2021 ル・マン24時間レース - イベント・レースレポート

スポーツカー専門 GTNET

  1. スポーツカーの中古車ならGTNET
  2. 海外イベント・レースレポート
  3. 2021 ル・マン24時間レース

2021 ル・マン24時間レース

2021年8月26日 更新

第89回ル・マン24時間、可夢偉の7号車トヨタが念願の初勝利!

第89回ル・マン24時間がチェッカーを迎え、大きなトラブルもなく安定の走りを見せたTOYOTA GAZOO RacingのNo.7 トヨタGR010ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス組)がついに悲願のル・マン優勝を実現させた。2位には他車による追突、メカニカルトラブルを抱えつつ、しぶとく戦いきった僚友の8号車(S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー組)。この結果により、トヨタはハイパーカークラス初年度の戦いをものにし、また、2018年の初優勝から4年連続での優勝を達成している。
 

アクシデントやマシントラブルなど、勝利した7号車より”災難”が多かった8号車。とはいえ、7号車とてノートラブルで24時間を制覇したわけではない。レース序盤、スタートドライバーを務めたコンウェイがドライブ中にリアタイヤが2度に渡ってパンク。イレギュラーのピットインでタイヤ交換を余儀なくされた。また、折返しの12時間を過ぎた中盤には可夢偉がオーバーランを喫するなど、幾度となく半プニングに見舞われた。さらに、後半になると先に8号車が被った燃料タンク系のトラブルが7号車にも及び、スティントのラップ数を予定より切り上げたり、ときにはコース上に一旦クルマをとめて対策を施すなど、重大なトラブルになる前に少しのロスタイムならいとわない、という考えで着実なレース運びを進めてきた。
 

厳しい状況の中、都度最善の戦略をやり遂げることにより、7号車は徐々に8号車との差を築き上げ、残り5時間を切ると8号車を1周遅れにした。実のところ、8号車は燃料タンク系のトラブルがその後も解決するには至らず、もともと予定していたものよりも短いスティントで戦いを乗り切る戦略に切り替えざるを得ない状況になっていた。また、終盤には後続とのギャップを踏まえた上でピット作業を繰り返す事態となり、安定感を欠く戦いとなってしまった。このようなトラブルは、ニューマシン初年度だからこそのものなのか、あるいは24時間を戦うル・マンという特別の舞台だからなのか、様々な要素が織りなす中でまだはっきりとした原因はわからないだろうが、今後の戦いに向けてのトラブルシューティングが山積していることだけは間違いなさそうだ。
 

幸い、7号車と8号車は午後4時を過ぎてランデブー走行でのフィニッシュラインを通過。ワンツーフィニッシュで連覇を祝った。なお、今シーズン始めてWECへの参戦を開始し、また話題を集めていたグリッケンハウス・レーシング。3位のNo.36 アルピーヌA480・ギブソンと同一周回で708号車がチェッカーを受ける結果となった。
 

LMP2では、チームWRTがチーム同士によるポジション争いを展開。予選クラスポールのNo.38 オレカ07・ギブソン(R.ゴンザレス/A.F.ダ・コスタ/A.デビッドソン組)から41号車(R.クビサ/L.デレトラズ/Y.イェ組)が序盤にトップを奪ったが、その後、31号車(R.フラインス/F.ハプスブルク/C.ミレッシ組)が逆転。だが41号車もその後方から逆転のチャンスを狙い、チーム同士の激しいバトルを展開した。残り2時間を切って再びクラストップに躍り出た41号車。このままチェッカーを迎えるかに思われたが、なんと、残り1周にも満たない3分の時点で、41号車があろうことかスローダウン。これを横目に31号車がクラストップに返り咲き、チェッカーを受ける。だが、41号車はホームストレートまでクルマを運ぶことができず、チームのワンツーフィニッシュの夢が絶たれた。
 

