順調にトップの座をキープしてきた1号車アウディ。2番手につける20号車ポルシェとの差はおよそ1周。このまま順調に事が進めば、ル・マン2連覇を果たせる予定だった。しかしやはりレースは水モノ。午前11時を過ぎて1号車が第1シケイン先で急にストップ。再び走り出したが、レーシングスピードが確保できず、ピットにクルマを止めることに。結果として20号車ポルシェが暫定トップに立った。だが、この20号車も決して安泰とはいえない状態。すぐ後方から2号車アウディが勢いに乗ってあっという間にトップに詰め寄った。
決勝のゴールまで残り3時間を切る頃、ついにトップの20号車ポルシェと2位の2号車アウディとの差が1分を切る。もともと1周の差があった2台だが、2号車のロッテラーがファステストラップを乱発し、レースはトップ争いが俄然面白みを増してくる。しかし、この後2台の攻防戦は思わぬ形で終焉へ…。なんと、12時30分を過ぎて、20号車ポルシェがイレギュラーピットインを実施。チームはエースドライバーのウェーバーに健闘を期待してドライバー交代を実行したのだが、この直後にエンジントラブルが発生。スローダウンながらピットにクルマを戻せはしたが、最終的にはその勇姿をファンの前に見せることは果たせなかった。
こうして晴れて2号車がトップに立つと、あとは盤石の走り。トレルイエ、ロッテラー、ファスラーによる優勝は2011年から3度目の偉業となっている。一方でトヨタは8号車TS040ハイブリッドが3位で表彰台を確保。荒れたレース展開の中でもしかとチームの底力をアピールする形となった。
◎ル・マン24時間レース決勝結果(総合トップ3および各クラストップ)
1.LMP1 No. 2 アウディR18 e-トロン・クワトロ(M.ファスラー/A.ロッテラー/B.トレルイエ)379Laps
2. LMP1 No. 1 アウディR18 e-トロン・クワトロ(D.グラッシ/T.クリステンセン/M.ジェネ)376Laps
3.LMP1 No. 8 トヨタTS040ハイブリッド(A.デイビッドソン/N.ラピエール/S.ブエミ)374Laps
LMP2
1.No.38 ザイテックZ11SN・ニッサン(S.ドラン/H.チンクネル/O.ターベイ)356Laps
LMGTE Pro
1.No.51 フェラーリ458 イタリア(G.ブルーニ/T.バイランダー/G.フィジケラ)339Laps
LMGTE Am
1.No.95 アストンマーチン・バンテージV8(K.ポウルセン/D-H.ハンソン/N.シーム)334Laps
Text & Photo : 島村元子 / Motoko SHIMAMURA