インタープロトシリーズ ジェントルマンクラス Rd.1/2 プロフェッショナルクラス Rd.1 レースレポート
プロとアマの夢の共演!
2013年6月22日、23日に 関谷正徳PETRONAS TOM’S監督が3年の歳月をかけて生み出したワンメイクレース、インタープロトシリーズの開幕戦/第2戦が富士スピードウェイで行われました。インタープロトシリーズは現在のモータースポーツにおいて問題視されているマシン開発費の過度な高騰、それによりアマチュアドライバーが最新のマシンを入手することが困難となりマシン性能差でレースが左右されてしまう、そもそもレースにチャレンジすること自体が困難になりつつある事態を重く見た関谷氏が同一スペックでドライビングテクニックでバトルできるよう、プロトタイプレースカー「kuruma」を開発。カーボンとパイプスペースフレームで製作されたシャーシに、グラスファイバー製のボディーカウル、3.9L V6エンジン 340馬力とリカルド製6速シーケンシャルをコスワースのパドルシフトで2ペダル化、それをミッドシップに搭載、非常に作りこまれているマシンながら掲げられたプライスは破格の2200万円。メンテナンス年間1000万円で翌年からは1000万で参戦することができます。このマシンは富士スピードウェイ周辺のレーシングガレージで組立されるなどで地域の活性化にも一役買っているとのこと。
このシリーズの最大の特徴として1台のクルマをアマ(オーナー)とプロでシェアリングをしてそれぞれ予選・決勝を2日間かけて行う「プロ・アマシリーズ戦」を採用している点です。今年は7台/14人がエントリーしています。プロドライバーが戦う「プロフェッショナル」クラスにはSUPER GTで活躍している田中哲司選手、横溝直輝選手などがエントリーしています。プロドライバーと同じマシンをシェアリングすることによってアマチュアドライバーは自分の走りとの違いがより分かりやすくスキルアップに繋がります。今年、全3戦が富士スピードウェイで開催されます。
ジェントルマンクラス
アマチュアドライバーが参加するジェントルマンクラスはアマチュアドライバーとは言え、非常に高いレベルで予選からデッドヒート、インタープロト初のポールスタートの権利を得たのは1分52秒708を記録した”痛車”のNo.3 INGING MOTORSPORT ト部選手。その0.187秒後方に爽やかなライトグリーンのNEXCO東日本のサービス・パーキング「Pasar」がメインスポンサーの No.19 YUSHIN TEAM A・Q・M F+ 伊藤選手が着け、そこから1.4秒後方にNo.36 MYZ 三浦選手が着くことになりました。
予選の同日午後に行われた決勝1レースは6台が息をつく隙も見せないデッドヒートをスタートから見せました。ポールスタートの3号車・ト部選手は1コーナーこそ順位を守りましたが、すぐに36号車・三浦選手がダンロップコーナーで逆転、後方では予選5位と振るわなかった19号車・伊藤選手が1分53秒486というファステストラップを叩きだしトップを猛追していました。しかし4周目、そのトップを争っていた36号車・3号車にアクシデント。36号車・三浦選手がダンロップ手前の300R付近で挙動を乱しコースアウトからクラッシュ、反動でコースに戻ったところに3号車・ト部選手が接触。2台ともダメージが大きくリタイアとなり、マシン回収のためセーフティーカーが出動する事態に。レースリスタート後は19号車・伊藤選手が圧倒的なスピードでトップを快走、既に他社との接触でドライブスルーペナルティーを受けていた中での力走でした。結局、#19,#16,#2,#37の順で10周のレースが終了、その直後、大会競技長を務める山路慎一氏がセーフティーカーリスタート時の追い越し違反でトップの19号車・伊藤選手、3位フィニッシュの2号車・青木選手にそれぞれ30秒のペナルティを科しました。結果記念すべきインタープロト初戦のポディウムの頂上はイエローボディが眩しい16号車・ララパルーザ 渡邊選手が立つことになりました。レース後、クラッシュした36号車はダメージが大きく23日の決勝第2レース、プロフェッショナルクラス決勝レース棄権を発表しました。3号車は修復をし決勝第2レースの必勝を誓いました。
