1200馬力 ツインターボLSスープラ — ニュージーランド発、V8 JZA80のバーンアウト・モンスターがSummernatsへ 詳細ページ(31689) - イベント・レースレポート

スポーツカー専門 GTNET

  1. スポーツカーの中古車ならGTNET
  2. 海外イベント・レースレポート
  3. 1200馬力 ツインターボLSスープラ — ニュージーランド発、V8 JZA80のバーンアウト・モンスターがSummernatsへ

1200馬力 ツインターボLSスープラ — ニュージーランド発、V8 JZA80のバーンアウト・モンスターがSummernatsへ




top
 

記事提供元:NZ Performance Car
 

事故で大破した普段乗りのクルマから、Summernatsという世界的な舞台へ。Naz Poshklidiのスープラは、単なる1200馬力のスモークマシンではない。息子との約束、自らのルーツへの敬意、そして8,000rpmの世界ではニュージーランド勢も負けていないことを証明する一台だ。
 

地図の下のほうに浮かぶ、いくつかの島からなる小さな国——ニュージーランド。しかしモータースポーツの世界では、その存在感は国土の大きさをはるかに超えている。海外のドリフト大会で激しい接近戦を繰り広げ、ドラッグストリップでは世界記録を狙い、バーンアウトパッドでは大量のタイヤスモークを巻き上げる。ニュージーランドのドライバーたちは、世界の舞台でも強烈な存在感を放っている。その先頭を走る一人が、Nazim “Naz” Poshklidiだ。
 

Nazは筋金入りのスープラ好きだ。これまで2〜3台所有した、というレベルではない。過去13年間で、トヨタを代表するJDMスポーツカーであるスープラを200台以上所有してきた。その「スープラ中毒」が始まったのは高校時代。複数の仕事を掛け持ちしながらクルマを売買し、やがて高校時代の仲間であるJames Wildon(JT Performance)、Marcel、Kelvin、Manmeet Singhらとともにチューニングカーの世界へ入っていった。「みんなチューニングカーに乗っていました。WRX、スカイライン、タイプR、エアサス車……本当にいろいろです」とNazは振り返る。「14年くらい前、仲の良い友人がスープラを持っていて、それを見て一目惚れしました。自分でも最初の1台を買って、それ以来ずっとハマっています」
 

2
 

後に世界の舞台へ進むことになるこのクルマも、最初から特別なスープラだったわけではない。元々はNA・AT仕様のJZA80スープラで、きれいな状態の普段乗りだった。しかしフロントを大きく損傷する事故に遭い、公道復帰は難しくなってしまった。普通なら売却するか、「いつか直す」と言いながら放置されるところだろう。しかしNazは違った。どうせ公道に戻せないのなら、徹底的に作り込み、バーンアウト専用マシンにしてしまおうと考えた。
 

車体がNaz自身のショップ「RZ Autos」に置かれていたとき、友人のCoro Mokoがふざけてガラスにこう書いた。「LS the World」ただの冗談だった。しかし、それを見たNazの頭にあるアイデアが浮かぶ。「LSを載せよう」「当時は2JZ-GTEを使うよりLSにするほうが、はるかに安かったんです」2JZの価格が高騰するなか、NazはLS1を入手し、シングルターボと組み合わせることにした。ボディを修正し、V8をエンジンベイに収めると、いよいよバーンアウトパッドへ。この仕様でも十分な性能を発揮し、ニュージーランド各地のイベントで何セットものタイヤを煙に変えていった。しかし、パワーに慣れるまでに時間はかからなかった。Nazは、さらに大きなパワーを求め始める。
 

3
4-14-2
5
 

バーンアウトパッドを圧倒する。その明確な目標のもと、Nazと兄弟のKazemは次の仕様を考え始めた。調査の末に選んだのは、6.2リッターの鋳鉄ブロックLSエンジン。信頼性が高く、強大なトルクを生み、大きなブーストをかけても耐えられることが決め手だった。しかも、このプロジェクトは長期間かけてゆっくり進めるものではなかった。
 

仕様が決まると、一気に製作が進んだ。エンジンのボトムエンドはDoug Engineering ServicesのDougが担当。ヘッドまわりはFranklin Camsのスペシャリストたちに任された。同社はバルブトレイン一式に加え、このエンジン専用に設計・製造したカスタムカムシャフトを供給。もちろんニュージーランド製だ。エンジン本体が完成すると、KazとNazがRZ Autosでドライブトレインを組み上げ、車体はMike Bobのもとへ送られてワンオフの加工が施された。そして最後にJT PerformanceのJamesが配線とセッティングを担当。完成したマシンは、最高出力:895kW(約1,200馬力)最大トルク:1,000Nmという凄まじい性能を発揮した。
 

