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第94回ル・マン、粘りに粘り、7号車トヨタが戦いを制する




6月13日の午後4時にスタートしたWEC世界耐久選手権第4戦「第94回ル・マン24時間レース」。フランス西部n位置するサルト・サーキットおよび近隣の行動を使用した特設コースでの戦いは、終盤に入りタフな戦いによる影響が出始めた。大きなアクシデントこそなかったが、出来る限りノーミス、ノートラブルに近い状態でレースを遂行させたチームが次第にポジションを上げ、最終盤でトップに立ったNo.7 トヨタTR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース)が今年のル・マンを勝利することとなった。
 

長い帷が明けてル・マンに青空が戻ってくると、爽やかな太陽が朝から照りつける。午後に向けてぐんぐんと気温、路面温度も上昇。現地では正午を過ぎると路面温度があっという間に40度を超え、気温も25度を超える暑いレースデーとなる。
 

残り6時間を切り、予選から順調に初ル・マンで奮闘していたジェネシスの1台にトラブルが発生。A.ロッテラーを擁する17号車が、スタートから16時間半を前にしてストップ。ハイパーカークラスで2台目のリタイアとなった。一方で、トップ争いは各車のピットインのタイミングによって都度トップが入れ替わる状態だったが、12号車キャデラック、20号車BMW、そして7号車トヨタが僅差で攻防戦を繰り広げた。
 

チェッカーまで4時間を切った頃、LMP2で長らくトップを牽引してきた30号車にまさかのアクシデントが襲いかかる。326周目のユノディエールでブレーキトラブルが発生。コースに留まれずコースアウトを喫し、そのままコースサイドにクルマを止めてしまう。これを受けて午後12時40分にはフルコースイエローが導入されたが、およそ8分後に解除されると、リスタートを狙って8号車が12号車から暫定トップを鮮やかに奪い取った。さらにその背後につけていた7号車も畳み掛けるように12号車を逆転。これでトヨタがワン・ツーを形成した。
 

残り2時間を切って、なお引き続き激しいポジション争いを繰り広げた今年のル・マン。気温は27度、路面温度はついに50度まで上昇。レースウィークで一番過酷なコンディションとの戦いにもなり、まさに神経戦で大終盤を迎えることに。チェッカーまで1時間半となるなか、トヨタ陣営の2台がピットインするなか、ポジション争い中の20号車も同一周回でピットに。356周終わりにこの3台は各自の戦略を採ったが、7号車はフルサービスの作業で小林へとスイッチ。一方、8号車はドライバー交代はせず。20号車もフルサービスでコースへ戻り、7号車を20号車が追うようにコースインした。
 

残り30分を切って、トップは7号車トヨタ。後続の20号車との差は11秒強。8号車もほぼ同間隔で20号車をつける。この上位3台は最後の最後まで変わらぬペースで周回を重ねるが、ここで気がかりだったのが、バーチャルエナジータンクの残量。暫定トップの7号車が残り30秒の時点でメインストレートのフィニッシュラインを通過したでさらに1周が必要となったが、計算上では1周につき7.6%が必要、と言われていたが、トップ3台の残量は7%とギリギリの状態。前日の午後4時にスタートした戦いから24時間が経過しても、コース上ではまだ上位3台が熾烈な戦いを続けており、何事もなければ優勝とわかっていても、エネルギー残量が僅かな状況が気がかりなピットでは、誰しもが厳しい表情で走るクルマをただ眺めるだけだった。
 

ハイレベルな駆け引きを最後の最後まで見せたトップ3台は、渾身の走りでファイナルラップを走破。見事、7号車をドライブする小林がトップチェッカーを受けると、不安な空気に覆われて静寂だったピットが一転、歓喜が湧き上がった。これにより、トヨタは4年ぶりの勝利を、また7号車をトップチェッカーに導いた小林としては、5年ぶりの勝利を味わうことになった。
 

