軽自動車が“小さなGRスープラ”に─NATS学生たちが生み出した卒業制作
記事提供元:turnpike
卒業制作といえば、ノートPCに向かってレポートを書くことを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、なかにはアングルグラインダーやプラズマカッター、そして塗装ブースが欠かせないプロジェクトもある。
今回紹介するのは、軽自動車をベースに製作された「ミニGRスープラ」。手掛けたのは、東京オートサロンの常連校として知られるNATS(日本自動車大学校)の卒業生たちだ。学生プロジェクトの域を超えた完成度を誇るカスタムカーを数多く送り出してきたNATSらしい一台である。
鮮やかなオレンジのボディカラーに、「Nuclear Gladiator」のサイドグラフィック。この軽自動車ベースのGRスープラは、かつてNATSが製作した『ワイルド・スピード』仕様のA90 GRスープラへのオマージュでもある。前作はレクサスSCのシャシーをベースにフルサイズで製作されたが、今回はその世界観をコンパクトなスケールで再現した“ミニチュア版”と言える。
これまでのNATS作品とは異なり、このプロジェクトは地域社会の支援を受けながら進められた。ベース車両となったダイハツ・コペンは千葉県内のダイハツ販売店から提供され、さらに複数のスポンサーが純正トヨタ部品やアフターパーツを供給。学生たちはそうした協力のもと、GRスープラらしいディテールを細部まで再現していった。
NATS(日本自動車大学校)では、2級自動車整備士課程の最初の2年間で、学生は整備、モータースポーツ、研究開発、カスタマイズといった専門分野を学ぶ。その後、カスタマイズコースの最終学期では少人数のチームに分かれ、わずか6か月という限られた期間で公道走行可能なコンセプトカーを完成させる卒業制作に取り組む。目標は1月の東京オートサロンへの出展だけでなく、日本の車検に適合させたうえで2日間にわたる一般公道での走行テストを完了することだ。ワンオフボディパネルの製作から最終的なクリアコート塗装まで、すべての工程はNATS校内の設備で行われ、完成車のテスト走行も学内の専用サーキットで実施される。今回掲載した写真も、そのテストコースで撮影したものである。
GRスープラのプロポーションをコンパクトなコペンのボディへ落とし込むため、使用されたトヨタ純正ボディパネルはすべて切断・加工され、軽自動車のサイズに合わせて再構築された。その上にはFRP製ボンネットとワンオフのワイドボディキットが組み合わされ、迫力あるシルエットを実現。さらに、エアサスペンション、リアバンパー下に収められた藤壺技研工業(Fujitsubo)製マフラー、スワンネックタイプのリアウイング、そしてKuhl Racing製16インチ「VERZ DDR01」ホイールを装着することで、細部まで統一感のある完成度の高いスタイリングに仕上げられている。
エンジンルームには、コペン純正の軽自動車規格660cc直列3気筒ターボエンジンを搭載。Powerhouse D.T.M.製インタークーラー、Take Off製「Pusshun R」ブローオフバルブ、HKS Racing Suctionインテークを組み合わせることで、ライトチューンが施されている。その内容は、クルマ好きが初めて手にした愛車を自分好みにカスタマイズしていくような、等身大で親しみやすいチューニングメニューとなっている。
このミニGRスープラは、NATSが2025年度に製作した3台の卒業制作車両のうちの1台で、2026年の東京オートサロンで一般公開された。ほかの2台は、日産グロリアをベースとしたローライダーと、レクサスLSをベースにセダンへと仕立てたトヨタ・ヴェルファイアという、いずれも独創性あふれる作品である。
もちろん、NATSの製作車両はコンコールレベルの完璧なショーカーを目指したものではない。細部の仕上がりばかりに目を向けてしまえば、その本質を見失ってしまうだろう。これらは次世代のエンジニアやビルダーを育成するための実践教育の成果であり、学生たちが培った技術力や創造性を示す場でもある。このミニGRスープラからは、日本のカスタムカー文化を担う若い才能が着実に育っていることが伝わってくる。













































