SCランの展開を味方に、福住仁嶺が今季2勝目を挙げる!
8月9日、宮城・スポーツランドSUGOにおいて開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦の決勝レース。曇天模様のなか、降雨が心配されたがなんと持ち堪え、51周の戦いを繰り広げた。折り返し直後、立て続けにトラブルに見舞われた車両回収のためにセーフティカーが導入されたが、これを味方にしたNo.14 福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)が予選7番手から鮮やかな逆転優勝を果たすことになった。
台風15号が日本列島に向けて東から西に進んでおり、その影響を受けてか、決戦を控えるSUGOの上空は鉛色の雲が広がり、いつ泣き出すのか不安な天候に見舞われた。スタート進行の時点で気温28度、路面温度41度のコンディションだったが、決勝が近づくにつれ、さらに下降した。
午後2時20分、フォーメーションラップがスタート。やや蹴り出しが弱かったポールポジションのNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN AUTOBACS)に対し、予選3番手のNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が絶妙なタイミングで飛び出し、1コーナーのアウト側から逆転を狙った。だが、勢い余ってオーバーラン。なんとか自身のグリッド3番手を死守し、オープニングラップを終える。トップ野尻、2番手のNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、これにフラガ、No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、No.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)と予選ポジションどおりで続いたが、予選6番手と自身自己ベストからスタートを切ったNo. 28 小林利徠斗(KDDI TGMGP TGR-DC)は福住に先行され、7番手となり、さらに2周目の1コーナーでNo. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)にもポジションを譲ることになる。
序盤にトップを奪取したい太田は、オーバーテイクシステム(OTS)を使い、野尻に迫る。だが、その状況を把握した野尻も同じタイミングでOTSを使用。太田に攻略のチャンスを与えない。2台は1秒前後という僅差で周回を重ねたが、逆にフラガはしばし様子見を決め込み、OTSも使わずトップ2台から1秒強の差で追随する。
レースはトップ野尻が13周目へと突入。ピット作業が可能となるこのタイミングで、後方の4台がコースイン。ピットインのラインが交錯するシーンもあり、のちにNo.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)に対しては、アンセーフリリースのタイムペナルティが科されることになる。さらに翌14周目にも4台がピットへ。その中にはさらにポジションアップを狙う牧野の姿もあった。
このあと、トップ争いのなかから先に動いたのは、太田。19周終わりでピットへ。すると、この動きを見て、野尻も翌20周にぴっとへと帰還。なんとか太田を押さえる形でコース復帰を果たした。一方、ピット前にタイヤを準備していたフラガだが、ハイペースでの周回を続けており、これを受けてチームでは作戦を変更。以降、OTSも使わずペースよく周回を重ねることで、タイヤ交換後のトップ争いに備えた。
レースは、折り返し直前の25周終わりで坪井がピットイン。タイヤ交換組のトップを死守する野尻、太田に次いでコース復帰したが、その背後には牧野が迫る。元のポジションを取り戻すべく、牧野はハイポイントコーナーで半ば強引に逆転を決め、坪井を退けることに成功した。そんななか、コース上では急にエンジンがふけなくなったNo.38 阪口晴南 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)がスロー走行。さらにNo.97 ロマン・スタネック(ナビクル Buzz MK RACING)にもトラブルが発生。2台はそれぞれ異なる場所のエスケープゾーンにクルマを止めることとなり、これを受けてSCがコースインした。
27周目にSCランとなるなか、この直前にフラガがルーティンのピットインを実施。2台のアクシデントを見てピットに戻り、野尻、太田よりも前の位置でコース復帰を果たしたことで、暫定トップが手に入ったかに思われた。ところが、その翌周、それまでフラガの後方を走っていた福住、岩佐がSCラン中にピットイン。SUPER GTとは異なり、スーパーフォーミュラではピットレーンへの出入りが認められていることを利用し、コース復帰を果たす。
すると、コース上のSCは福住を先頭に周回。岩佐、フラガがトップ3となり、野尻、太田、牧野、坪井が続く形でSCランが続いていく。SCのフラッシュライトが消灯したのは、35周走行時。36周目からレース再開となり、残り15周の戦いが改めて幕を開けた。各車、大きなミスもなくスマートにリスタートを決めると、トップ福住と2番手岩佐の差は0.3秒弱。フラガもまた岩佐を0.2秒差で猛追する。一方、太田は36周目のメインストレート上でようやく野尻を逆転。トップ3を追いかけた。
終盤へと向かうなか、野尻が太田から少しずつ離される形となるが、その太田はトップ3台との差を思うように詰めることができない。そのなかで雨も降り始め、スタンドでも傘を開く姿が見受けられるようになったが、幸いにしてそれ以上崩れることなく緩やかに回復。終盤へと向かうなか、OTSを駆使してトップ2台が攻防を広げる一方、千載一遇のチャンスを狙うフラガがOTSを温存する形で最終盤を迎える。
自己ベストタイムをマークしながら追う岩佐と逃げる福住の差が0.5秒強へ迫り、また3番手フラガも岩佐を0.8秒強で追い立てる。だが、逆転に持ち込むのは難しく、トップ3台は縦一列でファイナルラップへ。すでにOTSを使い切った岩佐に対し、フラガはOTSをフルに使って最後のチャンスにかけたが、それぞれポジションは変わらず。結果、福住が第5戦鈴鹿以来となるシーズン2勝目を達成。これに岩佐が続き、フラガは3位フィニッシュ。SCランを味方に、流れを呼び込み勝利した福住、予選9位から表彰台に立った岩佐は喜びの表情を見せたが、このたびのレースコントロールに納得がいかないフラガは、表彰台でもトロフィーを掲げず、シャンパンファイトにも加わらなかった。
今シーズンのスーパーフォーミュラは、このあと”サマーブレイク”に突入。次戦はおよそ2ヶ月後の10月10、11日に第9、10戦が静岡・富士スピードウェイで開催される。
【第8戦SUGO 決勝トップ3】: 暫定結果による
1.No.14 福住仁嶺(NTT docomo Business ROOKIE)1:05’17.129
2.No. 1 岩佐歩夢(TEAM MUGEN AUTOBACS)+0.505
3.No.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)+0.939