洪水からナイトバトルへ:Formula DRIFT Seattle 2026
記事提供元:turnpike
Formula DRIFTの2026年シーズンも、いよいよ4分の3を終えた。前戦インディアナポリスでは、シリーズ史上初めてラウンドが中止となった。猛烈な悪天候によってインフィールドのコースがまるで湖のような状態になってしまったのだ。Formula DRIFT(FD)のスタッフは、6時間にわたって数千ガロンもの水を排出しようと試みたものの、最終的にはイベントの中止を決断せざるを得なかった。
そんな「最悪の週末」となったインディアナポリスから舞台を移し、チャンピオンシップはワシントン州シアトルで開催される第6戦「Throwdown」へ。先に少しネタバレしてしまうと、前戦と比べれば今回はトラブルらしいトラブルもなく、平穏な週末となった。FDに関わる誰もが、まさにそんな週末を必要としていたことだろう。
シアトル戦を迎えるにあたり、Formula DRIFTチームは少し趣向を変えることにした。PNW(太平洋岸北西部)で開催されるこのイベントは、通常であれば日中に行われ、表彰式は夕暮れ時に行われるのが恒例だった。しかし今年はスケジュールを変更し、Evergreen Speedwayでのイベントを夜間開催することになった。これまでナイトイベントは不可能だったが、サーキットが最近、NASCAR Local Racing Seriesのオーバルレースを夜間に開催するため、新たな照明設備を増設したことで実現したものだ。
このイベントは毎年完売する人気ぶりで、2026年もそれは変わらなかった。ただ、暗闇の中ということもあってか、観客はいつも以上に熱狂的だったように感じられた。
メイングランドスタンド上部に設置された追加の照明は、夜間の写真に驚くほどの奥行きを与えてくれた。タンデムバトルでは、1本目の走行によってスタンド前にタイヤスモークが漂い、その煙が残った状態で2本目がスタートする。その結果、これまでにない素晴らしい光景が生まれた。煙によって光が拡散する様子は本当に美しく、個人的には最高だった。もちろん、これまでのシアトル戦では撮影することのできなかったシーンでもある。
そして今回、グリッドにはスペシャルゲストも登場した。通常、Jerry Yang RacingのVR38エンジン搭載Toyota 86をドライブするのは箕輪大也だ。しかし今回は、大也がTOYOTA GAZOO RacingのWRC Challenge Programに参加するためフィンランドに滞在していたことから、父親の箕輪慎治が代わってステアリングを握ることになった。
箕輪慎治が走る姿を見るのを楽しみにしていた一方で、これはかなり難しい挑戦になるだろうとも思っていた。Formula DRIFTは、レギュレーション、コース、そして選手たちのドライビングスタイルという点でFD Japanとはかなり異なる。さらに現在のFormula DRIFTは、ドライバー同士の実力差が非常に小さい。今回が慎治にとって初めてのアメリカでのFD Pro参戦であり、私の認識ではバンクのあるコースを走るのも初めてだった。Evergreen Speedwayはシリーズの中でも特に進入速度が高いコースのひとつで、ドライバーたちは100mph(約160km/h)を超える速度で進入する。
慎治がマシンに適応していく姿を見るのは良かったが、残念ながらTop 32では厳しい相手を引くことになった。その相手はConor Shanahanだった。慎治もできる限りの走りを見せたものの、現在チャンピオンシップランキング2位につけるConorには及ばなかった。
続いてポイント争いに目を向けると、いくつかの展開によって2026年FD Pro Championshipはさらに面白くなってきた。シアトル戦を迎えた時点ではOdi Bakchisがランキングトップ。しかしTop 32のバトル中にメカニカルトラブルが発生した。これによってJames Deaneがランキング首位に浮上したが、ディフェンディングチャンピオンがそのまま大量リードを築く展開にはならなかった。JamesはTop 16でMatt Fieldに敗れてしまったのだ。
その結果、Top 3との差を他の選手たちが一気に縮めるチャンスが生まれた。Conor Shanahanは、Jerry Yang Racingという新チームから参戦した今季開幕戦のLong Beachで優勝。しかしFD Orlandoでは獲得ポイントがゼロに終わり、ランキングを大きく落としていた。そこからConorは着実に巻き返し、ついにシアトルで優勝。James Deaneとの差を約5ポイントまで縮めることに成功した。
もうひとつ触れておきたいのが、Branden Sorensenの波乱に富んだシーズンだ。彼はまるで「4位の呪い」にかかったかのように、どうしてもそこから抜け出せずにいた。Brandenはシーズンを通して非常に良いパフォーマンスを見せてきたが、この「呪い」のせいもあり、あまり大きな注目を浴びることはなかった。それでも安定した成績を残してきたことで、シーズンを通してTop 5圏内を維持している。そしてシアトルでは素晴らしい予選結果から、ついに表彰台を獲得。現在ランキング3位につけ、首位Jamesとの差はわずか24ポイントだ。
2026年シーズンも残すところあと2戦となり、ここまで来れば誰がタイトルを獲得してもおかしくない状況だ。
Formula DRIFTは今月後半、第7戦の舞台として10年以上ぶりにラスベガスへ戻ってくる。Branden Sorensenにとっては、これが初めてのホームイベントとなるため、地元のアドバンテージを生かして自身初となるラウンド優勝を達成できるか注目だ。とはいえ現実的には、現在のFD ProではTop 20の誰がどの週末に優勝しても不思議ではない。
Jamesは再びチャンピオンに輝き、G.O.A.T.(史上最高)の地位をさらに確固たるものにするのか? Conorは自身のメンターを倒し、初のFDタイトルを手にするのか? それともBrandenが、まさかのシーズン未勝利のままチャンピオンに輝くのか?
Jack ShanahanとOdi Bakchisも、Top 3の選手たちを十分に射程圏内に捉えている。アイルランド勢の実績を考えれば、JamesとShanahan兄弟からは間違いなく目が離せない。そしてOdiもほぼ常にTop 3争いに加わってくる選手であり、Formula DRIFT屈指の強力なチェイスドライバーのひとりだけに、決して無視することはできない。
さらにFredric Aasbøもいる。今シーズンはかなり苦戦しており、おそらく彼にとってこれまでで最も厳しいシーズンと言ってもいいだろう。それでも「The Norwegian Hammer(ノルウェーの鉄槌)」は、調子の良い週末にはしっかりと結果を残し、現在ランキング6位につけている。首位との差は37ポイントだが、3度のチャンピオン経験を持つFredricだけに、最後まで決して除外することはできない。
Formula DRIFT Las Vegas「High Stakes」は、間違いなく面白い戦いになりそうだ!














































































































































































