終盤の波乱も問題ナシ。ホンダ勢が表彰台独占! 勝者は#16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT!
8月23日、三重・鈴鹿サーキットにおいてSUPER GT第5戦「SUZUKA GT300km RACE」の決勝レースが行なわれた。レース終盤に発生したアクシデントを受けてセーフティカー(SC)が導入され、最後はSC先導によるチェッカーとなった。そのなかで予選4番手スタートのNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(野尻智紀/佐藤蓮)がルーティンのピット戦略で勝機をつかみ、タフな戦いを制している。
決勝日を迎えた鈴鹿は、朝から気温が上がり、蒸し暑い一日となった。強い日差しが照りつけるなか、午後1時30分、52周にわたる熱戦が幕を開ける。気温34度、路面温度45度と予選日と似通ったコンディションの下でスタートが切られると、まずポールポジションのNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)がホールショットを奪い、これに予選3位のNo. 8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)、そして同4位の16号車が続き、GT500車両として唯一ダンロップタイヤを装着する同2位のNo.64 Modulo HRC PRELUDE-GT(大草りき/イゴール・オオムラ・フラガ)が4番手までポジションを落とすことになった。
17号車がクリーンなコース上を逃げる形で先行する一方、後続の8号車は3周目のシケインで16号車の先行を許して3番手に。勢いある16号車がじわじわとトップに迫った。なお、決勝レースを前にエンジン置換を行なったNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GT(山本尚貴/牧野任祐)とNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)の2台は、ペナルティストップ5秒を消化するために4〜5周終わりでそれぞれピットイン。後方からの追い上げを目指した。
8周目を過ぎると、コース上には周回遅れとなるGT300クラス車両が先頭を走る17号車の前に現れ、これをチャンスとばかり16号車が確実に差を詰めてくる。だが、17号車はしぶとく粘り、トップを死守。16周目の2コーナーでは、一瞬16号車が先行する形になりかけたが辛くも17号車がこれを阻止した。
攻防戦が続くなか、GT300車両がNIPPOコーナーの外側グラベルでストップ。これでおよそ3分にわたりフルコースイエローが発動される。すると、解除後の18周終わりでトップ17号車と、8号車がピットイン。ルーティンのドライバー交代等を済ませる。これを受け、トップに立った16号車はさらに快走を続け、22周終わりでピットへ滑り込んだ。
コースに戻った16号車に襲いかかったのは、一足先に作業を終えていた17号車。サイド・バイ・サイドからの逆転を果たし、ドライバー交換を終えたなかでのトップ奪還に成功した。しかし、16号車も喰い下がり徐々にギャップを詰めていく。そして迎えた36周目。16号車がシケインで17号車に迫り、そのまま横並びで最終コーナーを立ち上がるとメインストレートで頭ひとつ出て1コーナーへ。しかし、立ち上がりでは17号車が先行する激しい攻防戦を見せた。そして迎えた130Rでは、17号車がGT300車両と交錯寸前となり、行くてを阻まれる。この隙に16号車がついにトップを奪取。この先はラップ毎に後続との差を広げる力走を披露した。
16号車を先頭に、17号車、なんとかポジションキープで奮闘する8号車がトップ3となり、その後方に日産勢トップのNo.23 MOTUL Niterra Z(千代勝正/高星明誠)、さらにトヨタ勢トップのNo.38 KeePer CERUMO GR Supra(大湯都史樹/小林利徠斗)のオーダーで周回するなか、47周目、チェッカーまで残り5周の時点でGT300クラス車両によるクラッシュが130Rで発生する。
単独でのクラッシュだったが、コースアウトによってクルマが回転して大きく損傷、また、スポンジバリアが激しく崩れることに。これを受け、セーフティカー(SC)が導入された。コース上では各車両の隊列を整える作業、そしてバリアの修復作業が進められたが、時間の経過によってレースはSC先導の隊列のまま52周のチェッカーを迎えた。
これにより、16号車が逆転による今シーズン初優勝を達成。野尻にとっては通算11勝目、また佐藤はGT500での初優勝となり、PRELUDE-GTが前回の富士に続き2連勝を果足す結果となった。2位の17号車もシーズン初となる表彰台。3位8号車と合わせ、予選同様にホンダ勢が表彰台を独占する形でタフな戦いを終えている。
