富士2日目のウィナーは大荒れに。岩佐歩夢が今季初勝利!
10月11日、静岡・富士スピードウェイにおいて全日本スーパーフォーミュラ選手権第10戦のレースが行なわれた。連日、秋晴れに恵まれたが、レースは大波乱の様相に。3度にわたってセーフティカーが導入される展開を経て、序盤にトップを奪取した予選2位スタートのNo. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)が待望のシーズン初優勝を果たしている。
・予選 僅差のタイムアタックが続く
前日の第9戦より20分遅く公式予選がスタート。気温、路面温度も若干上昇し、それぞれ23度、32度というコンディションとなった。まず、Q1・A組には第9戦で自身初のポール・トゥ・スタートを果たしたNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が出走。前日より気温、路面温度の上昇が影響しているのか、まずNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がマークしたターゲットタイムは1分22秒873となり、前日のQ1時よりも遅いものだった。その後、3台が続けてチェッカーを受けるも牧野を上回れず。そんななか、No.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が1分22秒793をマークしてトップを奪取、これにフラガが100分の6秒落ちのタイムで続き、牧野が3番手でセッションを終える。また、前日の第9戦で予選3番手スタートを切るも、マシントラブルによりリタイアに終わったNo.50 野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)が4番手で通過してみせた。逆にレースで好バトルを披露して6位入賞を果たしたNo.14 福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)はQ1で敗退。これまで全セッションでQ1突破していた記録がここで途切れてしまった。
続くQ1・B組では、A組のタイムを踏まえてか早めのコースインが始まる。今日のレース結果次第でチャンピオン獲得の可能性があるNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が真っ先にコースイン、No. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)がこれに続いた。各セクターで最速タイムをマークしたのは、岩佐。チェッカーまで残り1分を切るなかで1分22秒825をマークしてトップへ。岩佐含め、他車もラストアタックに向かうなか、No.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)が1分22秒595をマークしてトップに浮上。続いて太田も自己ベストタイムを更新し、2番手につける。この時点で岩佐は3番手につけていたが、最後にチェッカーを受けたNo.19 ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)が0.035秒の僅差で3番手を奪い取ることとなった。
ポールポジションを確定するQ2は午前10時35分にスタート。気温、路面温度もQ1スタート時より上昇し、それぞれ24度、35度となった。開始と同時にピットからクルマを出したのはDOCOMO TEAM DANDELION RACING。まず、牧野そして太田がコースに向かう。一方で、No.12 小出 峻(ThreeBond Racing)、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)、野村、No.64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)そしてフラガはピットでしばし待機。開始と同時にコースインしたクルマがアウト〜インでピットに戻るタイミングに合わせてコースへと向かっている。
チェッカーまで残り6分を切るタイミングで太田がコースへと向かったが、その前にピット前では慌ただしくタイヤ交換の作業が行なわれており、落ち着かない様子がモニターに映し出されていた。実のところ、太田より先にタイヤを交換してコースに向かったチームメイトの牧野のクルマに太田のタイヤが誤って装着されたとのこと。太田は1本ユーズドのタイヤでタイムアタックを余儀なくされ、一方の牧野は未登録タイヤでの出走となり、Q2でマークしたタイムがすべて抹消されるというチームとして最悪の事態に陥ってしまった。
チェッカーまで残り1分を切り、各車のアタックが始まると、まず野尻がセクター1で全体ベストタイムをマーク。その後佐藤、フラガがこれを更新しながらアタックを続けていく。チェッカーフラッグが振られるなか、まずトップタイムを刻んだのは野尻。しかし間髪いれず太田がこれを上回ってトップへ。だが、その直後にチェッカーを受けたフラガが1分22秒266と太田より約0.3秒速い好タイムを叩き出してトップを奪取してみせた。さらに、タイトル争いであとがない岩佐も奮闘。フラガには約0.1秒遅れを取ったが2番手につけ、さらにまたしてもラストアタックでのジャンプアップを決めたオサリバンが3番手につける結果となった。
前日の第9戦に続きポールポジションを手にしたフラガ。これで3点を計上し、タイトル争いでも太田を追う急先鋒として存在感をアピールしている。一方の太田は予選トップ3を逃して4番手となったため、ポイントを追加できず。これで自身とフラガとのポイント差が3点縮まることに。決勝の結果次第では、太田がタイトル獲得を実現させる可能性もあるが、フラガ、岩佐、そして逆転タイトルの可能性をもつ福住もそう容易く太田に好機を与えることはないはず。午後からの決勝は、よりいっそうヒートアップしたものになることだろう。
【第10戦富士 予選トップ3】
1.No.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)1分22秒266
