シーズン2度目のワンデーレース、初日は太田格之進がシーズン初勝利!
11月9日、三重・鈴鹿サーキットにおいて2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権第8戦の予選、決勝レースが行なわれた。前回、静岡・富士スピードウェイでの第6&7戦に続くワンデーレースとなり、土曜日の第8戦では、ポールポジションからスタートを切ったNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が他を寄せ付けない走りで完勝。待望の今シーズン初優勝を果たした。
第8戦 予選
いよいよタイトルをかけて最終大会を迎えたスーパーフォーミュラ。一気に秋が深まるなか、初日は好天気に恵まれた。なお、このイベント直前、フォーミュラニッポン、そしてスーパーフォーミュラにおいて3度のタイトルを手にしたベテランの山本尚貴選手(64号車・PONOS NAKAJIMA RACING)がフォーミュラレースからの引退を”電撃発表”。専有走行が行なわれた金曜日にはトップタイムを叩き出すなど、トップドライバーとしての存在をアピールしたが、走行後には第一線から退く”決意表明”としての記者会見が行なわれた。
なお、専有走行で山本に続いて好タイムをマークしたのは、No.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、そしてNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。なかでも牧野はシリーズランキング2番手でタイトルを狙う立場だけに、この勢いに乗りたいところだっただろう。
だが、翌日の予選が終わってみると、トップ3を占めたのはいずれもタイトル争いからは”漏れた”選手。Q1・B組2位通過からQ2で2位に0.241秒もの差をつけた太田がトップフォーミュラ初のポールポジションを掴み取った。2番手には、Q1・A組トップだった岩佐。これに、Q1・B組3番手通過のNo.65 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)がシーズンベストの位置で続いた。
なお、予選ではQ1・B組でチェッカー目前に赤旗が出るアクシデントが発生。タイムアップ中ンのNo.50 木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)がNIPPOコーナーで痛恨のスピン、コースオフを喫してセッションを止めてしまう。3分間での仕切り直しとなったものの一旦水を挿された形となり、あらためてのアタックでタイムアップを果たせなかったドライバーも。ランキングトップのNo.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)はトップ通過を果たしたが、ランキング3位のNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)はさにあらず。6位とは100分の4秒差で7位に甘んじ、総合結果では14位となり、逆転タイトルが遠のくこととなった。一方、ランキング2位の牧野は4番手、同トップはその後方、5位に。決勝では、まずこの二台が緊迫の攻防戦を見せるか、注目が集まった。
第8戦鈴鹿 予選トップ3
1.No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1’36.094
2.No.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)1’36.335
3.No.65 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)1’36.472
第8戦 決勝
午後2時30分、気温24度、路面温度32度のコンディション下で31周にわたる戦いがスタート。ポールポジションの太田がクリアスタートを決めたが、その隣の岩佐はまさかのエンジンストール。最後尾まで一気に後退する。また、17番手スタートのNo.12 三宅淳詞(ThreeBond Racing)もマシントラブルに見舞われ、ピットロード出口へと力なくクルマを止めてしまう。労せずして3番手に浮上した牧野は、早速に前方の佐藤を猛追。しかし、ペースの良い佐藤はこれをシャットアウト。この間に、トップの太田は逃げるようにマージンを築いていった。一方、14番手スタートに甘んじた野尻は、さっそくにオーバーテイクシステムを多用してポジションアップ。6周終了時には入賞圏内の9番手まで浮上する。
レースはタイヤ交換が可能となる10周目を終えて、3番手を走る牧野がピットイン。アンダーカットを狙う。これに続くように4台もピットへ向かったが、うち1台が野尻だった。すると、その翌周には2番手を走る佐藤、さらに牧野を追っていた坪井ら5台がピットイン。作業を速やかに終えてコース復帰を果たした佐藤だったが、ピットロード走行中に左リヤタイヤが正しく装着されなかったか、外れるハプニングが発生。コース復帰を前にクルマを止めることになった。そんななか、コース上では坪井がすでに牧野を逆転。オーバーカットを決めて、事実上2番手で周回を重ねていく。
18周目、ピットインのタイミングを遅らせていた2台がピットへ。うち、No.19 平良響(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)はコースを離れた途端、右リヤタイヤが外れるトラブルが発生。そのタイヤがピットロードから1コーナー、さらには2コーナーまで転がったため、レースはここでセーフティカーが導入された。
これまで後続を引き離し、大差をつけていた事実上トップの太田だったが、このSC導入で、築いたマージンが消滅。22周終わりのレース再開時には、マシンを大きく左右に振りながら後続車両を牽制するように走りつつ、トップを死守して1コーナーへと向かう。再開後のバトルが熱を帯びるなか、2周後のスプーンカーブでは2台の車両が接触。うち1台がバックストレート上で停止したことを受け、またしてもSC導入に。3周にわたってレースがコントロールされ、29周終わりでレースがリスタートした。
逃げる太田に追う坪井。この2台の態勢は変わらず、少し遅れるようにして牧野が3番手で後を追う。一方、チャンピオン争いを諦めていない野尻は、すでにOTS(オーバーテイクシステム)を使い切ってはいたが、気迫ある走りで前方の#8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)を30周目の130Rで仕留め、5番手へ。しかし、やはり表彰台は遠く、このままチェッカー。太田は最終周にファステストラップをを叩き出す圧巻のパフォーマンスを見せつけ、今シーズン待望の初勝利を達成した。2位には坪井が続き、タイトル争いをする3選手のなかでもっとも多くの得点を計上。タイトルにしっかりと王手をかける結果となった。3位の牧野は、坪井との差が18.5点とさらに広がってしまったが、最終戦は完全勝利をかけて戦うことになる。一方、野尻はこのレース結果をもって、タイトル争いの権利を喪失。しかしながら、このレースの予選でQ1突破を果たせなかった悔しさをぶつけ、翌日はJAFグランプリのタイトルがかかったシーズン最後の一戦で、一矢を報いたいところだ。
第8戦鈴鹿 決勝トップ3
1.No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)1:00’08.862 31周
2.No.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)+4.560
3.No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+5.508