スーパー耐久ファイナル富士、中升 ROOKIE AMG GT3が優勝&ST-Xクラス王者に
11月16、17日、静岡県の富士スピードウェイでENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE第7戦「S耐ファイナル富士」が開催された。秋深まる晴天のなか4時間レースが行なわれ、予選3番手スタートだったNo.1 中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/ジュリアーノ・アレジ/蒲生尚弥/片岡龍也)が総合優勝を果たした。
いよいよ最終戦を迎えた今シーズンのスーパー耐久シリーズ。シーズン中はクラスによって”お休み”の大会もあったが、最終戦は全9クラス、計65台が参戦する賑いとなった。
予選
土曜日は薄曇りのなかで予選が始まる。いつもどおり、A、B各ドライバーがそれぞれの組でタイムアタックを実施。この合算タイムでスターティンググリッドが決定した。
トップクラスのST-Xでは、No.33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(リー・ジェフリー/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/オジェイダ・ジェイデン)がトップタイムをマーク。レギュラードライバーのひとりである太田格之進がアメリカIMSAのテストに出向いており、デ・オリベイラが”助っ人”として参戦。担当したBドライバーの予選ではあっさりとトップタイムをマークするという職人技を披露した。33号車は現在ランキング2位につけており、今大会で優勝すれば逆転チャンピオンも可能なだけに、幸先の良いスタートを切ったといえる。続く、クラス2番手タイムをマークしたのがNo.81 DAISHIN GT-R GT3(今田信宏/藤波清斗/坂口夏月)、3番手が1号車だった。続く、ST-Zクラスでは、No.26 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(大塚隆一郎/富田竜一郎/篠原拓朗/荒聖治)がクラスポールを獲得。なお、同クラスは前回の岡山大会ですでにNo.52 埼玉 GB GR Supra GT4(山﨑学/吉田広樹/服部尚貴/荒川麟)が王者を獲得済みとなっているが、ランキング2位以下で激しい順位争いが残っているだけに、26号車としては最前列の好位置を手にしたといえる。
ST-TCRクラスにおいてはNo.98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC(KIZUNA/リ・ジョンウ/山本聖渚)がクラスポールを獲得し、”シスターカー”のNo.97 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC(遠藤光博/中野信治/T.フォンシンナチャチュン/辻本始温)がこれに続いた。8台が参戦するST-QクラスはNo.92 GR Supra Racing Concept(加藤恵三/山下健太/河野駿佑/松井孝允)がダントツの速さで総合7番手からスタートを切ることになった。
ST-1は、これまでどおり1台の参戦のため、No.2 シンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹)が、総合順位でも6番手という好走を披露した。ST-2クラスはNo.6 新菱オートDXL夢住まい館EVO10(冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄)が前回に続きクラスポールタイムをマークしている。続く、ST-3クラスでは、前回の岡山同様、No.15 岡部自動車Z34(前島秀司/長島正明/銘苅翼/元嶋成弥)が最速タイムをマーク、またST-4クラスはNo.41 エアバスターWINMAX GR86 EXEDY(石井宏尚/冨林勇佑/尾崎俊介)が、そして15台が参戦したST−5クラスでは、No.88 村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/岡本大地/有岡綾平/吉田綜一郎)が岡山戦に続き、クラスポールから決勝を迎えることとなった。
<予選結果・各クラストップ・A、Bドライバー合算タイム>
【ST-X】No.33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3 3’20.034
【ST-Z】No.26 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4 3’34.213
【ST-TCR】No.98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC 3’37.071
【ST-Q】No.92 GR Supra Racing Concept 3’32.721
【ST-1】No.2 シンティアム アップル KTM 3’27.944
【ST-2】No.6 新菱オートDXL夢住まい館EVO10 3’41.303
【ST-3】No.15 岡部自動車Z34 3’43.524
【ST-4】No.41 エアバスターWINMAX GR86 EXEDY 3’52.388
【ST-5】No.88 村上モータースMAZDAロードスター 4’05.647
決勝 波乱多い展開のなか、中升 ROOKIE AMG GT3が逆転チャンピオン達成
シリーズ最終戦となるこの大会には2日間で、延べ3万2200人が来場。各クラスのシリーズチャンピオンをかけた戦いとあり、大いに盛り上がったが、レース自体はFCY(フルコースイエロー)、SC(セーフティカー)が導入されるだけにとどまらず、赤旗中断も含む大荒れの4時間レースとなった。
シリーズ最終戦となるこの大会には2日間で、延べ3万2200人が来場。各クラスのシリーズチャンピオンをかけた戦いとあり、大いに盛り上がったが、レース自体はFCY(フルコースイエロー)、SC(セーフティカー)が導入されるだけにとどまらず、赤旗中断も含む大荒れの4時間レースとなった。
全9クラスのうち、クラスチャンピオンが確定しているのは、ST-Zのみ。他のクラスはこの一戦で王者が決まるとあり、レースは序盤から白熱の展開に。早速、僅差での攻防戦となり、スタートからまだ30分も経たないうちに車両クラッシュによるFCY、さらにSC導入と慌ただしい状況となった。今回はレースレギュレーションにより、4時間中に3回のピットインが義務付けられていたため、このイレギュラーな事態の発生を受けて、ピットインを消化しようと動くチームが多く見られた。ところが、加えて、クラッシュを原因とするガードレールの修復が必要だと判明し、赤旗中断となった。