LMGTE-Proは恒例のフェラーリ、ポルシェ、そしてシボレー同士が激しい戦いを繰り広げた。その中からル・マンを知り尽くすAFコルセの51号車(A.ピエール・グイディ/J.カラド/C.レドガー組)がライバルを徐々に引き離し、圧倒的な強さを見せつける。負けじと2番手からコルベット・レーシングの63号車(A.ガルシア/J.テイラー/N.キャツバーグ組)が攻め立てたが、逆転の一手が打てず。このままチェッカーを迎えた。3位には、ポルシェGTチームの92号車(K.エストーレ/N.ジャニ/M.クリステンセン組)が続いた。そして、日本からの参戦ドライバーも挑んだLMGTE-Amクラス。こちらもプロクラス同様、手堅いレース運びを見せ続けたAFコルセの83号車(F.ペロード/N.ニールセン/A.ロベラ組)がトップチェッカーを受けている。
 

昨年のル・マンは開催が9月まで遅れ、無観客での開催だった。依然新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、今年は8月に延期。観客数も極めて限定されての開催ではあったが、伝統の耐久レースの開催に胸を躍らせるファンも多かったことだろう。来年のル・マンはWEC第3戦として6月11〜12日、従来の日程での開催実現が待ち遠しい。
 

ル・マン24時間レース最終結果(総合トップ3および各クラストップ)

<LMP1>
1.No.7 トヨタGR010ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス組)371周
2.No.8 トヨタGR010ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー組)369周
3.No.36 アルピーヌA480・ギブソン(A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール組)367周
 

<LMP2>
No.31 チームWRT(R.フラインス/F.ハプスブルク/C.ミレッシ組)363周
 

<LMGTE-Pro>
No.51 AFコルセ(A.ピエール・グイディ/J.カラド/C.レドガー組)345周
 

<LMGTE-Am>
No.83 AFコルセ(F.ペロード/N.ニールセン/A.ロベラ組)340周
 

(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 
6122787b5747b61225b74e0291



2021年8月25日 更新

第89回ル・マン24時間、18時間を経過。トップ不動の7号車に対し、8号車にトラブル発生

第89回ル・マン24時間の戦いも、残すところ4分の1、6時間を切る事となった。夜の帳が下り、漆黒の闇を戦い抜いたチーム、ドライバーのもとに眩しい朝の光が差し込んだル・マン、サルテサーキット。トップは依然としてTOYOTA GAZOO RacingのNo.7 トヨタGR010ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス組)。僚友の8号車S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー組)ともに順調なレース運びを見せていることもあり、2台の差もほぼ変わらず、1分40秒前後という状況が続いている。
 

ともに大きくペースを崩すことなくレース運びを見せているTOYOTA GAZOO Racing。だが、実のところ、レース折返しの12時間を少し過ぎた頃、トップを快走する7号車では、ひやりとする場面があった。ステアリングを握っていたのは、小林可夢偉。インディアナポリスの左コーナー入口でオーバーランがあったのだ。フロントタイヤをロックさせ、肝を冷やすことになった上に2位8号車との差が大きく縮まってしまった。しかし、徐々にペースアップを果たし、8号車との差をじわりじわりと広げていく。一方、8号車はフロントカウル交換の作業がイレギュラーで発生。これを機に、再び2台の差が1分を超えるものになった。さらに、その後8号車は燃料タンクにトラブルが発生。ガソリンを存分に補給できない状況となったようで、自ずとピットインの回数が増えていくことになった。幸い、3位との差も開いていることから、逆転の可能性はまだ高くないが、7号車との攻防戦は事実上厳しいものになってしまった。
 

幸い、その1時間後にはコース上で緊急停止し、プログラム設定変更を実施。これによりトラブルが解決したようだが、その後は通常のスティントでの周回がこなせるようになった模様。しかしながら、トップ7号車との差はほぼ1周となってしまった。チェッカーまで残り6時間弱。午後4時のゴールに向け、このまま大きなトラブルなく各車走破できるか否か。緊迫の戦いはまだ続いている。
 

ル・マン24時間レース途中結果(午前10時・18時間経過/総合トップ3および各クラストップ)

<LMP1>
1.No.7 トヨタGR010ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス組)274周
2.No.8 トヨタGR010ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー組)273周
3.No.36 アルピーヌA480・ギブソン(A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール組)269周
 

<LMP2>
No.31 チームWRT(R.フラインス/F.ハプスブルク/C.ミレッシ組)268周
 

<LMGTE-Pro>
No.51 AFコルセ(A.ピエール・グイディ/J.カラド/C.レドガー組)254周
 

<LMGTE-Am>
No.83 AFコルセ(F.ペロード/N.ニールセン/A.ロベラ組)250周
 

(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 
6121f3fa02ee4



2021年8月25日 更新

第89回ル・マン24時間、レース折返しを迎え、トヨタのワンツーに異変なし!

