、レースウィーク中、思い思いの形でそのお祭りを堪能する。

     

    一方でレースを戦うメーカーにとっては、24時間という長期戦ですべてが試される厳しい一戦になる。今や、ル・マン24時間レースが世界耐久シリーズ(WEC)の一戦に組み込まれようとも、ル・マンの一戦だけはスペシャルなものであり、この戦いは唯一無二の存在として君臨し続けている。中でも最上クラスのLMP1クラスでしのぎを削るのは、ドイツ、日本を代表する自動車メーカーの直属チーム。常勝アウディは今シーズンのWECでまず2戦2勝と快進撃のシーズンイン。当然、ル・マンでは2010年から続く連勝記録の更新を目指す。その牙城に迫るのが同じドイツのポルシェであり、2012年に復活したトヨタでもある。

     

    昨年、16年ぶりのル・マン復活を果たしたポルシェ。1970~80年代のル・マンを代表する顔であり、それは歴代最多勝利記録をもって証明されている名門チームとして知られる。戦いを重ねるごとに速さに強さが加わり、先日行われたテストデーではトップタイムをマーク。今シーズンの戦いに向けて大掛かりな改善に取り組んだ成果が実を結び始めている。もちろん、アウディとて黙って見ているわけではない。まずはハイブリッドシステムの強化を行い、レース中にそのメリットをしっかりと活かす走りにつなげている。エンジン面での進化に労力を傾けたふたつのチームに対し、トヨタはどう挑むことになるのだろう。シルバーストン、スパ・フランコルシャンの2戦で辛酸を舐めたリベンジ戦ともなるル・マンは、去年、中嶋一貴が自身初となるポールポジションを手にした場所でもある。その中嶋はスパの練習走行中、雨の中で大クラッシュを喫して一時はル・マンへの出場も危ぶまれたが、順調にリハビリも進み、このほど無事本戦への出場がアナウンスされ、身体の最終チェックも兼ねた出走を行い、テストデーを終えている。昨年、中嶋のチームメイトが活躍し、手にしたゼッケン1の重みを共に背負って挑む1号車の目標は、もはやポールポジションではなくル・マンでの総合優勝。その道のりは決してたやすくないが、彼らの底力に注目したい。

     

    日産、16年ぶりのル・マンへ

     

    遡ること、ほぼ1年前。ル・マン24時間レース開催の前に発表された日産の参戦復帰発表。今か今かと待ちわびた日産ファンも数知れない。近年は「ガレージ56」という、ル・マンを主催するACO(フランス西部自動車クラブ)が2012年から始めた新技術をプロモートするために設けた出場枠を利用し、2012年にデルタウイングで参戦。また2014年にはZEOD RCというレース用ハイブリッドカーとして開発したクローズドボディのプロトタイプレーシングカーでル・マンを出走している。決勝では、電力走行によるサルト・サーキット1周走行を初めて実現させたがレース完走にはほど遠く、新たな技術面をアピールするに留まっていた。

     

    しかし今年は違う。去年正式に発表されたプロジェクトは、ル・マン24時間を始めとするWECへの挑戦であり、かつトップクラスLMP1への参戦というライバルとの真っ向勝負だ。日産にとっては、正式なル・マンでのレース参戦は16年ぶりの復帰となる。開発に時間を要し、当初の予定からスケジュールを大幅に変更。WECは開幕戦はおろか、ル・マン24Hの前哨戦と言われる直前の第2戦スパ・フランコルシャンも欠場、果たしてル・マンに姿を現すことができるのか、と良からぬ噂話も持ち上がったが、テストデーには3台のNissan GT-R LM NISMOがついに姿を披露、出走を果たすこととなった。

     

    ■つねに新たな戦いを生み出す場所、それがル・マン24時間レース

     

    近年、ル・マン24時間におけるトップ争いは、つねになにかしらのトピックスが絡んでいる。最新の技術を積極的に採り入れ、そこにチャレンジするのがル・マンの定石だからこそではあるのだが。ガソリンエンジンが主流だった戦いが、ディーゼルエンジンを投入する流れに代わり、次にはガソリンエンジンをベースとするハイブリッドシステムが登場。すると今度はディーゼルエンジンをベースにしたハイブリッドシステムが…というように、初開催から100年を過ぎ、今年で83回目の大会を迎える伝統のレースは、驚くほど進化を求めながら歴史を重ねている。その中で自動車メーカーがしのぎを削る一戦、それがル・マン24時間レースなのだ。

     

    ル・マンウィークのスタートは7・8日の2日間に渡って行われる公開車検から。夜間の走行が取り入れられる予選は10、11日に実施され、12日には市街地でのドライバーズパレードで街全体が一気に盛り上がる。そして迎える決勝は13日午後3時(現地時間・日本時間は同日午後10時)に号砲。伝統の一戦は、次なる歴史を生むためにまた新たなる戦いを繰り広げることだろう。

     

    Text & Photo : 島村元子 / Motoko SHIMAMURA








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