快晴のもてぎ、牧野がポール・トゥ・ウィンで第3戦を制す!
4月19日、栃木・モビリティリゾートもてぎで全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦の予選および決勝レースが行なわれた。朝から好天気に恵まれたこの日、予選ポールポジションからスタートを切ったNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が強い走りを見せて、トップチェッカーを受けた。
第3戦 予選
開幕大会となった鈴鹿では、第1戦、第2戦を実施した2025年のスーパーフォーミュラ。次なる舞台であるモビリティリゾートもてぎも続いて1大会2レース制での開催となる。19日は第3戦の予選、決勝が行なわれたが、これに先立ち前日の18日には公式練習のセッションが設けられ、ここでは午前のFP1でNo.38 阪口晴南 (SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、そして午後のFP2ではNo. 3 山下健太(KONDO RACING)がそれぞれトップタイムをマークしている。
明けた土曜日は朝から気温も高く、絶好のレース観戦日和。まず、午前9時20分から2組に分かれてのQ1が行なわれ、このセッションで各上位6台がQ2進出を目指してアタックに臨んだ。なお、今回、レギュラードライバーに代わってスポット参戦するのは2選手。No. 7 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)がWEC(世界耐久選手権)出場のため野中誠太が、そして怪我からの復帰が待たれるNo.19 オリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)の代役として、ルーキーの小林利徠斗がデビューを果たしている。
Q1・A組では、第2戦の覇者であるNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップ通過。これに0.093秒差でNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)が続き、スーパーフォーミュラで最多ポールポジション獲得者であるNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が3番手につけた。続くQ1・B組では、ルーキードライバーのNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)が躍進。キャリアドライバーを向こうに回し、堂々のトップタイムをマークした。これにNo.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、そしてフリー走行で好調だった山下が続いた。
午前9時55分、A、B両組から上位6台、計12台による7分間のQ2がスタート。ライバルたちがしばしピットで待機するなか、まっさきにコースへと向かったのが野尻。その後、各車がコースインし、アタックラップのタイミングを伺いながら、ポールポジションを目指してのアタックへと突入した。
チェッカーまで残り30秒、ここでトップに躍り出たのがオオムラ・フラガ。堂々たるアタックを披露する。しかし、その後、牧野がトップを奪取、さらに僚友のNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2番手タイムを刻み、このままセッションが終了。ドコモがフロントロウを独占する結果を残した。3番手となったオオムラ・フラガだが、太田との差はわずか1000分の4秒という大殊勲の活躍だった。一方、ディフェンディングチャンピオンの坪井はアタックラップでのミスが響いたか、12番手どまりとなっている。
【第3戦もてぎ 予選トップ3】
1.No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’31.172
2.No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’31.302
3.No.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)1’31.306
第3戦 決勝
午後2時50分からの決勝レース目前には、気温が30度まで上昇。路面温度も41度となり、タフな戦いが予想された。33周先のゴールを目指し、クリアスタートを切ったのは、ポールポジションの牧野。逆に、もうひとりのフロントロウである太田は加速が鈍り、3番手スタートのオオムラ・フラガが1コーナーで先手を取ることに成功する。一方、後方ではポジション取りの攻防戦によって、No.64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、No.39 大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)がコースアウトし、グラベルの餌食となってしまった。この事態を受けて、コースにはセーフティカーが導入され、レースをコントロール。3周終了後にリスタートを迎えた。上位陣によるポジションの変動こそなかったが、予選12番手と大きく出遅れた坪井が、スタート時の出遅れを取り戻し、その後も粘り強い走りを続けた。
レースはトップを走る牧野選手が10周を消化、ルーティンのピットインが可能となり、真っ先にタイヤ交換へと向かったのが2番手の太田だった。これに6台が続き、計7台がピットへ。翌11周終了時には6台がタイヤ交換を済ませ、コースに復帰したが、逆にトップの牧野はステイアウトを選択、その背後のオオムラ・フラガも同じ戦略を採った。
16周終了時にオオムラ・フラガがピットイン、すると牧野は17周を終えてピットへ。この時点で3番手にいたNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)も同じ周にタイヤ交換を行なった。牧野はコース復帰の際、ひと足先に作業を終えていた太田に先行を許したが、交換したばかりのタイヤが発動しはじめると太田との差を詰める。そして、22周目にはサイド・バイ・サイドの激しい攻防戦を展開し、逆転に成功。再びトップに座った。
レースは残り10周の時点で、牧野、太田に続き、オオムラ・フラガがルーキーながらもトップ2台と遜色のないペースで周回。太田のペースが伸びないなか、徐々に差を詰めて逆転の好機を伺う力走を見せた。その一方で、序盤はポイント圏外にいた坪井もハイペースで周回。着実にポジションアップを果たし、8番手まで浮上するなかでさらに攻めの走りで逆転を重ねていく。
そんななか、残る表彰台の一角を狙って4番手を走行していた岩佐のクルマにトラブルが発生。突然ペースダウンし、コース脇へとクルマを止めて戦列を去る。この時点で坪井は6番手を走行していたが、最後にタイヤ交換したメリットを最大限活かす走りで前方車両を逆転し、4番手へ。前方との差は8秒強と大きくさすがに逆転までは至らなかったものの、このまま4位をキープし、チェッカー。しっかりと得点を得ている。
トップ牧野はその後も安定感あふれる走りを披露。2番手の太田も3番手オオムラ・フラガを押さえ切り、チームによるワン・ツー・フィニッシュを達成した。牧野は通算4勝目を挙げたが、スーパーフォーミュラにおけるポール・トゥ・ウィンは初。また、オオムラ・フラガは今シーズンのルーキーとして一番乗りの表彰台に立つこととなった。
【第3戦もてぎ 決勝トップ3】
1.No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)55’54.595 33Laps
2.No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+1.116
3.No.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)+9.748