2023 FIA WEC 富士6時間耐久レース - イベント・レースレポート

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2023年9月11日 更新

WEC富士、7号車トヨタが4勝目。完勝を遂げる!

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9月10日、静岡・富士スピードウェイにおいて、世界耐久選手権レース(WEC)第6戦の決勝レースが行なわれた。6時間に渡って繰り広げられた戦いでは、ポールポジションからスタートを切ったTOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッドがパーフェクトウィンを達成。今シーズン4勝目を挙げている。
 

台風13号の影響を受けた富士スピードウェイでは、前日まで不安定な天候となったが、決勝を迎えた現地は秋晴れの快晴に恵まれる。また、ポルシェ、フェラーリによるハイパーカークラス参戦が話題となったこともあり、今年は3日間でのべ5万4700人のファンが来場。富士スピードウェイでWEC開催が始まってから、過去最高の集客になった。

午前11時のスタートを前に、気温は29度、路面温度は42度とレースウィークを通して、一番の暑さとなった。それだけに、レース中のタイヤや路面のコンディションを気にかけながらの戦略を採ることになったチームも多いはずだ。
 

レースはいきなりオープニングラップからセーフティカーが導入される波乱の幕開け。TGRコーナーでGTE-Amの1台がストップしたのが発端だったが、一方で、ハイパーカークラスでは、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの5号車ポルシェ963がイレギュラーのピットイン。右側リヤタイヤが接触により破損したことで、ライバルに対して遅れを取った。その中で、まずはトップを奪取したのが、5号車のシスターカーである6号車。これにフェラーリAFコルセのNo.50フェラーリ499Pが続き、ポールスタートの7号車は3番手に後退した。
 

なお、レースウィークを通して、20度以上の温度差になった路面への対応は、チーム、ドライバーを悩ませた模様。高い数値を示した路面を考慮し、ハードタイヤあるいはミディアムタイヤか、選択を迷ったチームも少なくなかったようだ。中には、コースレイアウトを踏まえ、左2輪と右2輪で異なるコンパウンドタイヤを選択する戦略を採るチームもあったという。
 

レースは1時間経過を前に、8号車トヨタGR010ハイブリッドが暫定2位へとアップ。この前後には各車がルーティンのピット作業を実施したが、タイヤ交換の有無はチームによって判断が分かれており、これを境にして、各車のタイムギャップが広がる。ハイパーカークラスでは、スタート時にトップを奪った6号車が安定の走りを披露し、折返しとなる3時間を経過した時点でもトップをキープ。これにトヨタ勢の7号車、8号車が続いた。ミディアムタイヤを選択したトヨタ勢はコースコンディションに見合う態勢を築き、トップとの差を確実に縮めるパフォーマンスを披露。その中で、まず3番手にいた8号車が平川亮の手で、シスターカーの7号車を先行。さらにトップの6号車を攻め立て、残り2時間の時点で接近戦へと持ち込む形となった。
 

各車が最終スティントを終えてコースに復帰すると、トヨタの2台はワン・ツー体制を確立。ここから先は、チームメイト同士による激しトップ争いが繰り広げられたが、残り1時間半強の段階で、7号車をドライブする可夢偉が8号車を逆転する。予選でポールポジションを手にし、レースでは最終スティントを担当した可夢偉は、レース終盤にファステストラップを刻む力走で圧巻のパフォーマンスを披露。そのまま8号車を従えて、6時間経過のトップチェッカーを受けて完全勝利を果たした。また、8号車も2位に続き、凱旋ラウンドをパーフェクトウィンで飾ったトヨタが、最終戦を待たずして、今シーズンのマニュファクチャラータイトルを獲得している。
 

LMP2クラスは、クラストップからスタートを切ったユナイテッド・オートスポーツのNo.22オレカ07・ギブソンがトップをキープ。これにシスターカーの23号車が続く。レース折返しの時点で、2位にはチームWRTのNo.41オレカ・ギブソンがポジションアップ。41号車は、その勢いでレース終盤にトップを奪取し、このままチェッカーを受けることになった。また、41号車に先行された22号車は、41号車のシスターカーである31号車の猛追を受けて、一時逆転を許したが、最後の最後にポジション奪還を果たし、2位でチェッカーを受けた。
 

GTE Amでは、予選クラス11番手スタートとなったAFコルセのNo.54フェラーリ488 GTEエボが終盤に大逆転を果たし、優勝を果たす結果となった。スタート直後は、予選3番手から藤井誠暢がスタートドライバーを担当したDステーション・レーシングのNo.777アストンマーティン・バンテージAMRがトップに立つ走りを見せるなど、盛り上がりを見せたが、折返しの3時間が経過した時点で、アイアン・デイムスのNo.85ポルシェ911 RSR-19とコルベット・レーシングのNo.33シボレー・コルベットC8.Rが激しいトップ争いを繰り広げた。
 