8月21日、フランス現地時間の午後4時、雨のスタートを切った第89回ル・マン24時間耐久レース。雨も上がり、12時間を過ぎた時点ではトヨタGAZOO Racingの2台がトップ2を形成している。
 

ポールスタートのNo.7 トヨタGR010ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス組)は、スタートを務めたコンウェイがドライブしていた序盤に2度のパンクに見舞われるアクシデントも見られたが、まったく屈することなくトップをキープしている。一方、予選2位のNo.8 トヨタGR010ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー組)は、オープニングラップで他車から追突され、まさかのスピン。ほぼ最後尾からの追い上げを強いられたが、着実なレース運びに加え、従来の速さを武器にポジションを挽回。トップ7号車に対して1分半超の差を着けられてはいるが、同一周回でレース運びを続ける奮闘を見せている。
 

レインタイヤを装着してのスタートから、6時間超。徐々に雨が上がり、ピットピンのタイミングによってタイヤの交換が始まる。トヨタ2台を追うNo.36 アルピーヌA480・ギブソン(A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール組)は、ライバルに先んじてインターミディエイトからスリックへと交換し、勝負をかける。ライバルチームの動きを確認したのか、トヨタ勢もその後のピットワークでスリックタイヤへの交換を行った。一方、トヨタ2台の争いにも少しずつ変化があらわれた。まもなく開始8時間、という時点でセーフティカーが導入され、この状況に合わせたピットインのタイミングで2台の差が大きく縮まったためだ。この先もレースの展開、状況次第によって2台の接戦に期待が集まりそうだ。
 

一方、他のクラスにおいては、まずLMP2クラスは序盤に上位陣が付かず離れずの隊列で周回を重ねていたが、その中からセーフティカーランを機に、チームWRTの31号車と41号車がワンツー体制となった。また、LMGTE-Proクラスは、上位7台が同一周回で互いにチャンスを探り合う状況。一旦、No.63 コルベット・レーシング(A.ガルシア/J.テイラー/N.キャツバーグ組)がトップに躍り出たが、ルーティンのピット作業で痛恨のペナルティを取られてしまう。結果、No.51 AFコルセ(A.ピエール・グイディ/J.カラド/C.レドガー組)がクラストップを快走している。また、LMGTE-Amクラスでは、序盤トップだったNo.33 TFスポーツ(B.キーティング/D.ペレイラ/F.フラガ組)をNo.83 AFコルセ(F.ペロード/N.ニールセン/A.ロベラ組)が逆転。ただ、大きな差はついておらず、後半戦もタフな戦いが続く模様だ。
 

ル・マン24時間レース途中結果(午後4時・12時間経過/総合トップ3および各クラストップ)

<LMP1>
1.No.7 トヨタGR010ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス組)177周
2.No.8 トヨタGR010ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー組)+1’41.252
3.No.36 アルピーヌA480・ギブソン(A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール組)174周
 

<LMP2>
No.31 チームWRT(R.クビサ/L.デレトラズ/Y.イェ組)173周
 

<LMGTE-Pro>
No.51 AFコルセ(A.ピエール・グイディ/J.カラド/C.レドガー組)165周
 

<LMGTE-Am>
No.83 AFコルセ(F.ペロード/N.ニールセン/A.ロベラ組)163周
 

(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 

61216d89af7816121eb4fd4298



2021年8月25日 更新

第89回ル・マン24時間、雨の中、レース6時間後のトップはNo.7 トヨタGR010ハイブリッド

8月21日、第89回ル・マン24時間耐久レースの決勝が幕を開けた。現地時間午後4時(日本時間午後11時)に号砲となったが、スタート前から雨がコースを濡らし、ウェットコンディション下で長い戦いが動き始めた。各車が水煙を大きく上げて走る中、1周13kmを超えるコースだけに場所によってずいぶんとコンディションが異なり、雨脚も異なる状況。スタートフラッグが振られてスタートしたものの、セーフティカー先導のままでフォーメーションラップに突入する。さらに2周追加の「エクストラ・フォーメーションラップ」が宣言されるなど、今大会のスタート直後は天候に左右される形で始まっている。
 

