レース巧者のSTANLEY HRC PRELUDE-GTが逆転勝利!
10月18日、大分・オートポリスにおいてSUPER GT第7戦 「AUTOPOLIS GT 3HOURS RACE」の決勝レースが行なわれた。前日に続き、秋の日差しがたっぷりと届くレース日和に恵まれるなか、レースは序盤から激しいポジション争いが繰り広げられた。SCやFCY導入によるポジション変動も多く、レース中盤以降に主導権を握ったNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)が、レース巧者のパフォーマンスを見せて逆転勝利を果たしている。
午後1時10分に号砲を迎えた決勝レース。3時間にわたる戦いでは、2度のピットインが義務付けられている。まず、ポールポジションのNo.64 Modulo HRC PRELUDE-GT(大草りき/イゴール・オオムラ・フラガ)がスタート奪取を決めるも、予選2番手のNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)もしっかりと喰らいつく。7周目には早くもバックマーカーとなったGT300クラス車両の集団に行き場を塞がれた64号車に対し、17号車が逆転に成功。みるみるうちに後方のライバルたちを引き離した。また、入賞圏内の車両による激しいポジション争いも見られ、序盤から幾度となくポジションが入れ替わった。
序盤トップを快走した17号車だが、14周終わりに早くも1回目のピットインを敢行、他車と異なる戦略を採った。その後、23周目にはGT300クラス車両がコースアウト。タイヤバリアに衝突したことで、初めてのセーフティカーが導入された。このタイミングでトップに立っていたのは、No. 12 TRS IMPUL with SDG Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)。これに64号車、そして100号車、No.24 リアライズコーポレーション Z(名取鉄平/三宅淳詞)と続いたが、SC終わりのリスタートを境にしてピットへ向かう車両も多く、レース開始から1時間が経過した時点で再び64号車がトップに戻ることになった。
全14台のうち、13台が1回目のピット作業を完了。だが100号車だけはなおも周回を重ね、コース上の”見えない敵”とのギャップを築いていく。スタートドライバーを務めた山本は燃費走行にも務め、最終的に45周終わりでピットに帰還。山本の走行はレース時間のほぼ半分となる1時間23分に及んだ。
これにより17号車が再びトップでレースを牽引。これにレース開始から9周目という早いタイミングでピットインを済ませたNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(野尻智紀/佐藤蓮)、No.19 WedsSport BANDOH GR Supra(国本雄資/阪口晴南)、No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)、12号車、24号車が続いた。
そんななか、49周目の3コーナー立ち上がりでクラッシュが発生。何周にもわたって激しいバトルを繰り広げていたGT300クラス車両の1台がコースアウトし、タイヤバリアに追突したことでFCYが導入され、すぐSCへと切り替わる。レースは55周終わりにリスタートを迎えたが、このタイミングで2回目のピット作業を消化しようと、各車が次々ピットへ。また、1回目のピット作業を引っ張った100号車も似通ったタイミングでピットに戻った。
スタートからほぼ2時間が経過した時点でのトップは12号車。これに第2スティント以降ペースアップして順位を上げてきたNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹/小林利徠斗)、No.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)、No.23 MOTUL Niterra Z(千代勝正/高星明誠)と、序盤の上位陣とは異なる顔ぶれが続くことになったが、このあとこの4台も次々と2度目のピットインを行なうと、まだピットインを済ませていないNo. 8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)を先頭に、2回のピットストップを終えた100号車が”裏のトップ”として周回を重ねていく。ペースの良い12号車と38号車の激しい攻防戦は、38号車に軍配が上がり、やや失速した12号車はさらに23号車にも先行を許す。ペースの良い38号車は100号車との差をぐんぐんと詰めていくが背後につくまでには至らない。逆に23号車が38号車に追いつき、この2台が僅差でのバトルを見せるなかでレースはチェッカーまで残り30分を切ることになった。
トップに返り咲いた100号車は後方の様子を注視しながら周回。すでに10秒ほど差がついており、動きをコントロールしながらチェッカーを迎える。38号車、23号車ももはや逆転よりもポジションキープの態勢となり、レースはこのまま3時間の戦いに終止符が打たれた。
こうして100号車は第4戦富士以来、またホンダ勢として初のシーズン2勝目を達成し、ランキング争いでも2位に再浮上。開幕戦での勝利以来ずっとトップに立つ36号車との差を3点まで縮めることに成功した。なお、その36号車だが、予選8番手からコツコツとポジショアップを決めるなど、サクセスウェイトをものともしない脅威のパフォーマンスを見せていた。だが、2度目のピットストップ時に痛恨の作業ミスが発生。タイヤ交換と給油の作業が被るというあってはならないミスにより、ドライブスルーが課されることに。イレギュラーピットインに甘んじ、ポジションも下げることになった。それでも終わってみれば、8位入賞。またもポイントを積み上げている。
一方、GT300クラスもハプニング絡みでポジションを落とすチームがいる一方、チームならではの戦略がSCやFCY導入のタイミングとマッチし、大きくポジションを上げて好結果を残すチームが現れた。そして、表彰台の真ん中に立ったのは、予選7番手からスタートを切ったNo.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)だった。