33号車が遅めのタイミングで1回目のピットインを済ませると、ライバルに先んじてピット作業を済ませていた54号車が3位で先行。ライバルよりも速いペースでの周回を重ねることで、さらにポジションアップを果たし、2位へと浮上する。GTE Amクラスでは、決勝日になって急激に変化した路面コンディションと装着するタイヤとのマッチングに苦しむチームも少なくなかったようで、ポジション争いにも明暗が分かれたようだ。その中で54号車に33号車が追いつく激戦を展開する中で接触が起こり、のちに33号車に対しては30秒のピットストップペナルティが課せられている。また、33号車は終盤になっても他車への走路妨害によるペナルティの対象となるなど、浮き沈みの多い内容となってしまった。
 

最終的に、タフな戦いの中で戦略を完遂させた54号車がクラストップのチェッカーを受けることに。一方、終盤に追い上げを見せたケッセル・レーシングのNo.57フェラーリ488 GTEエボが、今回WECデビュー戦となる宮田莉朋の手によってポジションアップを果たし、2位へ。追い上げによる逆転に注目が集まったが、レースは残り20分の時点でFCYが導入され、惜しくもこのままチェッカーの運びに。日本人選手ふたりがドライブする57号車が2位表彰台に立つこととなったが、夜遅くになって発表されたFIAによる正式結果では、57号車に対し、FCY導入時の速度違反がペナルティの対象となり、レース結果に10秒加算が行なわれた。これにより、57号車は3位降格の結果となっている。
 

<決勝結果>ハイパーカークラスのみトップ3

ハイパーカークラス
1.No.7 トヨタGAZOO Racing(トヨタGR010ハイブリッド)6H01’17.551 229Laps
2.No.8 トヨタGAZOO Racing(トヨタGR010ハイブリッド)+39.119
3.No.6 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(ポルシェ963)+47.768
 
LMP2:No.41 チームWRT(オレカ07・ギブソン)219Laps
 
LMGTE Am:No.54 AFコルセ(フェラーリ488 GTEエボ)210Laps
 
(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 
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2023年9月10日 更新

WEC富士、可夢偉ドライブのトヨタがポール獲得!

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9月9日、静岡・富士スピードウェイにて開催中の世界耐久選手権レース(WEC)第6戦の予選が行なわれ、マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスがドライブする7号車トヨタGR010ハイブリッドが総合ポールポジションを手にした。
 

台風13号の通過の影響を受け、前日から不安定な天候に見舞われた富士。予選日もその流れが続き、午前中に行なわれた3回目のフリー走行も雨絡みとなった。アタックシミュレーションも十分に行なわれないなか、午後2時40分から予選セッションが幕を開けた。
 

まず、LM-GTE Amクラスから始まったタイムアタック。ウエット宣言下、しかも気温24度、路面温度27度とすっかり秋模様のコンディションとなる。そんな中、各車はウエットタイヤからドライタイヤへと置換してタイムアップ。その中で、コルベット・レーシングのNo.33 シボレー・コルベットC8.Rがトップタイムを刻み、ポールポジションを掴み取った。
 

LM-GTE Amクラス同様に今シーズンがWECラストイヤーとなるLMP2の予選セッションがスタート。各車タイムアップを見せる中、ライバルの動向と路面コンディションを見極めてユナイテッド・オートスポーツのNo.22 オレカ07・ギブソンがトップタイムをマークしている。
 

各クラスによる壮絶なグリッド争いが熱を帯びる中、いよいよ午後3時30分から始まったのが、ハイパーカークラスのタイムアタック。路面もドライコンディションをキープしており、すぐさま各車がコースインしていく。その中で、No.5 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツだけがピットでウェイティング。満を持してコースへと向かった。
 

残り時間が迫る中、まずは6号車のポルシェがトップタイムを刻むが、その直後に7号車トヨタGR010ハイブリッド、つまり可夢偉がライバルを大きく引き離すタイム_1分27秒794をマークし、トップに躍り出る。これに刺激を受けるように、シスターカーの8号車も2番手タイムを刻み、トヨタがワン・ツーのポジションを完成させる。すると、終了目前の時点で、ポツポツと雨が落ち始めたことから、その後のタイムアタックは見られず。結果、トヨタがホームサーキットでのワン・ツーフォーメーションを決めて見せた。
 

日曜日の決勝レースは午前11時に号砲。6時間先のフィニッシュラインを真っ先に走り抜けるのは、果たしてどのクルマか?
 