ハイパーカークラスは、総合トップ、ポールポジションスタートの7号車が難なくトップの座をキープし、周回を重ねている。だが僚友の8号車には早々から試練が訪れた。セーフティカーランが終わり、実質的なスタートを迎える中、予選3番手のNo.36 アルピーヌA480・ギブソン(A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール組)がダンロップシケインで勝負をかけて、7号車を逆転。3番手に落ちた8号車は、なおもNo.708 グリッケンハウス・レーシング(P.デラーニ/F.マイルー/O.プラ組)から追突され、まさかのスピン。大きくポジションダウンを強いられた。この他、不安定な路面に足元を救われスピンする車両も多く、ポジションも都度激しく入れ替わる。だが、依然としてトップ7号車に変わりはなく、また雨が止んでコースコンディションが安定しはじめた1時間後には、8号車が2番手まで挽回を果たした。
 

レースから3時間が過ぎトヨタの2台には少しずつ差がつき始めていたが、8号車はスタートから5時間を前にしてイレギュラーピットインを敢行。右リヤタイヤ交換を行ったことで、さらにトップ7号車との差が開いてしまった。レースはこの直後から再び雨模様へと変化。不安定な路面コンディションが影響し、あちこちでアクシデントを招いた。結果、2度目のセーフティカー導入となったが、レースがリスタートすると、またしても降雨……という繰り返しが続いた。
 

6時間経過後の総合トップ3、および各クラストップは以下のとおり。
 

◎ル・マン24時間レース途中結果(午後10時・6時間経過/総合トップ3および各クラストップ)
 

<LMP1>
1.No.7 トヨタGR010ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス組)88周
2.No.8 トヨタGR010ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー組)+1’27.148
3.No.36 アルピーヌA480・ギブソン(A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール組)87周
 

<LMP2>
No.41 チームWRT(R.クビサ/L.デレトラズ/Y.イェ組)86周
 

<LMGTE-Pro>
No.51 AFコルセ(A.ピエール・グイディ/J.カラド/C.レドガー組)82周
 

<LMGTE-Am>
No.33 TFスポーツ(B.キーティング/D.ペレイラ/F.フラガ組)81周
 

(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 

tjm2121au35161211f08da730



2021年8月22日 更新

第89回ル・マン24時間、昨年に続きトヨタ7号車の小林可夢偉がポールポジションを獲得!

いよいよ明日、フランスの現地時間午後4時(日本時間午後11時)のスタートが切られる第89回ル・マン24時間レース。現地時間19日木曜日の午後9時からは、30分間のハイパーポールが行われた。これは、各クラス上位6台、合計23台が出走して最終的な予選グリッドを決めるタイムアタックセッション。ハイパーカークラスから出場するTOYOTA GAZOO Racingは、7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)、そして8号車トヨタGR010ハイブリッド(B・ハートレー/中嶋一貴/S・ブエミ組)が揃って出走した。
 

シュートアウト方式の最終予選は、昨シーズンの今大会で初採用。30分という短いセッションを活用し、ドライバーによる渾身のアタックはもちろんのこと、うまくタイミングを合わせるのもチームとして腕の見せどころといえる。8号車はハイパーポールを前に夕方行われたフリープラクティス3で中嶋一貴が思わぬクラッシュを喫するなど、ひやりとする場面も見られたが、無事に修復を済ませてアタックに姿を現した。なお、7号車のアタッカーは可夢偉。一方、8号車はハートレーがステアリングを握った。
 

