連戦のSF、第7戦も坪井翔が勝利!
10月13日、静岡・富士スピードウェイで2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦が行われた。前日からの連戦での開催となるなか、ポールポジションからスタートを切ったNo.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)がポール・トゥ・フィニッシュを達成。前日に続く連勝を果たしている。
第6戦 予選
第6戦が行われた土曜日に続き、第7戦開催の日曜日も絶好の秋晴れに恵まれた富士スピードウェイ。午前9時からの予選は、気温22度、路面温度26度のコンディション下でスタートした。
Q1・A組には前日にポールポジションと予選2位を獲得したNo. 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)、No. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、さらにはレースを制したNo.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が出走する。チェッカー寸前、まず坪井がトップタイムをマーク。各車ベストラップをマークするなか、さらにタイムアップを狙ってもう1周アタックに向かうも坪井のタイムを上回れず。坪井を先頭に、No.65 佐藤 蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、No.15 岩佐歩夢(TEAM MUGEN)がトップ3でQ1を通過したが、一方、福住は5番手にとどまり、また太田はタイムを伸ばせずまさかのQ1敗退を強いられた。
続くQ1・B組には、昨日の決勝で表彰台を逃したNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)や、逆に5年ぶりの表彰台に立ったNo. 7 小林可夢偉(Kids com Team KCMG)らが出走。チェッカーを前にしてNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がQ1・A組のトップタイムを上回ってB組トップタイムをマーク。これに1000分の2秒差で野尻、さらに3番手にはNo.64 山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)が続き、小林は5番手通過となった。
Q1を通過した全12台によるQ2は7分間のセッション。タイトル争いをするドライバーたちはポールポジションに与えられる3ポイントを目指してアタックに挑むこととなる。チェッカーまで残り30秒を切るなか、まずターゲットタイムを刻んだのが、小林。が、チームメイトの福住がこれを上回り、1分22秒218でトップを奪取。続々と各車チェッカーを受けるなか、野尻が1分22秒152で改めてトップに立った。しかし、最後にアタックラップを決めたのは坪井。1分21秒880の好タイムでポールポジションを獲得。2番手に甘んじた野尻との差は0.272秒という大きなものだった。今シーズン初のポールポジション獲得となった坪井は3ポイントを計上し、この時点でランキングでも野尻をついに逆転。決勝では、前日に続く連勝を目指すことになる。
第7戦富士 予選トップ3
1.No.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)1’21.880
2.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)1’22.152
3.No. 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)1’22.218
第6戦 決勝
午後に入っても絶好のレース観戦日和に恵まれた富士。決勝前には薄曇りになったものの、気温25度、路面温度35度のコンディション下で午後2時50分にフォーメーションラップが始まり、41周の戦いが幕を開けた。
好スタートを切ったのは、ポールポジションの坪井。一方、予選2位の野尻は坪井との攻防戦に執着するあまり、その隙をついた予選4番手の牧野の先行を許してしまう。坪井、牧野、そして野尻のオーダーでオープニングラップを終えると、2周目には勢いづく牧野がトップ坪井に大接近するシーンが見られた。ところが、その後方では2周目のダンロップコーナーで複数による接触事故が発生。セーフティカーが導入された。レースは6周目終了時に再開。リスタート前にぐっとペースを落とし、後続車を巧みに操る坪井は難なくトップのままレースを再開。牧野がこれに続いたが、逆に野尻は後続の福住、さらには佐藤にも先行を許すことになり、その後も精彩を欠く走りとなった。
この状況を打破しようと思ったか、野尻はタイヤ交換作業が可能となる10周終了時点でピットイン。同じく前を走る牧野、さらには小林ら6台が作業を行なった。一方、上位陣では、その2周後に福住がピットインしたが、その直後、2台によるアクシデントが発生。2度目のセーフティカーランとなった。これを好機にしたのが、トップ坪井をはじめ、佐藤ら計8台。ライバルに速さでも勝る坪井だが、レースの流れをも味方につけてトップをキープした。そんななか、佐藤がコース復帰を果たす際、メインストレートから1コーナーへと向かうコース上の牧野と接触。牧野が先行したが、ともにクルマへの影響は少なかったものの、どちらに優先権があるのか難しい状況であったことから、ペナルティを避けるために牧野のチームは一旦佐藤の後方に下がる指示を出し、周回する選択を下した。
レースは16周走行時にセーフティカーのフラッシュライトが消灯。17周目からリスタートとなる。逃げるトップの坪井の背後には福住。しかし、3番手の佐藤はオーバーテイクシステムを使って福住を逆転する。だが、翌周には福住が同じ様に佐藤を抜き返す。さらに、その背後でチャンスを伺っていた牧野が22周目のコカ・コーラコーナーで佐藤をパス。表彰台獲得の一角にポジションを上げた。
折り返しを過ぎてなお、トップの坪井はハイペースで周回を重ね、福住もそれに食らいつくが、僅差での膠着状態が続き、また、3位に浮上した牧野も同じ状態。だが、後方では激しいポジション争いが続く。すると、33周目の1コーナー立ち上がりで2台が激しく接触。No.38 阪口晴南 (VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)のクルマが突如シャットダウンして失速。そこに後続の山本が追突する形でコースアウトしてしまう。阪口はすぐクルマを離れたが、山本はクルマから降りることができず。このアクシデントでレースは3回目のセーフティカーが導入された。
レース大詰めとなるなか、SCランは38周終了まで続き、残り3周での戦いがリスタートする。トップ坪井は3回目のりスタートも難なく決め、背後からチャンスを伺った福住の攻撃をシャットアウト。ともに存分に残量があったオーバーテイクシステムを活用しての攻防戦を繰り広げたが状況は変わらず。そのままチェッカーを迎えている。
前日の第6戦を制した坪井は、第4戦での勝利を含めて今シーズンの富士戦を全勝。ランキング争いでも大量加算を果たし優位な形でトップに立って最終ラウンドの鈴鹿に向かうことになった。ランキング2位には、このレースで3位チェッカーを受けた牧野。トップ坪井とは 14.5点の差がついている。一方、この富士大会で入賞はしたものの大量得点は叶わなかった野尻。今日のレースでも終盤の攻防戦でポジションを落とすという厳しい展開を強いられた。
なお、レース後に佐藤と牧野の接触に対し、佐藤にはレース結果に10秒加算のペナルティが課せられたが、さらに再車検で最低重量違反が発覚。レース失格扱いとなった。
富士での戦いを終えたスーパーフォーミュラ。いよいよ今シーズンは残り鈴鹿大会のみとなる。鈴鹿も、今大会同様にワンデーレースフォーマットを土曜、日曜にそれぞれ実施する短期決戦。富士とは特性の異なるコースをどのチームが味方にして力強い戦いを披露するのか。そして、チャンピオンタイトルを目指すドライバーたちはその大きな目標に向けてプレッシャーをいかに跳ね除けるのか。”目に見えない”ものとの戦いにも注目だ。
第7戦富士 決勝結果 トップ3
1.No.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)1:10’23.732 41L
2.No. 8 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)+1.372
3.No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)+2.857