HI-POWERモード:イーサン・ロウのRB28DET搭載R34 GT-R 詳細ページ(27556) - イベント・レースレポート

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HI-POWERモード:イーサン・ロウのRB28DET搭載R34 GT-R




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記事提供元:NZ Performance Car
 

ニュージーランド屈指のGT-Rチューニングショップのオーナーともなれば、自分の愛車も店の看板に恥じない一台じゃなきゃ話にならない。その点、イーサン・ロウのGT-Rはというと──間違いなく「ハイパワーモード全開」でキマっている。
 

イーサン・ロウは、常に進化を続けるニュージーランドのチューニングシーンで長年腕を磨いてきた一人だ。大パワー仕様のGT-Rを数多く手がけ、その緻密な仕事ぶりで多くのファンを獲得している。かつては有名ショップでも腕を振るっていたが、仕事後のチューニング依頼があまりにも増えすぎたことで、自分だけの「ゴジラ級ニッチ」を切り拓くことを決意。それがHi-Power Performanceブランドの始まりだ。そして、その先は言わずもがな、すべては伝説となった。
 

イーサンは「Hi-Powerを始めたのは2016年の終わり頃で、自分でやりたいと思い、やりたいことが本当にたくさんあった。最初からGT-R専門にするつもりは全然なかったけど、気がつけばそうなっていた。でも今では、その流れを何にも変えたくないと思っている」と話した。
 

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少し時をさかのぼって、まだシンプルだった頃。イーサンの相棒といえば、マルーン色のR32スカイラインGT-Rだった。数々の巧みな仕掛けのおかげでとんでもないパワーを絞り出し、トラックデイではお決まりのモンスターとして高額なスーパーカーたちを何度も打ち負かしてきた存在だ。だが最近まで、そのR32はエンジンを降ろしたままHi-Powerのガレージ奥に眠っていた。イーサンが大事な顧客たちの「ストリートウェポン」作りに全力を注いでいたからだ。そんな中、白いR34スカイラインGT-Rのオーナーが、ストリートでも楽しめるサーキット仕様を作りたいとイーサンたちに依頼してきた。
「このR34は最初、ほとんど空っぽのボディで工場にやってきた」とイーサンは話す。「オーナーからはストリートでも走れて、なおかつサーキットも楽しめる仕様にしてほしいと頼まれました。だから必要なことは全部、好きにやってくれ!って感じだでした。」
 

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今回のビルドのポイントは、言うまでもなくストラットの間に詰め込まれたエンジン。イーサンはまず、ベースとなるN1 RB26ブロックを手配し、そこに世界最高峰のパーツを惜しみなく投入することにした。中でもHKSの2.8リッターストローカーキットをチョイスすることで、中速域のパンチと高回転域の官能的な吹け上がりを絶妙なバランスで両立。さらにヘッド周りはTomeiのProカタログをフル投入し、手作業で丁寧にポート研磨されたヘッドに、Tomei製のオーバーサイズバルブを組み合わせ、280度のハイリフトカムで大量の空気を効率的に取り込む仕様に仕上げている。
 

吸気側には、純正の有能なインレットを潔く外してPlazmaman製ビレットインレットプレナムを装着。スロットルボディもPlazmamanで統一し、すべての接続部にはPlazmaclampsを使用している。吸気は最終的にPlazmaman Proシリーズの600×300×100mmインタークーラーへと導かれる仕組みだ。さらに、カスタムのインタークーラーパイピングには、職人技でTurbosmart Gen-V Raceportブローオフバルブが溶接されており、トラップドアが閉じた瞬間に最大37psiものブーストを開放する。パンチがあってレスポンスも良く、なおかつ大パワーにも耐えられるターボを求めたイーサンが最終的に選んだのはPrecision製6466 デュアルボールベアリングターボだった。
 

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Hi-Power流のGT-Rビルドに欠かせないのが、信頼性を徹底的に高めたイグニッションと燃料系だ。十分な燃料を安定供給して火を入れるために、Frenchy’s Performance Garage製ビレット燃料ポンプクレードルにデュアルポンプをセットアップ。それをTurbosmart FPR1200燃圧レギュレーターを介して、最終的にFIC製1650ccインジェクターで霧化する流れになっている。
 

そして「火付け役」には、Platinum Racing ProductsのR35 GT-R用コイルキットをチョイスし、PRPのロワートリガーキットと、イーサン自ら開発したHi-Powerオリジナルのアッパートリガーキットを組み合わせている。
 

これだけの仕様となれば、心臓部を制御するのも当然一級品。制御はHaltech Elite 2500 ECUで統括され、最新のHaltech iC-7ダッシュボードを介して各種情報をモニターできるようになっているのもポイントだ。
 