セッションは開始10分も経たないうちに、LMGTEプロの1台がクラッシュし、赤旗中断。限られた中で各車が自己ベストタイムを更新しながらライバルを牽制。最終的にセッション序盤、7号車の可夢偉が刻んだ3分23秒900を破るライバルは現れず、ポールポジションを手中に収める結果となった。なお、可夢偉のポールポジション獲得は2019年、20年、21年と3年連続。加えて、トヨタとしてのポールポジション獲得は5年連続に伸びた。また、僚友8号車もセッション再開後にチームベストを更新し、3分24秒195のタイムで予選2位を獲得。これにより、TOYOTA GAZOO Racingがフロントローを独占する形でスタートを切ることになった。
 

昨年の大会は9月開催ということから、スタート時間が現地時間の午後2時30分(日本時間午後9時30分)となったが、今大会は現地時間午後4時にスタート。WEC(世界耐久レース)およびル・マンで迎えるハイパーカー元年のレースは、トヨタにとってもニューマシンでの初勝利を目指す戦いになる。
 

第89回ル・マン24時間レース予選順位(LMP1クラスのみ上位3台)

<HYPERCAR>
1.No.7 トヨタGR010ハイブリッド(M.コンウェイ/小林可夢偉/J-M.ロペス組)3’23.900
2.No.8 トヨタGR010ハイブリッド(S.ブエミ/中嶋一貴/B.ハートレー組)3’24.195
3.No.36 アルピーヌA480・ギブソン(A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール組)3’25.574
 

<LMP2>
1.No.38 オレカ07・ギブソン(R.ゴンザレス/A.F.ダ・コスタ/A.デビッドソン組)3’27.950
 

<LMGTE Pro>
1.No.72 ポルシェ911 RSR-19(D.ファントール/A.パレンテ/M.マルタン組)3’46.882
 

<LMGTE Am>
1.No.88 ポルシェ911 RSR-19(J.アンドラウアー/D.バスティン/L.アーノルド組)3’47.987
 

(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 
tjm2119au31

tjm2119au702



2021年8月22日 更新

今年もコロナ下でのル・マンが開幕。ただし有観客実施に

フランスはもとより、ヨーロッパの夏の風物詩としても知られるル・マン24時間レース。今夏のフランスは、1年遅れながら無事開催されたオリンピックを終えた東京から2024年パリ大会に向けて希望のバトンを受け取ったばかり。その勢いにも押されるような形で今週末にはいよいよ89回目の大会が幕を開ける。昨年も猛威を振るう新型コロナウイルス感染症に立ち向かい、伝統のレースを実施。未だ変異株の拡大により予断を許さない状況ではあるが、世界トップの耐久レースは、収束を願う気持ちとともに開催される。
 

6月から8月へ

24時間通して戦う過酷なイベントは、もともと夏至にもっとも近い時期に開催されることが常だった。シビアなコンディションでステアリングを握るドライバーへの負担が少しでも軽減されるよう、また、視認性が高い時間帯の確保によって、車両同士の不本意な接触も回避できることから、日没の時間が最も遅くなる日程で実施されていた。しかし、昨年同様、今年の6月を迎えてもなお新型コロナウイルス感染症拡大の収束が見えず、2年連続で開催時期の順延を強いられた。昨年の9月よりはまだ日没時間も遅く、夜9時くらいでもまだ外は明るいと考えられるため、昨年よりは多少リスクを減らすことができるのではないだろうか。
 

コロナ下でできること

昨年は大会中止を回避するため、6月から9月への延期、そして無観客での実施となった。開催するだけでも厳しい条件を突きつけられていたことを考慮すれば、致し方ない選択だった。例年、ル・マンの地には25万人超のレースファンが足を運ぶ。ヨーロッパはもとより、北米、アジアからも年々観客は増えており、各々が独自のスタイルで長いレースウィークをサーキット周辺で過ごすのも風物詩となっている。その楽しみがようやく今年に復活するとなれば、ファンにとってはうれしい限りだろう。しかしながら、残念なことに観客には上限が設けられている。今大会は5万人に制限した上での開催となるようだ。欧州では日本よりも早いスケジュールでワクチン接種が終わっていると思われるが、世界各国からの人の流入を考えると相当リスクも高まるため、人数制限は苦渋の決断だったとも言える。
 

