GT Asia 2013 第5戦 富士スピードウェイ レースレポート
日本人ドライバー・日本人チームも!もう一つの「GT」選手権
2013年7月13日、富士スピードウェイでは「全日本選手権スーパーフォーミュラシリーズ」が開催されていた。そのサポートレースの1つとして行われたのがFIA-GT3車両でアジアのサーキットを転戦する「GT ASIA 」。その第5戦だ。以前にGTNETで同選手権の開幕戦を取り上げた。第3/4戦は岡山国際サーキットで行われた。この富士スピードウェイでのレースが今シーズン日本での最後のレースとなる。このGT ASIAの特徴としてあまり日本人には馴染みのないドライバーが多く出場している。その殆どがアジアでの大富豪で自身でマシン・チームまで用意しているワンマンチームだったりする。その為、モータースポーツでは必ずあるスポンサーの縛りがないので個性豊かなカラーリングのレーシングカーが激しいバトルを演じているので近年日本でも人気を集め始めているカテゴリーだ。
予選:英国のあのマシンがまたもや圧倒的な早さを魅せつけた!
午前中に行われた予選はチームタイトルを争うTeam Clearwater RacingとCraft Racingが激しいポールポジション争いを演じていた。岡山国際サーキットで行われた第3戦、4戦で勝利を収め、その前の茂木で行われた第2戦でも勝利を飾り3連勝中の007号車 CraftRacing アストンマーチン・ヴァンテージV12 GT3を操るステファン・ミュッケ選手が1分41秒070というコースレコードタイムを叩きだしてポールスタートの座を得た。2位には昨年SUPER GTで活躍した濱口弘選手が着いた。マシンは Clearwater RacingのマクラーレンMP4-12C GT3で1分41秒701を記録した。今回、日本でお馴染みの人気ドライバー飯田章選手が9号車 AAI-RSTRADA マクラーレンMP4-12C GT3でゲスト参戦。しかし、走り慣れたコースでも慣れないマシン、結果はGT3クラス最後尾の9位となった。またポルシェ、フェラーリなどがエントリーするGTMクラスにはSUPER GT GT300クラスで”痛車”で参戦しているDIJON Racingがコルベット Z06 GTでゲスト参戦している。ドライバーは青木拓磨選手。青木拓磨選手はバイクレースのテスト中の事故で下半身不随というハンディキャップを負ってしまったが、手動運転装置でそのハンディキャップを物ともせず、ラリーレイドを始め様々なカテゴリーに出場し活躍している。コルベットにもこの手動運転装置が装着されている。決勝は総合17番手スタートなった。
小雨ぱらつく決勝レースはまさかのどんでん返し!
午後4時から行われた決勝戦は僅かながらも小雨がぱらつくコンディションの中で行われた。スタートはポールスタートの007号車が先頭の座を守り2位以降の差を開始早々から広げていった。2位スタートの1号車も賢明に食らいつこうするが、アストンマーチンのペースはマクラーレンよりもコンマ5秒前後速く周回していた。2台の後方では2号車 ポルシェ997 GT3R リー・ツィー・チャン選手、7号車 アウディR8 マーチー・リー選手そして11号車 ランボルギーニ LP560 GT3 チャールズ・ロウ選手が激しい5番手争いをしていた。
レースが15分経過あたりに、2号車が徐々にペースを上げていき、1コーナーで前方の2台を抜きにかかったが、その際に11号車がスピン!ダメージはなくすぐにレースに復帰したものの上位争いから転落してしまった。GTMクラスは16号車 ウェイン・シェン選手、32号車 飯田太陽選手の2台のポルシェが先頭を走り16号車が少しずつリードを広げていった。注目の48号車 コルベット 青木選手はスタートから順調に順位を上げていきクラス5位まで浮上した。中盤、一度のピットが義務付けられているが、それでも007号車のトップは揺るがず、そのまま後半に入っていった。ところが後半になってからアクシデントが発生する。GT3クラスの後方、5号車 アストンマーチン ダレル・オーヤン選手に7号車 リー選手が接触。オーヤン選手のアストンマーチンは右リアタイヤがパンクしてしまいクラス最下位まで交代してしまった。GTMクラスでも16号車シェン選手にピットスルーペナルティ無視の黒旗失格が出された。
そして50分決勝レースもファイナルラップ、007号車のミュッケ選手の勝利は誰が見ても揺らがないものとなった。1号車・サン選手が徐々にその差を縮めていたが届かず007号車が4連勝を飾ったと思いきや、
ゴール後の上位ゴール車が止めるスペースに007号車の姿がない。リザルトを見ると007号車は4位となっていた。どうやら他マシンとの接触によるペナルティでゴール後に30秒加算されてしまった。同様に7号車リー選手にも5号車オーヤン選手とのアクシデントのペナルティとして40秒加算された。
GT3クラス優勝は1号車 Team Clearwater Racing マクラーレン MP4-12C GT3 濱口/サン組、2位は2号車 Asia Racing Team ポルシェ997 GT3R チャン選手、3位は91号車 AAI-RSTRADA マクラーレン MP4-12C GT3 飯田章選手が初GT ASIAでポディウムを飾ることが出来た。
GTMクラスは21号車 ポルシェ997 Cup フランシス・テジャ選手が優勝。2位に32号車 ポルシェ997 Cup 飯田太陽選手、3位には70号車 Age Age Racing フェラーリ458チャレンジを操る東徹次郎/NAORYU組が安定したレースで得た。