GT300クラスでは、予選でチーム初となるクラスポールポジションを掴んだNo.9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMW(冨林勇佑/藤原優汰)が安定した速さを武器に、圧巻の走り。終盤に発生したアクシデントでレースはSC先導のままチェッカーを迎えたが、それ以前の時点で後続に15秒ほどの大差をつけるほどの力走で、チーム初の勝利を形にしている。
真夏の鈴鹿戦で初のクラスポールからスタートを切った9号車。その背後には、表彰台の常連ともいえるNo.777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)、またシーズン初勝利を目論むNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が控えており、気の抜けない状況だったが、9号車は快調にクラストップを走行。また、777号車、さらに予選4番手からポジションアップしたNo.60 Syntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)による鍔迫り合いも味方になった。
そのなかでいっそうタフな戦いを強いられたのが、61号車。ペースを上げられず、後続のNo.18 UPGARAGE AMG(小林崇志/新原光太郎)の先行を許すなか、14周目には後続車から追突されてスピン。NIPPOコーナーでスタックする。これを受け、レースはFCYの導入となった。ほどなくしてFCYが解除されると、今度はトップ9号車にゆさぶりをかけるためか、2番手の777号車がルーティンのピットインを実施した。また、これに続くかのように後続もドライバー交代のピット作業を始める。
だがトップ9号車は動じず、”我が道”をいく作戦。24周終わりでルーティン作業を済ませ、コースに復帰。先に作業を終えたなかでトップを走っていた60号車に対し、余裕をもってコースインして見せる。一方、前回の富士で勝利した52号車は、ポジションアップを狙い、フロントタイヤ2本のみを交換。結果的に9号車を逆転することは叶わなかったが、60号車よりも前でコース復帰をやってのけた。
終盤になると、9号車は再び15秒ほどの大差をつけて快調に周回を重ねていく。その背後で60号車、そしてポジションを上げてきたNo. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO(ザック・オサリバン/梅垣 清)さらに18号車が激しいポジション争いを展開した。
迎えた終盤。ここでまさかのアクシデントが発生する。7位走行中の52号車がGT500車両に追突され、スピン。タイヤにダメージを受けたため、緊急ピットインを行ない、右リヤタイヤ交換を強いられる。ところが、翌周の130R進入で大きく態勢を乱してスピードに乗ったままコースアウト。スポンジバリアに激しくぶつかり、クルマが回転する形でグラベルベッドに着地するという激しいアクシデントとなり、コース上にセーフティカー(SC)が導入された。また、52号車のアクシデントより前、60号車は2位走行中にタイヤがパンクする不運に見舞われ、ポジションを大きく落としている。
終盤になって荒れた展開になったが、最後はSC先導のままチェッカーが振られ、9号車がうれしい初優勝。チーム、そして冨林、藤原のふたりにとってもSUPER GTでの初勝利を果たしている。2位には7号車が続き、前回から連続の表彰台に。3位は18号車。小林と新原の新コンビで始めて表彰台に上がることとなった。
次回は、仙台・スポーツランドSUGOを舞台にした第6戦が開催される。本格的な秋が訪れるなかでの戦いか、はたまた残暑を感じるなかでのバトルとなるか。いずれにせよ、SUGOならではの厳しい戦いが待ち受けていそうだ。
・第5戦鈴鹿 決勝結果(各クラストップ3)
<GT500>
1.No.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(野尻智紀/佐藤蓮)1H47’00.904 52L
2.No.17 Astemo HRC PRELUDE-GT(塚越広大/野村勇斗)+2.220
3.No. 8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT(太田格之進/大津弘樹)+3.500
<GT300>
1.No. 9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMW(冨林勇佑/藤原優汰)1H47’16.526 48L
2.No. 7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO(ザック・オサリバン/梅垣 清)+4.429
3.No.18 UPGARAGE AMG(小林崇志/新原光太郎)+6.621