6-16-2
7
 

これだけのパワーを路面へ伝えるには、当然ながら強力なトランスミッションが必要になる。そこで選ばれたのが、Turbo-Hydramatic 400(TH400)3速ATだった。非常に高い耐久性を持ち、大パワーと激しい使用にも耐えられることで知られるトランスミッションだ。TH400はKaspa WestのShaneに送られ、完全なリフレッシュとヘビーデューティ仕様への強化が行われた。Nazがどれだけブーストをかけても耐えられる仕様に仕上げられている。
 

ツインターボ化のきっかけになったのは、意外にも息子Arzeeとの会話だった。ある夜、Arzeeが父親にこう言った。「僕がスープラを持っていたら、ボンネットから炎が出るようにする」Nazはスープラを見た。そして息子を見た。その瞬間、ひとつの約束をした。現在、2基のターボがボンネットから突き出し、Arzeeが想像した通り炎を吹き上げる。新しいツインターボ仕様が完成し、スープラはいよいよ本格的にバーンアウトパッドへ戻った。
 

8
9-19-2

 

大きな転機となったのは、Nazが2025年のChrome Horsepower FestivalでBurnout Pro Qualifyingに出場したときだった。見事優勝を果たしただけでなく、オーストラリアへ渡り、SummernatsのPro Burnout Qualifiersに挑戦する権利も獲得。まさに夢が現実になった瞬間だった。「わずか3年でここまで来られるなんて、思ってもいませんでした」とNazは誇らしげに語る。8月のChromeでの優勝から、本番までのカウントダウンが始まった。チームに与えられた準備期間はわずか3か月。車両を仕上げ、新しいカラーリングを完成させ、さらにオーストラリアでの戦いを乗り切るための工具やタイヤを準備しなければならなかった。

 

世界の舞台に万全の状態で挑むため、RZ Autosのチームはスープラを一度完全に分解。エンジンも降ろし、かなりの整備が必要になることを覚悟していた。しかし、6.2L LSエンジンのコンディションは驚くほど良く、必要だったのはベアリングを軽くリフレッシュする程度。これまで激しく酷使されてきたにもかかわらず、内部はまるで新品のような状態で、このエンジンがいかに頑丈に作られているかを証明していた。
 
メカニカル面の準備が整うと、次は見た目だ。ボディを鮮やかなCustom Candy Redに塗り直し、その後X-Racingへ持ち込んで新しいリバリーを施工した。VickとNazは午後から作業を始め、冗談を交わしながら大量のRed Bullを飲み、午前3時まで一気に作業を続けた。ようやくラッピングを完成させると、わずか2時間の睡眠を取っただけで翌朝には撮影を実施。そして撮影を終えたスープラは、Azhar Bhamjiの協力のもと、そのままコンテナへ積み込まれ、決戦の地オーストラリアへと旅立った。
 

10
 

スープラがオーストラリアに到着すると、友人のCruise Mauroが車両を引き取り、チームが本番に向けて準備を進める間、大切に保管してくれた。チームが現地入りすると、スープラをトレーラーに載せてキャンベラへ。車検も難なくクリアし、木曜日からいよいよSummernatsがスタートした。そこから4日間、クルージングやSkid Row、そして絶え間なくタイヤスモークが舞う、Summernatsならではの時間が始まった。

 

「世界最大の舞台で戦うのは、アドレナリンを直接体に注ぎ込まれているような感覚です」とNazは語る。「スタート前はものすごく緊張します。でもアクセルを床まで踏み込んで、リアタイヤが一気に煙を上げた瞬間、世界の頂点に立ったような気分になるんです」
 
会場には13万人を超える観客が集まり、さらに世界中へ大規模なライブ配信も行われていた。そのプレッシャーは計り知れないものだったが、スープラは期待を裏切らなかった。オーストラリアのライバルたちからも高く評価され、「Nazのように会場を盛り上げるエネルギッシュなショーマンが、このシーンにはもっと必要だ」という声が上がったほどだった。そして、この挑戦は歴史的なものとなった。SummernatsのPro Burnout Qualifiersに出場した世界初のスープラであり、そのレベルでタイヤをバーストさせるまで走り切った初のスープラ。そしてSummernatsのバーンアウトパッドに立った、数少ない日本車の一台となった。
 

11
 

Nazはマシントラブルに見舞われることなく、日曜日のRedemption Roundまで勝ち進んだ。エンジンを8,000rpmまで回し、次から次へとタイヤを破壊するほど激しく走り続けても、オーバーヒートすることは一度もなかった。ツインターボLSがこれほど過酷な走りに耐えながら、コンディションを維持していることにオーストラリア勢も驚いたという。それでもスープラは何事もなかったかのように走り続けた。「観客の熱気は本当にすごかったです。ニュージーランドらしいアグレッシブな走りに大歓声を送ってくれて、そのエネルギーが地面を通して伝わってくるほどでした」とNazは語る。
 