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<予選結果>ハイパーカークラスのみトップ3

ハイパーカークラス
1.No.7 トヨタGAZOO Racing(トヨタGR010ハイブリッド)1’27.794
2.No.8 トヨタGAZOO Racing(トヨタGR010ハイブリッド)1’28.418
3.No.6 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(ポルシェ963)1’28.687
 

LMP2:No.22 ユナイテッド・オートスポーツ(オレカ07・ギブソン)1’32.182
 

LMGTE Am:No.33 コルベット・レーシング(シボレー・コルベットC8.R)1’38.338
 
(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 



2023年9月8日 更新

WEC in JAPAN、シーズン終盤の決戦に

9月8日から10日までの3日間、静岡・富士スピードウェイにおいて開催される世界耐久選手権(WEC)。シーズン第6戦の舞台となる今大会は終盤直前の戦いに当たり、結果次第でタイトル獲得の行方がより明確になるという重要な一戦となる。天候の行方を含め、不確定要素も多い中、出走する全36台には、果たしてどんな戦いが待ち受けているのだろうか。
 

・日本人選手は8名参戦
戦いの舞台となる富士スピードウェイは、言うまでもなくトヨタのホームコース。母国での凱旋レースだけに是が非でも好成績を残したい。TOYOTA GAZOO Racingには、小林可夢偉と平川亮が在籍。ハイパーカークラスでの出場は2名だが、残る6名のうち_星野敏、藤井誠暢(Dステーション・レーシング)と木村武史(ケッセル・レーシング)は、WECにシリーズ参戦する3名となる。さらに、スポット参戦となるのが、木村と同じチームで出走する宮田莉朋。彼は、今シーズンからTGR WECチャレンジプログラムのラインナップドライバーとしてすでにチームに帯同する”未来のハイパーカードライバー”だが、今回は、木村のチームメイトが欠場となったため、諸条件からWEC参戦に”ぴったり”なドライバーとして、急遽白羽の矢が立ち、参戦と相成った。残る2名は、ケイ・コッツォリーノと小泉洋史。彼らは、AFコルセでフェラーリ488GTEエボをドライブするのだが、今シーズンは、ミシュラン・ル・マン・カップに参戦していることから、WEC参戦へと繋がったようだ。コッツォリーノはル・マン24時間はじめ、WECでのキャリアもあり、走り慣れた富士での躍進にも期待がかかる。なお、6名はすべてLM-GTE Am(アマ)クラスでの参戦。4メーカー、13台で競うクラスだが、プロ・アマのドライバーが入り交じっての戦いだけに、戦略をうまく味方につけて好成績を狙っていきたいところだ。
 

・今シーズンで見納めのクラスも
WECでは、ハイパーカークラスを筆頭に、LMP2とLM-GTE Amクラスに分かれているが、うち、LMP2は「オレカ07・ギブソン」のワンメイク状態。クラスチャンピオン争いも僅差で展開しており、この富士での結果が最終ラウンドに向けて大きな影響を与えるのは言うまでもない。なお、このLMP2とLM-GTE Amは、今シーズンをもってカテゴリーが廃止されることになっている。つまり、今大会は、富士で見られるラストチャンスというわけだ。6名の日本人選手が出走するGTE Amクラスの有終の美となる富士で、日本人選手の活躍を見届けない手はない。
 

・ハイパーカークラスには、日本に馴染みあるドライバーがスポット参戦
メーカーワークスおよびプライベーター12台が勢ぞろいするハイパーカークラス。現在、ドライバーズチャンピオンシップでトップを走るのは、8号車のTOYOTA GAZOO Racing。シスターカーである7号車との戦いだけでなく、今シーズンデビューし、ル・マン24時間を勝利したフェラーリ・AFコルセを始めとする、強者を相手に”地元”サーキットの富士をどう攻略するか。加えて、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツやキャデラック・レーシングもしかり。いずれも、富士では初お披露目となる一戦だけに、しかとその勇姿を見届けたいところだ。
 

また、富士でのレース経験を請われてスポット参戦するドライバーがいることを記しておきたい。94号車プジョー9×8を駆るストフェル・バンドーン、4号車ヴァンウォール・バンダーベル680・ギブソンには、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの2名だ。バンドーンは全日本スーパーフォーミュラに参戦した経験を持ち、富士も経験済み。一方のデ・オリベイラは、2004年から日本でレース参戦する”大ベテラン”。全日本F3、フォーミュラ・日報、SUPER GTのGT300クラスでチャンピオンを手にしており、百戦錬磨の富士を舞台に、どのようなパフォーマンスでWECをモノにするのか、楽しみだ。
 

レースは、8日(金)からフリープラクティスが始まり、9日(土)には各クラス別の予選が行なわれ、10日(日)は、午前11時にスタートが切られ、6時間の戦いを繰り広げる。8日午後には台風13号が東日本に上陸する見込みだが、この日、富士スピードウェイではウエットコンディションながら、無事に1回目のフリープラクティスが行なわれている。明日以降も天候の行方が気になるところだが、大きな影響がない限り、日曜日の決勝はドライコンディションでの開催も期待できそうだ。
 

レーススケジュール

9月8日(金)
11:00 ~ 12:30 フリープラクティス1
15:30 ~ 17:00 フリープラクティス2
 

9月9日(土)
10:20 ~ 11:20 フリープラクティス3
14:40 ~ 14:55 LMGTEアマ予選
15:05 ~ 15:20 LMP2予選
15:30 ~ 15:45 ハイパーカー予選
 

9月10日(日)
11:00 ~ 17:00 決勝








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