レースはこの時点でまだ3時間17分を残している状態。だが、コース上でクルマは周回していないものの、4時間レースの”時計”は動いており、残り時間は減るばかり。これを受け、今大会のルールが改定されるなど、まったく持って落ち着かない事態となり、各チームとも戦略の仕切り直しが求められた。最終的に赤旗でレースが中断していたのはおよそ1時間強。結果、残り時間2時間10分でのレースがSC先導の形で再び始まった。
大きく水を差された形でリスタートすると、ほどなくしてシリーズランキングトップのNo.23 TKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴)が暫定トップに立ち、チャンピオンに一歩近づく。しかし、残り時間1時間30分強の時点で、2回目となるFCY導入が行なわれると、これを味方にした1号車がFCY解除となった時点で総合トップへと躍り出る。
ところがコース上では、また波乱が。再開後ほどなくして、ダンロップコーナーで1台がクラッシュ。結果として3回目のFCY導入となる。さらに、このクラッシュもガードレール修復の必要があるほどの大きなアクシデントとわかり、またしても赤旗中断を招いてしまった。
赤旗が2度提示された展開で、ルーティンのピットイン等の消化/未消化等、チームによっても事態が異なるため、最終的にはピットインの義務回数が3回から2回へと変更されるなど、不確定要素に大きく左右されることになるなか、レースは残りわずか26分にして再開。もはやこの時点でスプリントレースのようなリスタートを迎えたが、さらに残り時間11分の時点で4回目のFCYが導入されてしまう。
もはや4時間のレース終了が目前となるなか、残り5分でリスタート。このまま各車チェッカーを受けるかに思われたが、あろうことか、ST-Xのランキングトップである23号車は規定ドライバーの乗車がクリアされておらず、まさかのピットインという事態に。この時点で2位を走っていた23号車はこのままチェッカーを受ければ、シリーズチャンピオンが確定したにも関わらず、今回のレース展開に翻弄される形でタイトル獲得も果たせず。悔しすぎる幕切れを迎えた。
この不測の事態から、大金星が転がり込むこととなったのが1号車。荒れに荒れたレースでトップチェッカーをくぐり、またポイント加算の結果、シリーズチャンピオンの座をもゲット。これにより、シリーズ2連覇を達成する偉業を果たすこととなった。
ST-Zクラスは、序盤から中盤、さらに終盤まで日産Z勢が上位を占めるなかでレースがすすんでいたが、大終盤の4回目のFCY導入で事態が一変。この直前にピットインしたNo.59 2W Yamaguchi GR Supra GT4 EVO(チアラバノン・カチョーン/卜部和久/立川祐路)がトップとなり、トップチェッカー。クラス8位スタートからうれしいクラス初優勝を遂げている。
ホンダ・シビック・タイプR TCRのチームメイト同士によるバトルとなったST-TCR。予選でもポールポジション争いを展開したが、決勝もその勢いのまま攻防戦となったが、最終戦はNo.98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICがクラスのポール・トゥ・ウィンを達成するとともにクラスタイトルも獲得している。また、1台参戦のST-1クラスでは、2号車が途中ペースを落とす状況になったが、無事フィニッシュしている。ST-Qクラスは、No.92 GR Supra Racing Conceptが完勝。総合でも7位でチェッカーを受けた。
ST-2クラスは、No.6 新菱オートDXL夢住まい館EVO10に代わり、シビック勢による攻防戦が続くなか、クラス予選5番手のNo.95 SPOON リジカラ CIVICが競り切りシーズン初勝利を達成した。一方、シリーズチャンピオンは、予選4位スタート、決勝6位チェッカーのNo.225 KTMS GR YARISが手にしている。ST-3クラスはNo.15 岡部自動車Z34がクラスにおけるポール・トゥ・ウィンを達成。また、2位チェッカーを受けたNo.39 エアバスター WINMAX RC350 TWSがクラスタイトルを獲得した。そしてST-4クラスでは、タイトル争いをかけての死闘を展開。レースは、予選クラス6位からスタートしたNo.884 シェイドレーシング GR86が制したが、クラスポールからタイトル獲得を目指したNo.41 エアバスターWINMAX GR86 EXEDYは、大終盤に4回目のFCY導入の原因となるマシントラブルを起こすこととなり、”万事休す”。これにより、2位チェッカーを受けたNo.3 ENDLESS GR86が年間チャンピオンに輝いた。そしてST-5クラスは、クラス6番手からスターとしたNo.17 DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2が序盤からトップ争いを展開。波乱の展開にも屈せずトップでチェッカーを受けた。第6戦終了時までクラストップだったNo.88 村上モータースMAZDAロードスターはクラスポールからのスタートだったが、5位フィニッシュ。これにより、17号車が逆転チャンピオンを手にすることになった。
2025年のスーパー耐久シリーズは、モビリティリゾートもてぎにおいて3月22、23日での開催が予定されている。
決勝結果
【ST-X】No.1 中升 ROOKIE AMG GT3 4:01’10.714 56周
【ST-Z】No.59 2W Yamaguchi GR Supra GT4 EVO 55周
【ST-TCR】No.98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC 53周
【ST-Q】No.92 GR Supra Racing Concept 55周
【ST-1】No.2 シンティアム アップル KTM 53周
【ST-2】No.95 SPOON リジカラ CIVIC 53周
【ST-3】No.15 岡部自動車Z34 52周
【ST-4】No.884 シェイドレーシング GR86 50周
【ST-5】No.17 DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2 48周
各シリーズチャンピオン ST-Qは賞典外
【ST-X】No.1 中升 ROOKIE AMG GT3
【ST-Z】No.52 埼玉 GB GR Supra GT4
【ST-TCR】No.98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC
【ST-1】No.2 シンティアム アップル KTM
【ST-2】No.225 KTMS GR YARIS
【ST-3】No.39 エアバスター WINMAX RC350 TWS
【ST-4】No.3 ENDLESS GR86
【ST-5】No.17 DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2