ル・マン24時間、初日トップはポルシェが獲得
6月10日、薄曇りの中、第83回ル・マン24時間レースの予選1回目が行われ、昨年からシリーズに復活を果たしたポルシェが驚愕のトップタイムをマーク、暫定ポールポジションを手にした。
レースウィークは、7、8日にル・マン市街地で行われた公開車検からスタート。9日はサーキット内での準備作業が着々と進み、この日はまず午後4時から4時間にわたってフリー走行を実施。午後10時からの予選1回目に向けて各チームともそれぞれのメニューに取り組んだ。
天気予報では雨の確立が極めて低かったこの日、あいにく午後2時を迎える前には雨が降りはじめ、あっという間にウェットコンディションへと変わってしまった。だが、午後4時のスタートが近づくと、徐々に天候も回復。路面はまだ濡れているものの降雨は免れる状況でセッションが幕を開けた。しかし、この天候の変更は実に気まぐれで、その後は降ったり止んだりの繰り返し。予選セットの最終確認や路面に合わせたタイヤコンディションのチェックなど、やるべき作業が思うほど消化できない状態となった。
そんな中、この日がレースカーでのル・マン初走行となったニッサン勢。21号車ニッサンGT-R LMニスモをドライブする松田次生が早速ステアリングを握り、フィーリングをチェック。実際はピットでの作業時間が長く、思うように周回を重ねるまでには至らなかった。
結果、フリー走行のトップタイムをマークしたのは、17号車ポルシェ919ハイブリッド。3分21秒362のタイムでライバルのアウディやトヨタに大きな差を築いた。
迎えた午後10時。夜になって天気が回復したル・マンは気温、路面温度も夕方とほぼ同等。路面はドライへと好転したことで、トップタイムの更新に期待が集まった。するとコースイン後、アウトラップを終えた17号車ポルシェのT.ベルンハルドが3分17秒767のタイムをマーク!2008年にプジョーのS.サラザンがマークしたレコードラップ3分18秒513を大きく更新してみせる。だがドラマはここで終わらない。さらに僚友の18号車ポルシェのN.ジャニが3分16秒887という驚愕の最速タイムをマーク。ポルシェの容赦ない予選アタック攻撃をみせつけた。
一方、アウディやトヨタといったライバル勢はこの動きを静観視。すべては決勝に向けての準備に特化しているかのような動きを見せ、ポルシェ3台にトップ3の座を明け渡している。結果、ポルシェは18、17、19号車の順に予選を終了。これに8号車アウディR18 e-トロン・クワトロ、9号車、7号車のアウディ勢が続き、トヨタTS040ハイブリッドの2台は2号車が7番手、中嶋一貴がドライブする1号車は8番手となった。
その中嶋。世界耐久レース(WEC)第2戦スパ・フランコルシャンの公式練習中、大雨の中でクラッシュを喫し、一時はル・マンへの出場が危ぶまれたが、手術の末にル・マン出走を実現。この日もセッション終盤にニュータイヤを装着してのアタックに挑み、健在ぶりをアピールしている。一方、ニッサン勢は23号車ニッサンGT-R LMニスモが総合12番手。松田次生はル・マンルーキーに義務付けられているナイトセッション5周走行を無事完了。だが、同時に電気系のトラブル修復に時間を取られることにもなり、思うほどマイレージを重ねることはできずにこの日のセッションを終えている。
◎予選1回目結果(各クラストップ)
LMP1 No.18 ポルシェ919ハイブリッド(R.デュマ/N.ジャニ/N.リーブ)3’16.887
LMP2 No.47 オレカ05・ニッサン(M.ホーソン/R.ブラッドレー/N.ラピエール)3’38.032
GTE Pro No.99 アストンマーチン・バンテージV8(F.リース/A.マクドーウェル/R.スタナウェイ)3’54.928
GTE Am No.98 アストンマーチン・バンテージV8(P.ダラ-ラナ/P.ラミー/M.ラウダ)3’55.102
(Text:Motoko SHIMAMURA)