SUPER FORMULA 第8&9戦鈴鹿サーキットプレビュー
前戦に続く2連戦は王座決定戦に!
前回の戦いからおよそ1ヶ月。ついにシーズン最後の決戦が近づく全日本スーパーフォーミュラ選手権。今回もレースウィーク中に2レースを行なう短期決戦で実施される。一気に秋めくなか、鈴鹿サーキットでは果たしてどのような攻防戦を繰り広げるのか。”勝つしかない”バトルをしかと見守ってほしい。
チャンピオン争いは3選手に絞られる
タイトル決定が刻一刻と迫る今シーズンのSUPER FORMULA。各ドライバーが過ごした今シーズンの集大成を発揮する場でもある最終大会は、2024年のシリーズチャンピオンが確定するレースでもある。前回の第7戦を終えて、チャンピオン獲得の権利を持つのはランキングトップ3の坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)そして、No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)の3選手となる。ただ、坪井は前回の富士大会で2連勝し、シーズン合計3勝を挙げている。牧野、野尻のふたりも2勝をマークしているが、坪井と2位牧野との点差は14.5点と正直小さくはない。3選手はほぼ全レースでポイントを獲得してはいるが、これまでのレース結果の”積み重ね”、そして2勝目と3勝目の差が決定打となって、ランキングに反映しているといえるだろう。
3選手のうち、チャンピオン経験者は野尻のみ。かつて海外からの若手選手と厳しいタイトル争いを展開するなかで2連覇を遂げている。ヒリヒリするようなプレッシャーを跳ね除ける勝負強さを都度見せてきた。今シーズンは、トップ坪井と16.5点差でランキング3位からの逆転劇を狙うことになるが、ある意味、”失うものは何一つない”状態で戦いに臨めるぶん、誰よりも平常心で鈴鹿の戦いを迎えているかもしれない。一方、追う側の牧野。今年、第2戦オートポリスで涙の初優勝を遂げ、以来、予選、そして決勝で速さを見せている。あと一歩安定感が増せば、鈴鹿でも強さを披露できることだろう。そして、一番タイトルに近い場所でレースを迎えるのは、坪井。1週間前のSUPER GT第8戦もてぎでは、ランキングトップかつサクセスウェイトと1リスダウンという条件のなか、圧倒的な速さで勝利。その勢いと”運の良さ”を鈴鹿に持ち込んでくるのは言うまでもない。先の富士で2連勝したものの、今年の開幕戦となった鈴鹿では、トップ3入りどころか、予選10位から決勝11位でノーポイントに終わっているだけに、そのリベンジを兼ねたパフォーマンスを! と本人も思うところのでは。牧野、野尻を相手に決して守りの戦いにはならないはずだ。
最終大会も2レース開催
前回の富士に続き、鈴鹿も土曜と日曜それぞれに予選と決勝を実施するワンデーレースの戦いとなる。朝の予選でクルマをセットアップし、午後の決勝に向けて調整を加え、しっかりと走り切ることの難しさは前回経験済み。季節が進み、気温や路面温度が下がり、タイヤのウォームアップ等のマネージメントも問われるだろうが、そこはチームの総合力でしっかりとカバーし、戦いたい。
トップ3選手のチャンピオン争いに限らず、今シーズンのベストリザルトを目指す他の選手の奮闘にも注目したい。なかでも、レース開催1週間を切って明らかにされた、山本尚貴選手のSF引退宣言。現在、ランキング7番手につけるベテランは、ラスト2レースでは熱い走りをすることで、表彰台を虎視眈々と狙っているはず。開幕戦鈴鹿で見せた涙の3位表彰台を超える結果にも期待が集まる。
イベントも盛り沢山
最終戦となる第9戦は、「第23回JAFグランプリ」タイトルがかかった一戦に。シーズンエンドの戦いとなるだけに、誰もが渾身の走りを披露してくれるだろうが、その一方で、サーキットで行なわれるイベントもかなりの充実ぶりだ。
目玉といえるのは、「A2RL(Abu Dhabi Autonomous Racing League)」のデモンストレーションレース。この「A2RL」は、SUPER FORMULAでも採用するダラーラ社製のシャシー「SF23」と、横浜ゴム製のカーボンニュートラルタイヤという同じツールを使用した世界最高峰の自律走行レースだが、この車両が鈴鹿サーキットでのデモランを行なう。レースウィーク中は、2台の「AI対 AI」の自律走行はじめ、「AI対HUMAN」のセッションも予定されている。なお、”HUMAN”のドライバーを務めるのは、元F1ドライバーのダニール・クビアト選手。それだけでも大きな話題を集めている。
さらに、最終戦の決勝直前、スタートセレモニーでは、EXILEのTAKAHIRO氏が国歌独唱を務める。緊張感高まるなか、サーキットに響き渡る歌声に耳を傾けてほしい。
このほか、シーズンエンドセレモニーとして、表彰式終了後には全選手が表彰台に登場。JRP近藤真彦会長はじめシリーズチャンピオンに輝いた選手による挨拶なども行なわれる。現地観戦の場合、このセレモニーを間近で見ることも可能だという。充実のレースウィークになりそうだ。
主なタイムスケジュール
11月8日(金)
14:25-15:55 フリー走行
11月9日(土)
09:05 – 09:15 第8戦 予選Q1・A組
09:20 – 09:30 第8戦 予選Q1・B組
09:40 – 09:47 予選Q2
10:55 – 11:40 ピットウォーク
14:30 – 第8戦 決勝レース 31周/最大75分
11月10日(日)
09:15 – 09:25 第9戦 予選Q1・A組
09:30 – 09:40 第9戦 予選Q1・B組
09:50 – 09:57 予選Q2
11:05 – 11:50 ピットウォーク
14:30 – 第9戦 決勝レース 31周/最大75分