WEC第5戦富士、8号車トヨタがポールポジション獲得!
10月11日、WEC世界耐久選手権第5戦「富士6時間耐久レース」は静岡・富士スピードウェイにおいて大会2日目を迎え、午前の練習走行を経て午後から各車2選手によるタイムアタック予選が行われ、決勝のグリッドが決定。No. 8 トヨタTS040ハイブリッドがポールポジションを獲得している。
WECの予選では、1台の車両につき2選手がタイムアタックを行い、ドライバー各自のベストタイムとそれに次ぐセカンドベストが記録される。結果、4周分の平均タイムをもってポジションが確定する。今回、8号車はセッション終盤、ギリギリの時点でトップへと躍り出る劇的なアプローチでポールポジションを手にした。先にアタックを行ったA.デビッドソンがLMP1クラス最速の1分26秒473をマークしていたが、後にアタックを行ったS.ブエミのタイムが思うように上がらない。さらには赤旗を挟んでの再アタックとなり、タイムアップには厳しいコンディションだった。実際、今回の予選で2、3番手につけた20号車と14号車のポルシェ919 ハイブリッドの2台は赤旗以降は走行を見送っており、決勝に向けてタイやを温存している(決勝では予選で装着した4本のマーキングタイヤの内、3本装着が義務付けられている)。だがしかし、トヨタの2台はホームレースで少しでも上位グリッドから決勝スタートを切るべく、最後まで諦めることなくアタックにこだわった。結果、ブエミがラストアタックでタイムを削ることになり。トップに浮上。まさに薄氷を踏む思いで手に入れた値千金のポールポジションだったといえる。
今季、14年ぶりとなる耐久レース復帰を果たしたポルシェ、中でも昨シーズンまでF1ドライバーだったM.ウェーバーがドライブする20号車は8号車に先んじてトップタイムをマーク、このまま今シーズン初のポールポジションが実現するかに思われたが、さにあらず。しかしながら、WEC1年目にして、トヨタそしてアウディと遜色のない速さ、強さを確立したことをアピールする絶好の機会となった。
4位には7号車トヨタ。アタッカーのひとりとして中嶋一貴がステアリングを握ったが、「あともう少しの部分が足りない感じですが、まずまずの結果だと思います」と前向きなコメントを残している。一方、アウディR18 e-tronクワトロの2台は、2号車が5位、1号車が6位に。富士を知り尽くすA.ロッテラー、アウディドライバーのアタッカーとして最速タイムをマークしたが、「速さが欲しいね」と少し不満の残るセッションとなったようだ。
いよいよ、日曜には6時間レースが号砲。昨年は大雨の影響により、赤旗中断を挟んで僅か16周、3時間弱のレースで終わっているだけに、今年こそはトヨタ、ポルシェ、アウディによる三つ巴の真っ向勝負に期待がかかる。
・公式予選結果 総合結果(TOP3および各クラストップ)
1.No. 8 トヨタTS040ハイブリッド 1’26.886
2,No.20 ポルシェ919 ハイブリッド 1’26.929
3,No.14 ポルシェ919 ハイブリッド 1’27.306
・LMP2
No.26 リジェJS P2ニッサン 1’33.062
・LMGTE Pro
No.99 アストン・マーチン・バンテージV8 1’39.686
・LMGTE Am
No.98 アストン・マーチン・バンテージV8 1’40.230

早朝こそ青空が広がった富士スピードウェイだったが、次第に灰色の雲が空を占領するようになった。心配される台風19号の影響はまだ受けずに済んだ。土曜日は午後からの予選を前にピットウォークを実施。多くの耐久レースファンが足を運んだ。

日本人ドライバーとして、また唯一のWEC参戦女性ドライバーとして活躍を続ける井原慶子選手(No.35 OAKレーシング/モーガン・ジャッド)。参戦するLMP2クラスでは、予選2位に該当するタイムをマークしていたが、再車検で車両に不備が見つかり、タイム抹消に。
決勝での追い上げに注目が集まる。



記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA