フォーミュラ・ドリフト・オーランド:熱戦の舞台、そして豪雨
記事提供元:turnpike
2026年フォーミュラ・ドリフト選手権も数戦を消化したところで、今回はその様子について少し触れてみたい。少し自己紹介すると、私はFDの公式フォトグラファーのひとりとしてシーズンを追いかけている。全米各地を転戦するその姿は、言わば移動サーカスのようなものだ。ただし、踊るゾウの代わりにドリフトマシンが主役だが。全8戦で争われる2026年シーズンの第3戦は、先週末にフロリダ州オーランドのオーランド・スピード・ワールドで開催された。場所はもちろん、その名のとおりオーランドである。
シーズンはまだ序盤だが、すでにいくつか注目すべきトピックが見え始めているので、今回はそれらについても触れていきたい。
フォーミュラ・ドリフトは過去10年にわたりオーランドで開催されており、毎シーズンのように屈指の好バトルを生み出してきた。コースレイアウトだけを見ると、2つのコーナーと中央の1回の切り返しで構成された非常にシンプルなコースに見える。しかし実際には、ドライバーたちが語るように見た目以上に難易度が高い。バンク区間を駆け下りると、サスペンションはインフィールドへの進入で路面に激しく叩きつけられ、その直後に待ち受ける切り返しでは、まるでクルマが浮き上がるかのような挙動を見せる。少なくとも写真で見る限りは、そう見える。
この比較的シンプルなレイアウトのおかげで、接近戦のタンデムバトルが生まれやすく、個人的には迫力あるドリフト写真も撮りやすいコースだと思っている。ただし、その代償とも言えるのが天候だ。オーランドは暑く湿度が高いだけでなく、FDオーランドの開催週末にはほぼ確実に雨が降る。今年も2日間で実に5回の雨に見舞われた。しかも、それは思わず雨の中で踊りたくなるような小雨ではない。ラブコメ映画のクライマックスで主人公たちが愛を告白する場面に降りしきるような土砂降りだ。あるいは、もう少しシリアスな例えをするなら、何度も挑戦してはやられ、12回目のゲームオーバーの末に「今日はもうやめよう」とコントローラーを置くことになるボス戦の最中に降っているような、そんな激しい雨である。
雨はあまりにも突然、そして激しく降り出したため、慌ててカメラをあまり良くない場所に置いてしまい、そのまま落下させてしまった。そのときはCanon R3に400mmレンズを装着していたのだが、持ち上げた瞬間にカメラがぶら下がっていることに気付いた。残念ながら落下の衝撃でRF-EFアダプターとR3本体のレンズマウントが破損してしまった。しかし幸いなことに、機材の中で最も重要な存在であるレンズ本体は無事だった。FDでは普段3台のカメラを使っているため、カメラボディを1台失うのは痛手ではあったものの、唯一の望遠レンズを失うことに比べればまだましだった。
カメラの話を続けると、この時期のオーランドは想像以上の湿気との戦いだった。レンズの曇りを防ぐため、カメラはエアコンの効いた室内ではなく屋外に置いておく必要があったが、つい癖でプロダクションオフィスを出入りしてしまい、そのたびにレンズが曇ってしまう。そんなことを週末中繰り返した結果、このギャラリーの写真には少し不思議なフレアが写り込んでいるものもあるが、それも現地ならではの苦労の跡というわけだ。
週末はまず練習走行と予選からスタートする。私は練習走行の序盤になると、あえてコース上のドリフト撮影から離れるようにしている。最初の1時間は後半のセッションほど見どころが多くないことがほとんどなので、自分の順番を待つドライバーたちが並ぶグリッドエリアに留まることが多い。そこでは、クルーがマシンの最終調整を行う様子や、ドライバーがフル装備の安全装備を身に着ける前にストレッチをする姿など、舞台裏ならではのシーンを撮影する絶好の機会が得られる。
今年からは予選方式が復活した。ここ数年のFDではシードブラケット方式が採用され、ランキング下位16名が「Bottom 16」で対戦し、本戦の組み合わせを決めていた。この方式にはメリットもデメリットもあったが、従来の予選が復活したことで、こちらにもまた独自の長所と短所が戻ってきた。その中でも最大の欠点は、進行に時間がかかることだった。
暑く蒸し暑いコンディションから一転、冷たい雨へと変化した予選を経て、Top 32は非常に興味深い組み合わせとなった。その中でも最大の注目カードとなったのが、ジェームズ・ディーンとコナー・シャナハンの対決だった。
この2人はシリーズランキング1位と2位でシーズンを迎えたこともあり、この対決の勝者が決勝まで勝ち進む可能性が高いと誰もが考えていた。それだけでなく、敗れた側は残りのシーズンでランキングを挽回するために厳しい戦いを強いられることになる。誰もが決勝戦にふさわしいカードになると期待していたが、その期待どおりの名勝負となった。最終的にはディーンがシャナハンを下して勝利を収めた。
Top 32では、ジャック・シャナハンとデレク・マディソンの一戦も見応えがあった。ジャックは弟のコナーと同様、ドリフトカーを操らせれば誰もが警戒する実力者。一方のデレクも決して侮れないドライバーであり、この対戦はまさに「ダビデ対ゴリアテ」と呼ぶにふさわしいカードだった。勝敗は一度ならず二度も「One More Time(再走)」判定にもつれ込む大接戦となり、最終的にはジャックが勝利を収めた。それでも、デレクの成長ぶりを感じられる内容だったのはうれしい収穫だった。
トップ16のオープニングセレモニーは、毎年楽しみにしている時間のひとつだ。ドライバーたちがヘルメットを脱ぎ、マシンを降りた姿をファンが間近で見られる貴重な機会だからである。お気に入りのドライバーに声をかけたり、一緒に写真を撮ったりするファンも多い。セレモニーは夕暮れ時に始まり、日が落ちる頃にはトップ16の最初のバトルがスタートする。コースの照明が灯り、マシンのヘッドライトも次々と点灯。イベントはいよいよ本番へと突入していく。
トップ16の序盤は、毎年決まって同じ場所から撮影するようにしている。バトルを終えた2台が並んで停止し、3人のジャッジによる判定を待つ、この瞬間を撮るのが好きだからだ。この時間は意外なほど静かだ。両ドライバーは大型ビジョンに映し出されるリプレイを見つめ、ライブ配信では実況と解説が先ほどの走りを振り返っている。ときにはドライバー同士がマシンを降りて言葉を交わすこともあるが、それはごく稀な光景である。個人的には、こうした場面でもっとドライバー同士の交流が見られたらと思うことがある。その点では、Formula DRIFTのヨーロッパ版ともいえるDrift Mastersの雰囲気は少し羨ましく感じる。
決勝はジェームズ・ディーンとオディ・バクチスの顔合わせとなった。オディはこれまで何度も優勝争いに加わりながらも、あと一歩でタイトルに届かず、ランキングも2~5位あたりに留まることが多かった。毎年シーズン序盤は好調なスタートを切るものの、第6戦、第7戦あたりで勢いが鈍り、最終的には別のドライバーが主導権を握ってチャンピオンへと駆け上がる…そんな展開が続いてきた。ファンの誰もが「オディにはチャンピオンになれる実力がある」と信じている。しかし、これまで乗り続けてきた日産Sシャシーから離れ、今季は新たにスバルBRZを投入したこともあり、私は2026年にタイトル獲得を果たせるかどうか半信半疑だった。ところがオーランドでタイヤスモークが晴れたとき、表彰台の頂点に立っていたのは、そのオディだった。しかも相手はディフェンディングチャンピオン。見事な勝利だった。
オディはこの勝利でランキング首位に立ち、残るラウンドは5戦となった。次の舞台はコネティカット州、そしてインディアナ州。どちらもシリーズにとって未知数のコースだ。オディはジェームズの追撃を振り切ることができるのか。それともコナーは再び頂点へと返り咲くのか。さらに、今季まだ一度も表彰台に立っていないブランデン・ソレンセンがランキング3位につけているだけに、もし上位勢がオーランドでのコナーのような苦戦を繰り返せば、一気に逆転してチャンピオンを獲得する可能性も十分ある。答えは、2026年シーズンが幕を閉じる10月に明らかになる。


































































































































































































