2026 Elmia Custom Motor Showを彩った珠玉の3台
毎年、常識を塗り替えるようなクルマが集まるElmia Custom Motor Show。もちろん2026年も例外ではなかった。メインイベント記事でも触れた通り、今年のショーは完全に別次元。正直、あと20台は余裕で紹介できるほどだったが、その中でも特に強烈な印象を残した3台を今回はピックアップしたい。
それぞれの方向性はまったく異なる。1台は、誰もが愛するPorscheという存在への現代的アプローチ。1台は、徹底的に攻め切ったスタンスカー。そして最後の1台は、クラシックを再解釈した異端作だ。まずはこの1台から見ていこう。
Select Cars’ Porsche 997 Turbo
Innominateブースでまず目を奪われたのが、このワイドボディ仕様のPorsche 997 Turboだった。金曜朝、会場入りした時点ではまだカバーが掛けられていて、何のクルマかまったく分からなかった。それどころか、公開される瞬間まで情報がほぼSNSに流れておらず、完全なサプライズ状態。今の時代では逆に新鮮で、その演出も含めて非常に印象的だった。
カバーが外れた瞬間、この997は一気にショー全体でもトップクラスに好きなクルマになった。まず目を引くのは、徹底的に作り込まれたエクステリアだ。現代版935 Flachbauを思わせるスラントノーズデザインをベースに、ワンオフボディワークを全面投入。ヘッドライト位置変更、専用リアバンパー、立体的なサイドベント、NACAダクト付きボンネットなどにより、997本来の姿を残しつつ、遥かに攻撃的で目的意識の強いシルエットへと進化している。
リアクォーターの純正ガラスはポリカーボネートへ変更され、そこからエアをエンジンへ直接導く構造になっている。
搭載されるエンジンは997純正のターボ付きフラット6。内部までは大きく手を入れていないが、吸排気を中心に厳選されたアップグレードが施されている。ブルークリア仕上げのカーボンFabspeed Competition Air Intake System、リビルトターボ、ステンレスエキゾースト、そして専用セッティングによって、そのポテンシャルを最大限引き出している。
インテリアはラグジュアリーとレーシングの絶妙な中間地点。ブラックアルカンターラを基調にブルーステッチを組み合わせ、随所にブルーアクセントが散りばめられている。シートはブルーカーボン仕様のRecaro Pole Position。ステアリングは718純正流用。さらにオーディオシステムまでフル統合されているが、正直このフラット6サウンドがあれば十分すぎるほど贅沢だ。
そして最大の話題となっていたのがホイール。Innominateは、スウェーデン人アルペンスキーレーサーJon OlssonとÖnder Akayによる新興ブランドで、この997には名称未定のプロトタイプ鍛造モノブロックホイールが装着されていた。サイズはフロント19×9.5J、リア19×13J。Dunlopタイヤとの組み合わせで、その異様な存在感をさらに強調していた。
続いて紹介するのは、完全に自分の好みに突き刺さった1台。Meguiar’sブースに展示されていた1992年式 Nissan 200SXだ。隣にはLamborghiniが2台並んでいたにも関わらず、視線をすべて持っていっていたのはこのRPS13だった。
その理由は明快。オーナーのEmily Bromanと恋人Michel Silvaが、このNissanを究極のスタンスカーへ仕上げるため、とことん作り込んだからだ。
Rocket Bunny V2フルキットを装着しているが、GTウイングだけは非装着。これはスウェーデンの法規制により、ボディラインより外へ突出するパーツが許可されないため。その代わりに装着されたカーボンダックテールが、結果的にはこのクルマの雰囲気に完璧にマッチしていた。
ホイールは超希少なManaray Motorsport M6。サイズはフロント18×12.5J、リア18×14Jという狂気のスペック。タイヤにはNankang AR-1セミスリックを組み合わせ、AIRMEXT製エアサスがその極低スタンスを支えている。
室内も完全フルカスタム。Bride Low Max、Braun製6点ハーネス、カーボンステアリングなどが並ぶが、最大の見どころはリアセクションだ。リアシートを撤去し、そこへワンオフのプッシュロッドサスペンションをレイアウト。この構造だけでも、このクルマが特別だった理由は十分理解できる。
だが本当の異端性はエンジンにある。純正CA18ETは完全撤去。そこへ搭載されているのは、なんとMazda製13Bロータリー。しかもREW系とRENESIS系を組み合わせたハイブリッド仕様だ。
今やエンジンスワップ自体は珍しくない。しかしMazda以外へロータリーを載せると、未だに独特の背徳感がある。それがまた最高にクールなのだ。
しかもその13Bには巨大GT45ターボを装着。吸排気系も徹底的に作り込まれており、エンジンルーム全体がほぼフルワンオフ状態。まだダイノには載せていないそうだが、スウェーデンの夏が来る頃には、恐ろしい数字を叩き出していそうだ。
Fagerströms Garage’s Volkswagen Karmann Ghia

そして最後を飾るのが、このVolkswagen Karmann Ghia。一見すると綺麗なオリジナル風クラシックカーだが、その実態は完全に別物だった。
他2台と違い、Ghia特有の美しい曲線そのものは維持されている。しかし実際には、ボディは150mm延長され、リアフェンダーは片側80mmワイド化されている。変化量としては大きいにも関わらず、違和感なく成立しているのが驚異的だ。
製作者であるFagerströms GarageのSven-Inge Fagerström曰く、こうした加工は一歩間違えるとオリジナルデザインを壊してしまう。しかし今回は逆に、より筋肉質で存在感のあるシルエットへ進化させることに成功したという。
シャシーは完全ワンオフ。フロントにはBMW E39、リアにはE90のサスペンションを移植している。通常Karmann Ghiaのエンジンはリア搭載だが、この個体のリアフードを開けると現れるのは普通のトランク。そう、エンジンはフロントへ移設されている。しかも載っているのは空冷VW水平対向などではない。なんとCamaro由来のChevrolet LS1 V8。完全に頭がおかしい。だが、それが最高だ。
インテリアはクラシックと現代の融合。Mustangシート、レトロデザインのデジタルメーター、加工純正ステアリングなど、どこを見てもセンスが抜群に良い。
Elmiaを歩いていると、今この瞬間もスウェーデン各地のガレージで、まだ世に出ていない狂気のプロジェクトが進行しているのだろうと想像してしまう。そして2026年のショーが証明したのは、スウェーデンのビルダーたちは今なお、ベテランエンスージアストすら驚かせるレベルで限界を押し広げ続けているということだ。
このペースでレベルが上がり続けるなら、2027年のElmia Custom Motor Showは、さらにとんでもないことになりそうだ。





















































































