SUPER FORMULA 第8戦 SUGOプレビュー
短い梅雨が明けてからというもの、酷暑が続く日本列島。全国各所で最高気温40度超えのニュースも、もはや珍しくないほど。ただ、今週末の東北地方は不安定な天候に見舞われ、天気の行方がはっきりしない。そんななか、8月9、10日には全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦が宮城・スポーツランドSUGOで開催される。シーズン中盤から終盤へと向かいレース数が少なくなるなか、シリーズタイトルを巡る戦いから目が離せそうにない!
久々に夏開催となったSUGO戦
コロナ禍での開催を除き、SUGOでの一戦はここしばらく6月中旬頃に行なわれてきたが、今年はもともと海外での一戦を計画していたこともあり、レースカレンダーが変更されてSUGO戦は8月へと”お引越し”になった。夏休み期間での一戦は、なんと2002年以来となる。例年と開催時期が異なれば、チームやドライバーが持つ経験値とどれくらい異なってくるのか、そのあたりも含めてレースの行方を見守る必要がありそうだ。
やはり一番気になるのは、レースウィーク中の天候。日本を代表するもうひとつのレース、SUPER GTが開催されるのは9月中旬が多く、天気次第ではまだまだ残暑厳しいコンディションになることも多い。また、逆に雨天になれば気温がぐっと下がり肌寒いほど。今回のレースはまだ8月上旬のため、天候が崩れても寒さを感じるまでには至らないだろうが、昨今の天候不順は予想を超えるものであり、まったく先が読めない。一日違うだけで気温が10度近く異なることも珍しくなく、とりわけエンジニアは事前の持ち込みセットに頭を悩ますのではないだろうか。ただでさえSUGOはエンジニアやドライバーにとって難コースであり、クルマのセットアップが重要視される場所として知られる。決勝中はオーバーテイクが難しいため、予選で好位置を確保してこそ決勝で十分なパフォーマンスを披露することができる。それだけに、予選がことのほか重要になってくる。このレースでは、コンマ1秒がとてつもない大きなギャップとして受け止められるだけに、当然のことながら、予選でもヒリヒリとしたタイム合戦が繰り広げられるに違いない。本来ならば、Q2の残り時間を逆算するかのようにコースインしてアタックラップへと向かうところだが、スーパーフォーミュラを実施する全国のサーキットのなかでもショートトラックの難コースであるがゆえ、ミスを誘発しやすく自身がアタックの最中に他車が飛び出してしまう可能性もある。しかるべきタイミングでコースインしてアタックラップを確保したいところだ。息をもつかせぬアタック合戦は、決勝とはまた違った魅力たっぷりのセッションになるはずだ。
タイトルの行方は?
先の富士戦は、土曜、日曜にそれぞれ1レースを実施。現在ランキングトップの坪井翔(No.1 VANTELIN TEAM TOM’S)が初日の第6戦、そして同2位の太田格之進(No.6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が第7戦で勝利した。坪井にとっては、シーズンをまたいで負け知らずだった富士で土がついた形だ。一方、富士戦を前に暫定トップだった牧野任祐(No.5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は大量得点を果たせず、ランキング3位へと後退。今回のSUGOが、自身初となるチャンピオン獲得実現に向けてのターニングポイントとなるのではないだろうか。
暫定トップの坪井を除き、現時点のランキングを見る限りホンダ勢が結果を残している。2022年に圧倒的な強さで王者となった野尻智紀(No.16 TEAM MUGEN)も、あと一歩で強さと速さががっちりと組み合わさった走りができそうなだけに、今回のSUGO戦は、終盤そしてシリーズチャンピオンの行方を占う試金石のような位置づけになると思われる。
同じシャシー、タイヤを使用し、その一方でSUPER GTでおなじみのサクセスウェイトも搭載しない。リアルガチ勝負のフォーミュラレースでは、クルマのセットアップとそれを引き出すドライバーのスキルが試されるレースでもある。チームとしての総合力でより高みを目指さなければ勝利に手が届かない。僅差のタイムで繰り広げられる決勝は51周の戦い。SUGOはミスを誘発しやすくドライビングに厳しいコースだけに、夏の厳しい暑さと相まってタフな戦いになりそうだ。サバイバルの要素が幅を利かせる大会で、最後に笑うのはいったいどのドライバーになるのか、楽しみは尽きない。