数々のトロフィーを手にし、オーストラリアで大きな成功を収めたNaz。しかし、この挑戦で彼が何より大切にしているのは、自分の情熱を息子へと受け継いでいくことだ。Nazはすでに、Arzeeがそのファミリーのレガシーを引き継ぐための準備を始めている。Arzeeがまだ2歳だった頃、彼のために専用のスープラを購入したのだ。それも、Royal Sapphire Pearlの純正6速MT・RZツインターボという本格的な一台だ。
 
それ以来、親子で少しずつそのスープラをレストアしてきた。現在8歳になったArzeeは、今もNazが全力で走り続ける大きな原動力となっている。このプロジェクトを通じて最も心に残った瞬間も、名声を得たことでも、トロフィーを手にしたことでもなかった。Chromeで走っている最中、ふとフェンスのほうに目を向けると、そこには自分を一生懸命応援する息子の姿があった。Nazにとって、それこそが父親として何物にも代えられない、最高の瞬間だった。
 

12
 

スペックリスト

1994 Toyota Supra(JZA80)
 
HEART|エンジン

エンジン: LS 6,200cc V8
ブロック:鋳鉄ブロック、6,200cc仕様、CP鍛造ピストン、CPコンロッド、King強化ベアリング
ヘッド: ProMaxx LS2ヘッド、ポート&ポリッシュ加工、Yella Terraスペーサー、Harland Sharpローラーロッカー、チタンリテーナー、Crowerソリッドリンクバーリフター、Franklin Camカスタムカム
インテーク: Aeroflowインテークマニホールド、Bosch電子制御スロットルボディ
エキゾースト:ワンオフ・ターボマニホールド、ターボから3.5インチのボンネット上方排気
ターボ: Aeroflow 3584 ツインターボ
ウエストゲート: Turbosmart 50mm ×2
BOV: Turbosmart
燃料系: Super Factory燃料タンク、Walbro 550L/h燃料ポンプ ×2、NZKWワンオフANライン、NZKWエンジンルーム燃料フィルター
点火系: LS3イグニッションコイル
ECU: Haltech Nexus R3
冷却系:ワンオフ155mmフロントマウントインタークーラー、PWRラジエーター、冷却ファン ×6
その他: Bosch 1650ccインジェクター、PDM付きフルカスタムハーネス、NZKWビレットロッカーカバー、ワンオフ・オイルキャッチタンク、モータースポーツ用フルワイヤリングハーネス
 
DRIVE|駆動系

トランスミッション: Turbo-Hydramatic 400(TH400)3速AT、ハイストール仕様、トランスブレーキ
デフ: Holden VZデフ、ワンオフ・アクスル
 
SUPPORT|足まわり・ブレーキ

サスペンション: BC Gold調整式車高調
ブレーキ(F): Supra 4ポットキャリパー、TRWスリットローター、TRDブレーキパッド
ブレーキ(R): Supra 2ポットキャリパー、TRWスリットローター、TRDブレーキパッド
アーム/ナックル:フロント各部 Agile Performance製アーム
 
SHOES|ホイール&タイヤ
ホイール(F): Work VSKF 19×9.5(+15)
ホイール(R): Weld Drag Wheels SP1 15×10 +35
タイヤ(F): Bridgestone Sport A1 245/45R19
タイヤ(R): Mickey Thompson 275/50R15
 
EXTERIOR|エクステリア

ボディカラー: Custom Candy Red+カスタムリバリー
エアロ: Ridoxフロントバンパー
 
INTERIOR|インテリア

シート: NZKWバケットシート
ステアリング: NZKW
メーター類: Haltech iC-7デジタルディスプレイ、Bosch温度計、Quicksilver油温計、Prosport水温計/ブースト計
その他: B&M Quicksilverシフター
 
PERFORMANCE|パフォーマンス

最高出力: 895kW
最大トルク: 1,000Nm
ブースト: 25psi
燃料: E85
チューナー: James(JT Performance)
 
 
 
DRIVER PROFILE|オーナー/ドライバー

ドライバー/オーナー: Nazim “Naz” Poshklidi
年齢: 30歳
所在地:ニュージーランド・オークランド
職業: RZ Autos オーナー
製作期間: 2〜3か月
所有期間: 3年
 
THANKS|スペシャルサンクス

兄弟たち、そしてRZ Autosのチーム全員のサポートに心から感謝します。また、このプロジェクトを支えてくれたすべてのスポンサー、サポーターにも感謝します。
 
NZKW Team、JT PerformanceのJames、Kaspa WestのShane、Road Runner、Mando、Mike Bob、X-RacingのVick、Franklin Cams、Mag & Turbo、Haltech、ProwearのAzhar Bhamji、Chrome Azhar、RPM Performance、Pro Tow、S Panel & PaintのOwen、Doug EngineeringのDoug、Ape AutomotiveのShane、Tyre Shop Pukekohe、Repco Takanini。
 
皆さんの力なしでは実現できませんでした。
 
この記事は「New Zealand Performance Car」Issue 319に掲載された記事です。

 










一定時間でのアクセス回数が多すぎます。しばらくたってから再度アクセスして下さい。