第93回ル・マン、稀に見る接近を83号車フェラーリが制す! 詳細ページ(27449) - イベント・レースレポート

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第93回ル・マン、稀に見る接近を83号車フェラーリが制す!




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6月14〜15日、フランス西部に位置するサルト・コースおよび公道を仕様して行なわれたWEC_世界耐久選手権第4戦「第93回ル・マン24時間レース」の決勝が行なわれ、長く続いた大接戦の決戦を制したのは、83号車フェラーリ499P(ロバート・クビサ/イェ・イーフェイ/フィル・ハンソン)。終盤、トップ3をフェラーリが占めて接近戦を繰り広げたが、そのなかでミスなく自分たちのレースを突き進んだ83号車がタフな戦いの頂点に立っている。
 

レーススタート以降、今年のル・マンの決戦は薄曇りながら終始安定した天候に恵まれ、またレース自体も大きなアクシデントやハプニングもなく、各参戦車両が長きに渡ってしのぎを削る戦いを繰り広げた。
 

レースは19時間を過ぎ、51号車は残り時間4時間50分のタイミングでルーティンのピット作業を行なうため、本コースからピットロードへと向かうなか、レーン入口の縁石に乗ってしまいまさかのスピンを喫してしまう。なんとか態勢を保ち、ピットへクルマを戻すことはできたものの、これで大きくタイムロスし、同じフェラーリの83号車の先行を許してしまう。加えて、その背後からはポジション争い中の6号車ポルシェが迫り、僅差の戦いが続くことになった。
 

また、それから1時間後にはトヨタの8号車にまさかのトラブルが発生する。ちょうど26回目のピットピットを終えてコース復帰を果たすなか、ダンロップシケインあたりでタイヤのナットが破損外れ、タイヤがパンク。バランスを崩したクルマはスローダウンを強いられることに。ドライブしていた平川は、スローペースでほぼ1周したが、途中のユノディエール第2シケインあたりではついにタイヤが外れてしまう。なんとか3輪走行でピットへ帰還を果たしたもののガレージインを強いられ、18分ほどかけての修復作業が行なわれた。一時は表彰台獲得の可能性もあっただけに、悔しい後退となってしまった。
 

正午を過ぎ、トップを走るのは83号車フェラーリ。これに開幕戦から の3連勝で勝ち星を分け合ってきた同じフェラーリの50、51号車が続き、6号車ポルシェが4番手につける。一方、アクシデントで14番手まで後退してしまった8号車トヨタに代わり、僚友の7号車が6番手まで浮上。最後まで粘りの走りを続ける。
 

土曜日は曇り空先行の天候だったが、日曜日はチェッカーが近づくにつれ、日差しも照り青空が顔を見せる。そのなかでチェッカーまで2時間を迎えるなかで6号車ポルシェが51号車フェラーリを逆転。なんとかフェラーリの表彰台独占を阻止しようと意気込む。戦略的にもほぼ同じタイミングでのピットインはするものの、タイヤ交換のタイミングをずらすなどの”駆け引き”を見せ、揺さぶりをかけ続けた。
 

いよいよ各チームが最後のピットインを迎えるなか、83号車フェラーリは残り1時間半強の時点で給油とタイヤ交換を実施。逆に勝負をかける6号車ポルシェが給油のみでピットを離れると、6号車ポルシェの先行を阻止したい50号車フェラーリも給油のみに留め、猛追を開始したのだが…なんと復帰したアウトラップ中、コース上で態勢を崩すという痛恨のミスを犯した。その後、攻防戦を繰り広げる50号車フェラーリが最後のピットインを完遂。これで表彰台争いを続ける車両によるピットインが終了することとなり、83号車フェラーリをトップにおよそ11秒差で6号車ポルシェが続き、51号車フェラーリがおよそ8秒差、そしてミスで後退した50号車フェラーリが1秒を切る僅差で追随し、時折ポジションを入れ替えての攻防戦を披露した。
 

大詰めを迎えた決勝は、残り10分を切ってなお、51号車と50号車のフェラーリ同士による3位争いが続く一方、トップは83号車フェラーリが死守。出入りの激しい走りでミスが目立った”ライバル”のフェラーリに対し、安定感ある走りを完遂させた83号車が387周を走破してトップチェッカーを受けた。2位に続いた6号車ポルシェは、車両規定違反でクラス最後尾からの21位スタートだったが、持ち前の速さと勝負強さを武器にポジションアップを果たし、シーズン初となる表彰台を手に入れた。そして注目のフェラーリ同士による3位争いは、昨年のル・マンを制した51号車に軍配が上がっている。
一方、厳しい戦いのなかでも終始粘りのパフォーマンスを見せたトヨタ勢。8号車はタイヤのトラブルで後退し、16位チェッカーに甘んじたが、後方スタートの7号車は着実にポジションアップを果たすと、最後は6位でチェッカーを受けている。
 

このほか、LMP2は、レース後半からつねにクラス優勝争いを続ける43号車と48号車のレカ07・ギブソンの2台が、チェッカーまで残り30分を切ってもポジションを入れ替えての争いを展開。大終盤、クラストップを走行していた43号車はドライブスルーペナルティが課され、一時は48号車に先行されたが、再びトップを奪取。このまま逃げ切り勝利を果たすこととなった。
 

LMGT3ではレース折り返しを前にトップに立った92号車ポルシェが順調なレース運びを見せ、このまま終盤へ。これに、21号車フェラーリ、さらには81号車シボレー・コルベットによるトップ3が最後までポジションを変えることなく戦いを終えている。
 

安定したレースコンディションでの開催となった今年のル・マン。トップカテゴリーのハイパーカークラスでは、全21台のうち19台がチェッカーを受け、またトータルでも全62台のうち50台が24時間の戦いを走り終える結果となった。かつては、完走すれば好結果がついてくると言われたル・マンだが、近年は小さなミスでさえ優勝争いに大きな影響を与えるほどレースの精度が高まっている。なおフェラーリは車両こそ違えど、開幕戦から4連勝を達成。この先、シーズン中にどのライバルチームが真っ先に連勝を阻むのか。こちらも気になるところ。息詰まる攻防戦を24時間続けるなか、いかに安定した速さと強さを維持できるか。ますます緻密な戦い方が求められることになりそうだ。
 

◎ル・マン24時間レース最終結果(総合トップ3および各クラストップ)

<HYPERCAR>
1.No.83 フェラーリ499P(R.クビサ/Y.イーフェイ/P.ハンソン)387周
2.No.6 ポルシェ963(K.エストーレ/L.ファントール/M.キャンベル)+14.084
3.No.51 フェラーリ499P(A.ピエール・グイディ/J.カラド/A.ジョビナッツィ)+28.487
 

<LMP2>
1.No.43 オレカ07・ギブソン(J.スミエコウスキー/T.ディルマン/N.イェロリー)367周
 

<LMGT3>
1.No.92 ポルシェ911 GT3 R LMGT3(R.ハードウィック/R.ペーラ/R.リエツ)341周
 
(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 

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