前回ポールのAstemo HRC PRELUDE-GT、SUGOでリベンジ勝利!
9月20日、宮城・スポーツランドSUGOにおいてSUPER GT第6戦「SUGO GT300km」の決勝が開催された。週末をとおして不安定な天候に見舞われたが、午後からのレースは曇天ながらもドライコンディションで実施されることに。大接近戦のなか、予選2位からスタートを切ったNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)がドライバー交代のタイミングを好機にトップを奪取。待望のシーズン初優勝を達成した。
決勝は雨絡みの難しいレースになるのではと言われたSUGO。早朝から断続的に霧雨が降るなど一向に安定しない天候で、ときに本降りとなることも。しかし、正午からのウォームアップ走行を前に雨が止む。路面はまだウェットではあったが、その後は曇天ながら薄日も差し込むなどスローペースながら天候が回復。全車ドライタイヤを装着して、84周の戦いに臨んだ。
午後1時30分、気温23度、路面温度25度というコンディションのもと、宮城県警のパトカーによるパレードラップを予定していたが、まだ路面の一部が濡れていたこともあり、セーフティカースタートが決定。4周終わりまでコントロールされた状態での周回が続き、5周目からレーシングスピードによる戦いが幕を開けた。
前日、2年ぶりのポールポジションを手にしたNo.64 Modulo HRC PRELUDE-GT(大草りき/イゴール・オオムラ・フラガ)は、早速後続を引き離す快走を見せてギャップを開こうとするが、2番手の17号車も2秒前後の差で周回を重ねる。一方、その後方では3番手を巡って攻防戦が始まり、予選4番手のNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)が同3番手のNo.19 WedsSport BANDOH GR Supra(国本雄資/阪口晴南)を猛プッシュ。だが、逆に19号車は17号車を攻め立て、17周目の馬の背コーナーで鮮やかな逆転を披露した。
そんななか、26周目の最終コーナーでアクシデントが発生。立ち上がりで挙動を乱してスピンしたGT300車両が、アウト側からイン側へと横断するようにコースを滑っていく。そこへ後方から立ち上がってきたNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(野尻智紀/佐藤蓮)が行く手を阻まれるような形で突っ込むことになり、16号車が大破。フルコースイエロー(FCY)発動からすぐにセーフティカー(SC)ランへと切り替わった。なお、16号車をドライブしていた野尻は自力で降車しており、大事はなかった模様だ。
ダメージを負った2台の車両を回収し、コース上に散らばったクラッシュパーツをピックアップする間はSCランが続行。あわせてGT300、GT500各クラス別に整列も行なわれ、32周終わりでレース再開を迎えた。
逃げる64号車を先頭に、19号車、17号車、100号車と差が詰まるなか、激しい攻防戦が勃発するかに思われたが、ちょうどレース3分の1を終えるタイミングということもあり、上位陣のなかから真っ先に17号車がルーティンのピットインを32周終わりで敢行する。これを見てか、64号車はその翌周にピットへ。ひと足先にコース復帰を果たした17号車は、コースへと戻る64号車より先にメインストレートを通過。見事アンダーカットを成功させる。また、ピットインのタイミングや装着したタイヤの種類によってタイヤのウォームアップに差が生じており、2位以降のポジション争いが激しくなる。
レース折り返しを前に1台を残してドライバー交代を終えることとなり、実質のトップは17号車。これに約6秒差で100号車、12号車、さらに64号車と続くが、その後方から猛追してきたのがNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)。50周を過ぎ、1台また1台と前方車両を小気味良く”料理”していく。そんななか、12号車がトラブルに見舞われ緊急ピットイン。戦線離脱となる。また64号車もペースアップに苦しみ、イレギュラーのピットインでタイヤを交換。これによりポジションダウンを強いられた。
トップをひた走る17号車は安定感あるパフォーマンスを披露し、2位以下に3秒強のマージンを築く。その一方で2番手をキープしていた100号車には39号車が迫り、60周を過ぎてからは2台が抜きつ抜かれつの好バトルを披露。観客を湧かせた。2台による攻防戦は最終的に39号車へ軍配が上がった。大終盤には予選11番手からコツコツとポジションを上げてきたNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)が3番手の100号車に大接近。現時点で暫定ランキングトップである36号車は最重量のサクセスウェイトをものともせず、決勝では巧みな戦略を含む驚異のパフォーマンスで存在感をアピールした。最終的には100号車が36号車を封じ込めて表彰台をもぎ取っている。
レースはピット戦略を味方に17号車が優勝。2022年第7戦オートポリス以来の勝利であり、今シーズンからGT500に挑戦する野村にとってもうれしい初優勝となった。2位に続いた39号車は今季初表彰台。トヨタ勢としてのランキングを引き上げる活躍だった。また、3位の100号車は前回の鈴鹿でエンジン交換を強いられノーポイントに終わっており、今回のSUGOで見事な復活を披露したといえる。
GT300クラスでは、予選から好走を見せてポールポジションスタートを決めたNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)が安定感ある走りで他車の追随を許さない。序盤から後続に4秒強の差をつけて周回を重ねると、逆に2位以下が鍔迫り合いを見せてポジションを入れ替えていく。
序盤、2台の車両が絡むクラッシュによってSCランとなったが、再開後もトップ3は予選上位3台と顔ぶれは変わらず。No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)、No. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO(ザック・オサリバン/梅垣清)が続いた。
だが、36周終わりで60号車がピットに帰還すると、徐々に”勢力図”に異変が。60号車はドライバー交代、タイヤ交換、給油の”フルサービス”でコース復帰を果たしたが、同じ周、8番手を走行していたNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/木村偉織)はタイヤ無交換を選択。これにより、60号車がコース復帰を果たすと、なんと56号車が8秒近く前を走るという”逆転”が生じていた。
60号車にとっては予期せぬ展開ではあったが、タイヤが温まると2台の差はじわじわと縮まり、さらに残り20周を切るとその差も1秒を切ってくる。そんななか、GT500車両が71周目を迎えるなか、56号車が背後から迫るGT500車両に走行ラインを譲ろうとしてオーバーラン。痛恨のミスが響き、逃さず60号車がクラストップの座を奪還してみせた。
その後、”息を吹き返した”60号車は56号車を引き離しての”ひとり旅”でチェッカー。チームとしては昨シーズンのSUGOも制しており、2連覇を達成するかたちとなった。予選19番手から怒涛の追い上げを見せた56号車は、2番手でタフな戦いを終了。今回の戦略を味方にシリーズランキングでは暫定でトップをキープしている。そして、3位に続いたのは61号車。シーズン初表彰台を果たすことになった。
次戦は戦いの舞台を九州・オートポリスに移すSUPER GT。第2戦以来となる3時間レースを開催する。タイトル争いが本格化するなか、1ポイントを巡る熾烈な戦いとなるはずだ。
・第6戦SUGO 決勝結果(各クラストップ3)
<GT500>
1.No.17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)1H59’13.559 84L
2.No.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)+4.729
3.No.100 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)+5.236
<GT300>
1.No.60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)1H59’55.590 80L
2.No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/木村偉織)+6.104
3.No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)+7.314