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エンジンの組み上げと気の遠くなるような加工作業がすべて完了した後、その「狂気の塊」をしっかり形にしたのがNDT Developmentsのブライアン・イングハムだ。ブライアンのハブダイノに載せられたR34は、E85仕様&ブースト37psiで後輪出力650kW(872馬力)を叩き出した。しかも駆動系は純正の6速ゲトラグを通しての数値だから驚きだ。この組み合わせ、いったいどんな フィーリングなのか?イーサンはなんと、このR34をわざわざ秘密の場所でテスト走行を敢行。結果はお察しの通り──フルスロットルで踏み抜いた瞬間、心臓も内臓も骨までが時空を歪められたかのように純正シートにめり込む。想像以上の速さ、それがすべてだ。
 

ビルドが完成してから、オーナーはしっかりとこのクルマを堪能した。しかし、十分に楽しみ尽くした頃には「手放したい」という気持ちが芽生えたようだ。そしてその想いを最初に打ち明けた相手こそ、ゼロからこの1台を作り上げたイーサンだった。
 

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「R32 GT-Rは2014年9月からずっと持っていたが、去年ついに手放す決断をして、その資金でR34を買いました」とイーサンは話してくれた。
長年付き合ってきた相棒だけに、決断は簡単じゃなかったそうだが、R34はイーサンにとってもずっと憧れの1台だった。
「本当はこのR34にはシーケンシャルミッションと、もっと大きいタービンを載せる予定でした」とイーサンは明かす。「でもオーナーがやりすぎだということでストップがかかりました。まあ650kWもあれば十分と言えば十分でしたね。でも実は今、自身のGT-Rではまさにそれを進めてるところです。もっと大きいPrecisionターボにAlbins製のシーケンシャルギアボックスを組み合わせて、後輪1000馬力オーバーを狙っています。夢の1000hpストリートを形にしたいです。今の仕様でも十分速いけど、まだ僕をビビらせてはくれない。だからこそ、まだまだやる意味がある。」
イーサンがこの目標を達成するのも、もう数カ月のうちだろう。その時は俺たちが真っ先に列に並んで味わわせてもらうつもりだ。
 

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イーサン・ロウ
年齢:29歳
拠点:オークランド
職業:Hi-Power Performance代表
製作期間:1年
所有期間:1カ月
 

2000 Nissan Skyline GT-R (BNR34)
 
Heart(心臓部)
エンジン:Nissan RB28DET、2800cc 直6
ブロック:N1ブロック、HKS 2.8Lストローカーキット、ACLベアリング
ヘッド:Tomei Pro-Cam 280度カム、Tomeiバルブガイド、Tomeiオーバーサイズバルブ、Tomeiバルブスプリング、ポート研磨済み
吸気系:Plazmamanビレットインレットプレナム、カスタムICパイピング、Plazmaclamps、Plazmaman ProシリーズIC、K&Nエアフィルター
排気系:カスタムステンレス4インチターボバック、AdrenalinRマフラー
ターボ:Precision 6466、Hypertuneエキマニ
ウエストゲート:Turbosmart Hypergate 45mmツイン
ブローオフ:Turbosmart Gen-V Raceport
燃料系:Frenchy’s Performance Garage デュアルインタンク(ビレットトップハット付き)、Turbosmart Gen-V FPR1200、FIC 1650ccインジェクター×6、Plazmaman燃料レール
点火系:PRP R35コイルキット、GReddyレーシングプラグ
ECU:Haltech Elite 2500、PRPロワートリガー、Hi-Powerアッパートリガー、Haltechワイドバンド、Full Race 4WDコントローラー、Tein電子ダンパーコントローラー
冷却系:ARCラジエーター、GReddyオイルクーラー
その他:カスタムキャッチタンク、カスタムパワステボトル、カスタムオーバーフローボトル、カスタムファンシュラウド、カーボンクーリングパネル、クラッチブースター撤去
 
Driveline(駆動系)
ミッション:Getrag 6速マニュアル
クラッチ:OS技研 R3C
フライホイール:OS技研
デフ:NISMO 1.5WAY(前後)、ファイナル4.11
その他:The Driveshaft Shop カーボンドライブシャフト
 
Support(足まわり)
車高調:Tein Circuit Masters
ブレーキ:(F)Brembo Ferrari F40キャリパー+2ピースローター/(R)Lotus Eliseキャリパー
 
Shoes(足元)
ホイール:18×9.5インチ Nismo LMGT4 Omori 2017エディション
タイヤ:275/35R18 Nitto NT-01
 
Exterior(外装)
カラー:純正ホワイト
エアロ:Nismo Z-Tuneフロントバンパー、Z-Tuneドライカーボンボンネット、Nismoサイドスカートエクステンション、Nismoリアエンドキャップ
 
Interior(内装)
シート:純正
ステアリング:純正
メーター:Nismoメータークラスター
 
Performance(性能)
パワー:650kW(872馬力)
燃料:BP98
チューナー:NDT Developmentsのブライアン










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