一方で、昨年は開催が見送られたテストデーは実施に至った。ちょうどレース1週間前となる8月15日、現地では朝9時から午後1時、さらに午後2時から午後7時まで、合計9時間の走行セッションが設けられ、全クラス計62台の車両が常設サーキットのサルト・サーキットおよび一般公道で構成された1周13.626kmを走り、本戦に向けての最終調整を試みた。この中で全セッションのトップタイムをマークしたのが、グリッケンハウス・レーシングの708号車グリッケンハウス007 LMH(ピポ・デラーニ/フランク・マイルー/オリビエ・プラ/グスタボ・メネゼス)。3分29秒115をマークした。一方、同じハイパーカークラスでGR010ハイブリッドを投入するトヨタGAZOO Racingでは、中嶋一貴がドライブする8号車が早々にチームベストタイムをマークしていたが、僚友の7号車をドライブするマイク・コンウェイがこれを上回る3分29秒340をマーク、総合2番手となった。WEC第3戦モンツァからほぼ1ヶ月。充分過ぎるインターバルを経て、長く過酷な戦いを前に実戦コースでのテストランが実現したのは、ドライバーはもとよりチームにとっても大きな成果になったことだろう。
 

トヨタ、目指すは四連覇

昨シーズンに続き、今シーズンも予選方式と日程に変化が見られる。決勝前の走行セッションは水曜、木曜の2日。水曜はフリープラクティスが2回。日中に3時間、日没後に2時間の枠がある。そして、ちょうど現地でのトワイライトタイムに当たる午後7時から1時間にわたる予選を行う。続く木曜日も前日同様の時間、時間枠でフリープラクティスを2回実施。そして、その合間を縫って行われるのが30分間の「ハイパーポール」セッションとなる。
 

水曜日の予選でトップタイムとなる3分26秒279をマークしたのは、7号車のトヨタ。アタックラップを刻んだのは、小林可夢偉だった。一方、僚友8号車は3分27秒671のタイムで3番手。36号車のアルピーヌ・エルフ・マットミュート(A.ネグラオ/N.ラピエール/M.バキシビエール)がトヨタの2台に割って入る形となっている。
 

なお、ハイパークラスに参戦する可夢偉や中嶋に加え、大舞台に挑む日本人選手としては、LMGTEアマクラスには、777号車Dステーション・レーシング(車両はアストンマーティン・バンテージAMR)の星野敏と藤井誠暢、そして57号車ケッセル・レーシング(車両はフェラーリ488 GTE Evo)の木村武史の3選手が参戦。また、賞典外ではあるが、イノベーション部門となる「ガレージ56」枠から初出場を叶えた青木拓磨が84号車アソシエーション・SRT41(車両はオレカ07・ギブソン)から挑む。元GPライダーとして知られる青木。オートバイでの事故により身体の自由を奪われてはしまったが、4輪レースに挑み続け、今回大きな夢を実現させるに至った。
 

木曜日、現地時間の午後9時から30分間で行われるハイパーポール。ここには各クラス上位6台が出走することになるが、日本人ドライバーとして進出を果たすのは、ハイパークラスのトヨタの2台のみ。トヨタは2018年からの4連覇をかけて挑む戦いに向け、まずはポールポジション獲得にターゲットをロックしているはず。今年投入されたばかりの新型ル・マン・ハイパーカー(LMH)であるGR010ハイブリッドがポールポジションを手にするかどうか、見どころになるだろう。
 

金曜日は走行セッションがなく、ル・マン24時間の決戦直前、土曜日の午前11時30分から15分間のウォームアップ走行を経て午後4時にいよいよスタートを迎える今年のル・マン。日本国内では、ちょうどSUPER GT第3戦鈴鹿大会が行われている中での決戦となるが、レースファンにとっては寝る間も惜しむほどのホットな戦いを繰り広げて欲しいものだ。
 

(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 

tjm2115au11
 611c03a7af68a








スポーツカーの中古車情報ならGTNET