シーズン開幕! 初戦のウィナーは太田格之進!
3月8日、三重・鈴鹿サーキットにおいて2025年のシーズン開幕を彩る全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦の予選と決勝レースが行なわれた。まだまだ冬の寒さが残るなかでの一戦となったが、土曜日のこの日は、予選3番手から速さを見せたNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が優勝をさらっている。
昨シーズンの開幕戦からわずか4ヶ月。短いような長いようなインターバルを経て迎える今シーズンは、13チーム、全22台が参戦してタフな戦いに臨むことになる。なお、シーズンを通して1イベント2レース制を開催することも多くなったことを受け、金曜日に1時間の占有走行を2回実施。セットアップがより進められるのではないかと思われる。
その占有走行。午前のセッションで今シーズンから日本でのレース活動を始めたNo.19 オリバー・ラスムッセン(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)がデグナーカーブで痛恨のクラッシュ。大事をとって今大会を欠場することになり、代役を野中誠太が務めることがアナウンスされた。一方、午後のセッションでは、序盤早々、午前にトップタイムを刻んでいたNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)にトラブルが発生。クルマを止め、不安要素を残した。冷たく強い追い風がメインストレートに吹き続ける1日となったが、ラストアタックで最速タイム1分35秒972をマークしたのは、No.64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)だった。
迎えた土曜日は日差しもなく、気温も依然として低く寒い一日となったが、風はほぼなく前日とは異なるコンディションでの戦いを強いられた。午前10時、いよいよ公式予選がスタート。A組にはルーキー4台を含む11台が出走。3年ぶりに日本でのレース活動を復帰させたNo.37 サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOMʼS)がアタック中に痛恨のハーフスピン。タイムを刻めず、最下位に甘んじる。そんななか、ルーキーのひとりNo.65 イゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING)がA組トップタイムのNo.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)に続いて2番手タイムをマーク、早速アピールしてみせた。続くB組にはディフェンディングチャンピオン、現役選手として最多勝などの”強者”も含む11台が出走するなか、安定感ある野尻がトップタイムを刻むと、これに太田、そして前日から速さを見せている佐藤が続いた。
午前10時25分、A、B組から上位6台、全12台によるQ2がスタート。路気温がいまだ低いこともあり、ほとんどの選手が早々にコースインし、タイヤに熱を入れてアタックのタイミングに備えた。10分間のセッションでは、チェッカーが出される直前にNo.1 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOMʼS)がラストアタックに向かうというベストタイミングで臨んだが、実際にはタイムを伸ばせず9番手どまり。変わってトップタイムをマークしたのは、野尻。1分36秒505のタイムで自身20回目のポールポジションを手にしている。なお、2番手に続いた岩佐との差はわずか0.022秒というものだった。3番手は太田となり、ホンダエンジンユーザーがトップ3を独占する結果となった。
【第1戦鈴鹿 予選トップ3】
1.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’36.505
2.No.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)1’36.527
3.No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’36.632
決勝レース
待望の初戦レースは、午後2時45分に号砲。スタート直前に実施された15分間のレコノサンス・ラップ中、ルーキーで予選8番手の好位置につけていたフラガがコースアウト。決勝はピットスタートに甘んじることになった。
ポールポジションスタートの野尻は、蹴り出しで遅れ、隣の岩佐に先行を許してしまう。一方、後方のNo.12 三宅淳詞(ThreeBond Racing)は、デグナーひとつ目でハイスピードクラッシュ。幸い、怪我は免れたが、自身の地元での初戦を戦わずにして終えることになってしまった。レースはこの事態を受けて、セーフティカーが導入され、4周終わりにリスタート。岩佐、野尻に続き、太田、No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、さらに佐藤が続く。波乱含みで幕を開けたレースだったが、その後も8周目のS字で2台が接触。うち、No.28 小高一斗(KDDI TGMGP TGR-DC)が戦列を離れた。
そんななかで迎えた10周目。ピットインが可能となった時点で、なんと全車がこぞってピットへ。2台体制のチームでは自ずとピット作業がずれ込み、タイムロスに甘んじることに。とくに牧野は痛恨のエンジンストールでスタートが大幅に遅れる事態となり、大きくポジションを落としてしまった。
各車が慌ただしく作業を終えてコースに復帰。岩佐はトップの座を死守したが、逆に2番手につけていた野尻は8番手へとドロップ。変わって太田が2番手に浮上してSC明けのリスタートでの逆転を狙って岩佐を猛追する。この太田の戦略は見事ハマり、リスタート後にOTS(オーバーテイクシステム)が使えない状況の岩佐に対し、OTSを使って1コーナーのアウト側からダイナミックにアプローチした太田は、鮮やかな逆転劇をしてみせる。そんななか、ほぼ同じタイミングのシケインでは後方車2台が絡むアクシデントが発生しており、レースは3度目のセーフティカー導入に。
終始落ち着きのない展開のまま、終盤へと突入した初戦。トップをもぎ取った太田の力走に対し、岩佐も最後の最後まで粘りのアプローチを見せたが、逆転のチャンスは訪れず。結果、太田が逃げ切りのトップチェッカーを受けて2025年シーズンの初戦を制した。
岩佐はまたしても悔しい2位どまり。3位には、2回目のSCを味方にディフェンディングチャンピオンの坪井との好バトルを制し、ポジションアップを果たした佐藤が続き、22年の第9戦以来、チーム移籍後初の表彰台を手にしている。
【第1戦鈴鹿 決勝トップ3】
1.No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)59’16.061 27周
2.No.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)+0.197
3.No.64 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)+3.411