雨の決勝日を迎えた富士スピードウェイ。午前11時からの決勝レースを前にピットウォークが行われ、1年ぶりの開催を待ちわびたファンが落ち着かない天候も気にすることなく貴重な時間を楽しんでいた。
決勝を前に雨脚が強くなり、レースへの不安が広がったが、その後も天候は一行に読めないまま。セーフティカーランによるレースが始まった。だがその一方で予選2番手からスタートを切るはずだったNo.8 トヨタTS030ハイブリッドには暗雲が立ち込めていた。出走前点検の時間でチームの3選手がコースやクルマの状況を確認するために出走したのだが、給油後、ピットを離れるタイミングが遅れてしまい、ピットレーンクローズドの時間に間に合わないというミスを犯してしまったのだ。結果、8号車はピットスタートを強いられる。
フロントローのもう一台の主役の姿がないまま、雨の中レースがセーフティカー誘導の形でスタートすると、8号車はコース上をすべての車両が通過した後にコースイン。この時点でライバルたちに丸々1周の差がつくことになった。だがレースも2周目を過ぎるとさらに雨が強まり、走行には極めて危険な状態という判断から、赤旗中断という措置がとられた。
午後1時30分、レースがようやく再開。だが、それから20分強でまたも赤旗中断となり、その後は30分おきにコースコンディションの状況を確認し、リスタートのタイミングを見計らうことになったが、その度にコンディションは悪化。安全面を考慮するとレース続行は極めて難しい状態だった。レース中断が重なったことから、規則にも一部変更が加えられるなど終始多方面で慌ただしい展開に。
最終的には、午後3時35分からのレース再開がアナウンスされ、長時間待機が続いた車両がようやく動きはじめることになったのだが、その10分前くらいからまたも強い雨が! 結果、セーフティカーラン中に3度目の赤旗が提示され、レースはそのまま終了。1回目の赤旗後のリスタート直後にピット作業を実施したポールポジションのNo.1 アウディR18 e-tronクワトロに代わってトップに立っていた7号車のトヨタが優勝を果たすことになった。
日本人ドライバーの中嶋一貴が昨年に続きドライブした7号車は富士戦2連勝。しかもトヨタにとっては今シーズン初勝利という形で幕を降ろすことになったが、サーキットに足を運んだ2万3千人を超えるファンにとっては、心なしか物足りないレースデーになったかもしれない。
・決勝レース 総合結果(TOP3および各クラストップ)
1.No.7 トヨタTS030ハイブリッド 16L 2H56’05.785
2.No.2 アウディR18 e-tronクワトロ +1.901
3.No.12 ローラB12/60クーペ・トヨタ +3.872
・LMP2
No.35 モーガン・ニッサン 2H56’11.916
・LMGTE PRO
No.97 アストン・マーチン・バンテージV8 2H56’44.685
・LMGTE Am
No.95 アストン・マーチン・バンテージV8 2H57’03.453
記事・写真:島村元子/ TEXT&PHOTO : Motoko SHIMAMURA