序盤はクラスポールからスタートしたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が快走。これに予選クラス2番手のNo.52 Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太)、そして予選では2番手タイムをマークするも、Q1でアタック中の他車の走路を妨害したペナルティを受け、4番手スタートとなっていたNo. 2 HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/卜部和久)が速さを武器に、17周目の第2ヘアピンで61号車を攻略してクラストップを奪った。
そんななか、23周目に1台の車両がコースオフ。これを受け、SCが導入される。解除後にはルーティンのピットインを行なう車両も多く見られたが、上位陣はステイアウトを選択。28周終わりでレースが再開するなか、上位陣では61号車が真っ先にピットへ踊り、作業を行なう。また、これに続くようにして2号車、52号車も第1スティントを終えることになった。
ここで暫定トップに立ったのはNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/木村偉織)。シリーズランキングでクラストップにつける56号車は、極めて重いクルマでの戦いを凌ぐため、他車とは異なる戦略で周回を続ける。スタートドライバーの木村が1時間を過ぎてなおステアリングを握り、レースを牽引した。
そんななか、49周目を走る52号車と2号車のバトルに変化が訪れる。長く接近戦を続け、テール・トゥ・ノーズからサイド・バイ・サイドを繰り返し、互いにラインを譲ることなく熱戦を繰り広げていたが、その2台の間にGT500クラス車両が割って入る流れとなり、アウト側にいた52号車は縁石にタイヤを落として態勢が乱れてしまう。これでコースアウトを喫し、クルマは激しくタイヤバリアにクラッシュ。このアクシデントでFCYが導入され、その後SCへと切り替わる。
レース2回目のSCランはおよそ16周ほど続き、各車のギャップは水疱に帰すことに。また、このアクシデントで56号車はピットインのタイミングを失い、一方、No.360 RUNUP × SOL GT-R(荒川麟/金丸ユウ/田中篤)は絶妙なタイミングでピット作業を終えていたことから、ポジションアップを実現させるなど、2度目のSC導入により、上位陣の顔ぶれに変化が現れる。
55周終了時点でレースはリスタート。だが、その後も78周目にメインストレート上に落ちたデブリ回収のためにFCYが導入されるなど、落ち着かない展開が続く。だが、これを前に360号車に追いついたNo.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)が逆転を果たし、レース終盤のトップに立っており、3時間のチェッカーが近づくなかで力走を見せた。
逃げる96号車に対し、360号車は背後からNo.666 seven x seven PORSCHE GT3R EVO(スヴェン・ミューラー/渡会太一)の猛追を受けて苦戦。666号車は残り10分を切る87周目の3コーナーで鮮やかな逆転を決め、2位へポジションアップをしてみせた。レースはこのまま3時間のチェッカーを迎え、96号車が今シーズン初優勝。ベテランドライバーを擁する96号車だが、新田は7年ぶり、高木も7年ぶりとそれぞれ違う車両で優勝して以来の美酒を味わうことになった。なお、新田は今回の勝利でGT300クラスの最多勝記録を23へ伸ばすことに成功している。
96号車に次いで2位でフィニッシュした666号車だったが、SCラン中に行なったピット作業のうち、給油作業が義務消化として認められず、タイム加算ペナルティの対象となりポジションダウン。これを受け、360号車が2位へ返り咲いた。また、No.88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/ダニール・クビアト)が4位でチェッカーを受けていたものの、こちらは認めていないSCラン中のドライバー交代をしたことから同様にタイム加算のペナルティが課された。結果、3位には5位でフィニッシュしていたNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟/黒澤治樹)が浮上。シーズン2度目の表彰台に上がっている。
フルウェイトでのオートポリス戦を終えた今シーズンのSUPER GTは、いよいよ最終大会のもてぎ戦を残すのみとなった。第3戦セパン大会が延期になったことを受け、もてぎでは土曜に第3戦、日曜日に第8戦のレースを実施する。サクセスウェイトのレギュレーション変更はじめ、レースフォーマットも通常とは異なる戦いになるため、チャンピオン争いにも何らかの影響を与えるレースになるかもしれない。
・第7戦オートポリス 決勝結果(各クラストップ3)
<GT500>
1.No.100 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)3:01’37.269 98周
2.No.38 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹/小林利徠斗)+1.363
3.No.23 MOTUL Niterra Z(千代勝正/高星明誠)+7.972
<GT300>
1.No.96 K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一)3:01’56.731 93周
2.No.360 RUNUP x SOL GT-R(荒川麟/金丸ユウ/田中篤)+25.828
3.No.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟/黒澤治樹)+39.934