2.No. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)1分22秒395
3.No.19 ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)1分22秒505
・決勝 重なり、大荒れの展開に
午後3時、強い西日が差すなか、気温25度、路面温度34度と朝とほぼ変わらないコンディションのなか、第10戦の決勝を迎える。ポールのフラガ、となりの岩佐は難なくスタートを切ったが、コカ・コーラコーナーへと向かうなか、フラガがアウト側へとオーバーラン。これを岩佐がイン側からトップを奪ってみせた。一方、太田は3番手へと浮上。逆にオサリバンは予選5番手の大湯と軽く接触するアクシデントに見舞われる。オープニングラップでトップに立った岩佐は軽快に周回を重ね、2秒弱の差をつける。逆にフラガは太田の猛追に遭い、オーバーテイクシステム(OTS)を使って応戦。だが4周目のGRコーナーの飛び込みで太田が絶妙なライン取りを見せてフラガを逆転、これでフラガは3番手に後退した。
レースは5周目にアクシデントが発生。8位争いをしていたNo.50 野村勇斗(San-Ei Gen with B-Max)と大湯がGRコーナーでサイド・バイ・サイドの末に接触。野村はコカ・コーラーコーナー先でコースを逸れてクルマを止めることになった。レースはこれを受けてSCがコースイン、野村の車両撤収が終わった8周終わりで再開を迎えた。後続の太田を警戒しつつ、絶妙なタイミングでリスタートした岩佐をトップに、以下、太田、フラガ、坪井、オサリバンが続き、そのうしろには予選9番手のNo.22 松下信治(DELiGHTWORKS RACING)がつけた。
リスタートで逆転を狙った太田はOTSを多用するも、岩佐のペースはそれを上回り、ポジションを死守。周回を重ねるうちに、2台の差は2秒まで開くことになる。すると太田は17周終わりにルーティインのピットインを実施。だが、左フロントタイヤの交換が遅れてしまう。コース復帰するなかで、アンダーカットを決めてポジションを上げていた大湯からの猛追を受けることになった。結果、つばぜり合いを見せる2台はコカ・コーラコーナーで軽く接触、大湯はスピンを喫した。一方のフラガとオサリバンは18周終わりでピットイン。コース復帰したフラガはダンロップコーナーで太田を逆転したが、激しい攻防を見せる2台はGR GTコーナーで2台が接触。大きく孕んだフラガのインを突いた太田はここでストップ。コース復帰を果たせず、まさかのリタイアに終わる。またフラガもサイドカウルを激しく損傷。ピットインして修復を強いられた。
レースは太田のクルマ回収のために2度目のSCが導入され、これを見た8台がピットへと駆け込んだが、ここでも波乱の連鎖反応が起こってしまった。タイヤ交換を終えてピットを離れようとしていたところ、ピットを目指していたNo. 3 ルーク・ブラウニング(REALIZE KONDO RACING)が福住の動きを見てブレーキを踏んだが接触。タイヤを換えてピットを離れていたNo.12 小出 峻(ThreeBond Racing)がブラウニングの急な減速に対応しきれず追突したことで、ブラウニングのクルマが横を向いて動けなくなる。さらに小出のうしろでコースに向かっていたNo. 28 小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)も追突。結果、4台がピット前で多重クラッシュの影響を受け、福住はなんとかコース復帰を果たすも、残る3台は戦線離脱に追い込まれている。
コースやピットでの大混乱が続く一方、23周目を走行するSCのルーフライトが消灯し、レースが再開。トップには19周終わりでピットインした岩佐、16周終わりで作業した松下が2位に続き、以下、オサリバン、そして16周終わりにピットインしたNo. 8 山下健太(KCMG)、岩佐と同じ周にピットへ戻った坪井、さらに11周終わりにピットインしていた牧野、そして12周終わりにタイヤ交換を終えた大湯が6番手につける形となった。だが、再開直後のGRコーナーで山下と坪井が接触。坪井はブレーキトラブルを抱えていたようだが、ほぼ減速せずにコースアウトし、クラッシュ。リヤをヒットされた山下もその先でクルマを止めて2台がリタイアとなり、3度目のSCランが導入される。
その後、車両回収に時間がかかるなか、レースは規定の41周を走り切るか或いは時間レースになるかの瀬戸際に。最大延長時間まで16分35秒を迎えた31周終わりのタイミングでレースはリスタートを迎えた。これまで長いあいだトップを守り続けた岩佐は今度もきれいにリスタートを決め、後方の松下を封じ込める。しかし、後方の大湯、オサリバンまでが僅差の状態でその後も激しいバトルが繰り広げられた。そのなかでもしっかりとトップを死守した岩佐にはまだ存分にOTSが残っており、逃げ切りを狙う。一方、松下はオサリバンの猛追に抗えず、ファイナルラップの2317コーナーで逆転を許すことに。結果、岩佐が待望の今シーズン初優勝を掴みとり、オサリバンが2位、松下が3位に続き、今季2度目の表彰台に上がる結果となった。以下、大湯、No.37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)、牧野、野尻のオーダーでチェッカーが振られている。
大混乱の一戦となった今大会の結果を受け、シリーズ争いにも変化が。トップの太田がノーポイントに終わり、122点のまま。一方、優勝を果たした岩佐が89.5点となり再び2位へ。逆にフラガはポールポジションの3点を計上したが3位にポジションを落としている。最終戦鈴鹿に向けて点差が縮まったことから、残り2戦での戦いはますますヒートアップしそうだ。
【第10戦富士 決勝トップ3】
1.No. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)1H13:53.821 41Laps
2.No.19 ザック・オサリバン(TEAM IMPUL)+1.347
3.No.22 松下信治(DELiGHTWORKS RACING)+1.776