第93回ル・マン、6時間を残してなおも接近戦を展開
6月14日、現地時間午後4時に長い戦いの幕が上がった第93回ル・マン24時間レース。曇り空ながら安定した天候が続き、またレース自体も大きなアクシデントやマシントラブルなども限りなく少ない展開になった。セーフティカーに限らずフルコースイエロー(FCY)も極力少ないレースとなり、各クラスともトップの独走を許すことなく接近戦が続いている。
レース折り返しを前に、決勝初となるセーフティカーがコースインした今年のル・マン。レーススピードでの戦いが再開するまで30分ほどの時間を要したことで、各車が12時間近く走るなかで築き上げたマージンがすべて水泡に帰すこととなった。逃げたい車両にとってはマージンではあるものの、ポジションアップを狙う後続車にとっては好機到来。とりわけ上位争いのなかから一気に表彰台が見えてきた8号車トヨタにとっては見せ場の多いレース後半の戦いになることを予感させた。
今年の戦いはアクシデントやトラブルが少なく、加えて上位争いの各車がライバルを牽制するかのようなピット戦略を展開。少しずつピットインやこれに合わせて行なうタイヤ交換のタイミングをずらすことで、より有利に立とうと奮闘した。そんななか、6号車ポルシェから再びトップを奪還したのが83号車フェラーリ。これに8号車トヨタが続き、その後方では51号車フェラーリが徐々にトップ2台との差を詰め始めた。
その後、スタートからまもなく15時間を迎えるなか、ピットインのタイミングによってポジションが交代。気温21度、路面温度16度のコンディションのなかでトップを走るのは、51号車フェラーリ。これにわずか2.3秒差で83号車フェラーリ、さらに8号車トヨタが続く。51号車はその後もトップを牽引、また83号車もピタリと続き、午前9時、チェッカーまで残り7時間となる時点で50号車フェラーリが3番手へと浮上。ついにフェラーリ勢がトップ3を独占してみせる。
レースは4分の3を消化し、いよいよ残るは6時間となってもフェラーリのトップ3は変わらず。ライバルメーカーではなく、終盤はフェラーリ同士による優勝争いが激化するのか否か。また、この時点で4位の6号車ポルシェを5位で追う8号車のトヨタに逆転のチャンスはあるのか。あと6時間とはいえ、まだまだ”なにか”が起こりそうなル・マンだ。
LMP2クラスは48号車と43号車がポジションを入れ替えながらトップ争いを展開。いずれもピットインのタイミングによるものだが、これに28号車が続き、残り10時間となってからはこの3台による”定位置”で周回を重ねている。一方、LMGT3クラスでは、”恒例の”ポルシェvsフェラーリによる戦いに。P2同様、残り10時間の時点で、92号車ポルシェ、21号車フェラーリ、そして81号車フェラーリがトップ3を形成しながらポジション争いを繰り広げている状態だ。
18時間が経過、チェッカーまで残り6時間となった時点の総合トップ3および各クラストップは以下のとおり。
◎ル・マン24時間レース途中結果(午前10時・18時間経過/総合トップ3および各クラストップ)気温22度、路面温度18度
<HYPERCAR>
1.No.51 フェラーリ499P(A.ピエール・グイディ/J.カラド/A.ジョビナッツィ)289周
2.No.83 フェラーリ499P(R.クビサ/Y.イーフェイ/P.ハンソン)+7.119
3.No.50 フェラーリ499P(A.フォコ/N.ニールセン/M.モリーナ)+37.036
<LMP2>
1.No.43 オレカ07・ギブソン(J.スミエコウスキー/T.ディルマン/N.イェロリー)274周
<LMGT3>
1.No.92 ポルシェ911 GT3 R LMGT3(R.ハードウィック/R.ペーラ/R.リエツ)255周
(TEXT : Motoko SHIMAMURA)