14番手スタートからの大逆転を達成した小林。「レース序盤はタイヤパンクチャーなどで絶望的な状態だったが、最後まで諦めずに頑張ろうと思った。ギリギリで勝てたのはチームの頑張りでもある。勝ててホッとした」と久々の優勝に喜ぶ一方で、チーム代表として安堵の表情も見せた。
 

LMP2では、チェッカーまで残り4時間を経過しても、なお揺るぎない強さを見せていた30号車デュケーヌ・チームにトラブルが発生。先述のようにユノディエールで事切れた30号車はそのままリタイア。それまで長くトップ争いを繰り広げた343号車にトップが代わった。だが、この343号車に迫ったのが同じチームのNo.43 (ヤクブ・スミエコフスキー/トム・ディルマン/ニコラス・イェロリー)。残り2時間の時点でトップを奪取すると、そのまま後続を引き離す力走でクラストップチェッカー。僚友343号車を従える形で昨年に続く2連覇を達成した。3位にはNo.29 フォレスティア・レーシング・バイ・パニス(ルイ・ルーセ/エステバン・マッソン/オリバー・グレイ)が続いた。また、ル・マン初参戦の太田格之進がチェッカードライバーを務めた9号車は、11位チェッカーとなっている。
 

LMGT3はレース序盤からトップ争いを続けたNo.27 アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3(イアン・ジェームス/ザカリー・ロビション/マティア・ドルディ)が残り2時間を前にしてトラブルでリタイアする一方、レース折り返し時点からトップをキープしていたのがNo.33 シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R。予選17番手から着実にポジションアップを果たしたあとは、圧倒的な強さを最後まで貫く活躍を見せて優勝を遂げた。2位には一時暫定トップに立つ活躍を見せたNo.78 レクサスRC F LMGT3(トム・ファン・ロンパウア/ドリアン・デイビッド/ジャック・ホークスワース)が、3番手にはNo.23 アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3(グレイ・ニューウェル/エドゥアルド・バリチェロ/ジョニー・アダム)が続くことになった。また日本人選手として唯一GT3クラスに参戦していたNo.57 フェラーリ296 LMGT3エボ(木村武史/コンラッド・ラウルセン/ダニエル・セラ)は、10位で戦いを終えている。
 

全クラスにおいて、緊迫のトップ争いが見られた今年のル・マン。今年は天候にも恵まれ、安定したコンディションのなかでの力走が披露され、大きな接触事故などもなく、ほぼ単独でのトラブル等によるセーフティカーやFCY導入に留まった。それゆえ、つねに緊張感ある戦いが続き、そのなかでライバルを出し抜く戦略も含めて完成度の高さが求められることとなった。今やノーミス、ノートラブルは当たり前。今後、ライバルより精度に秀でることを求められる戦いがさらに激化しそうだ。
 

◎ル・マン24時間レース最終結果(総合トップ3および各クラストップ)

<HYPERCAR>
1.No.7 トヨタTR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース) 381周
2.No.20 BMW Mハイブリッド V8(ロビン・フラインス/レネ・ラスト/シェルドン・ファン・デル・リンデ) +10.913
3.トヨタTR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮) +20.417
 

<LMP2>
1.No.43 インターユーロポル・コンペティション(ヤクブ・スミエコフスキー/トム・ディルマン/ニコラス・イェロリー) 361周
 

<LMGT3>
1.No.33 シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R(ベン・キーティング/ジョニー・エドガー/ニッキー・キャツバーグ) 336周
 

(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 

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パイパーカークラス優勝:No.7 トヨタTR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース)
 

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LMP2クラス優勝:No.43 インターユーロポル・コンペティション(ヤクブ・スミエコフスキー/トム・ディルマン/ニコラス・イェロリー)
 

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LMGT3クラス優勝:No.33 シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R(ベン・キーティング/ジョニー・エドガー/ニッキー・キャツバーグ)
 

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表彰セレモニー
 










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