決勝第2レース
翌日曜日に行われた決勝第2レースは第1レースの結果がそのままスタートグリッドとなるのでポールスタートは16号車・渡邊選手。そして予選を走行することができなかったNo.4 RSS AKIRA選手がピットスタートで出場しました。レースはスタート直後からまたもや前日の波乱含みとなりました。スタート直後の第1コーナーで37号車・澤田選手が19号車・伊藤選手に仕掛け接触し、伊藤選手がスピン!その混乱を最大のチャンスに変えたのが第1レースでクラッシュでリタイア、必勝を誓った3号車・ト部選手が一気に2位に浮上。予選・第1レースでその速さは既に証明済み、3周目の第1コーナーで第1レース優勝の16号車・渡邊選手をオーバーテイク!トップに立つと更にペースをあげ、自身が予選で叩きだしたベストタイムを大きく塗り替える1分52秒199を記録し、後方に23秒差という圧勝!勢いの余り、ダブルチェッカーをしてしまい訓戒処分を受けてしまいましたが見事に雪辱を晴らすことができました。2位にはピットスタートから3号車と遜色ないハイペースで、さらに19号車・37号車のミスにも助けられ、走りきった4号車・AKIRA選手が予選走行できなかった鬱憤を晴らすようにもぎ取った(予選未出走の為、賞典外)。3位には第1レース勝者の16号車・渡邊選手がした走りで獲得しました。スタート直後の混乱を招いた19号車・伊藤選手と37号車・澤田選手はその後プリウスコーナーで再びスピン・コースアウト。幸いにもマシンダメージはなくそれぞれ4位・5位でチェッカーを受けることができました。
プロフェッショナルクラス
いよいよ「プロフェッショナルクラス」の決勝。ポールスタートはジェントルマンクラスのレコードタイムを5秒以上上回る1分46秒671を叩きだした4号車・平川選手、2番手は第2レースの勝利の勢いのままプロフェッショナルクラスでも勝利を飾りたい3号車・横溝選手、3番手にはジェントルマンでは今ひとつピリッとしなかったので挽回したいKeePerカラーの37号車・蒲生選手が着きました。レーススタートするとSUPER GTさながらの1コーナーからのデッドヒートしかし、非常にクリーンな熱いバトルで幕を開けました。プロフェッショナルクラスは22周or45分のレースなのでタイヤマネジメントも勝敗の左右のポイントとなります(ジェントルマンクラスは10周or30分レース)。ポールスタートの4号車・平川選手は後方に1周あたり最大1秒前後の差をつけるハイペースで早くも1位の座を固めにきていました。後方では4位→2位にジャンプアップした19号車・平中選手と3号車・横溝選手が激しい2位争いをしており、そのお陰で2台のペースは上がらず37号車・蒲生選手が割って入り3台でのバトルとなりました。その後2位の座を横溝選手が獲得したとおもいきや7周目に突然のマシントラブルから単独スピン!どうにかピットに戻ることはできたもののリタイアとなってしまいました。ジェントルマンクラスでのクラッシュからの圧倒的なスピードでの勝利がマシンに想像以上の負荷をかけていたのかもしれません。2位は蒲生選手が着きましたが、その後ろで虎視眈々と一定の間隔でタイヤを温存しながら平中選手はチャンスを伺っていました。そして終盤でギアを上げて勝負をかけましたが、蒲生選手もペースを上げ1秒の差で逃げ切り2位を守り抜きました。そしてその2台から20秒近い圧倒的なスピードで4号車・平川選手が堂々のプロフェッショナルクラス開幕戦の記念すべき勝者となりました。
今年は全3戦のみでエントリー数も7台ですが、今後の展開、例えば富士スピードウェイ以外のサーキット、エントリー数の拡大がもし叶えば非常に面白い、将来性が高いレースカテゴリーになるのではないかと2日間通してこのインタープロトシリーズ開幕戦を追ってそう感じました。