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WEC富士、優勝は6号車ポルシェの手に! トヨタ2台は表彰台逃す




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9月15日、静岡・富士スピードウェイで開催された世界耐久選手権レース(WEC)第7戦の決勝レース。トヨタはじめ、フェラーリ、プジョー、ポルシェ、キャデラックさらに今シーズンからはBMW、アルピーヌ、ランボルギーニといった競合するなか、6時間に渡る戦いは、予選5位からスタートしたK.エストーレ/A.ロッテラー/L.ファントール組のNo.6 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(ポルシェ963)が波乱のレースを制し、シーズン2勝目を挙げている。
 

9月最初の3連休のなかで開催された富士6時間耐久レース。予選日の夜から本格的な雨となり、決勝日の朝を迎える。幸い、雨も上がりドライコンディションでの決勝となったが、レースウィーク中の走行によって”作り上げられてきた”ラバーは雨で洗い流されることに。また、決勝前の気温は30度、路面温度に至っては40度を超え、タフなコンディションのなかでスタートが切られた。
 

母国開催を前にして、マニュファクチャラーズ選手権ではランキングトップとして6時間レースに臨むことになったトヨタ勢。しかし、今大会は2台にとってあまりに過酷な展開となってしまったようだ。レースはまず、ポールポジションスタートのNo.2 キャデラック・レーシングがトップをキープしてレースが幕を開けたが、2周目に1コーナーで多重クラッシュが発生。早速にセーフティカー(SC)が導入され、8周終了時でリスタートを迎えた。
 

荒れ模様での幕開けとなるなか、ルーティンのピット作業が始まったが、その後しばらくしてコース上のデブリ情報を受けてのバーチャル・セーフティカー(VSC)が発動される。その後、上位陣はレース開始3時間を前にして2度目のルーティンを済ませると、折り返しとなる3時間目には、トップを走っていた6号車を逆転していたNo.50 フェラーリAFコルセ(フェラーリ499P)がタイヤ2本交換の”時短”作業を味方にして逆転に成功。これに予選3位のNo.15 BMW MチームWRT(BMW MハイブリッドV8)や5号車ポルシェが続いた。一方、トヨタ勢は、7号車が5位、8号車が6位で後半戦へと向かった。なお、ポールスタートのNo.2 キャデラック・レーシング(キャデラックVシリーズ.R)は、レース折り返しを前に、バトルの末に15号車との接触が起こり、タイヤバーストのアクシデントに遭遇。ピットインを余儀なくされ、トップ争いから事実上の後退となった。
 

レースは抜群の安定感を見せる6号車、そして戦略が奏効してポジションを挙げた50号車、さらには15号車が三つ巴のような形でレースを進めていく。そんななか、母国開催に気を吐くトヨタの7号車がペースアップし、15号車を猛プッシュ。ピット作業でのタイミングを味方に3番手に浮上すると、さらに前を走る50号車との攻防戦へ持ち込む力走を見せて逆転を果たした。その後もトヨタの2台はピット作業でのタイヤ交換を見送るなど、望みを託す戦略で上位浮上を目指す走りを続けていく。
 

レースは残り2時間を切るなか、No.63 ランボルギーニ・アイアン・リンクス(ランボルギーニSC63)がギアボックストラブルにより、コースサイドにストップ。これを機にVSC〜SCが発動され、リスタート時には、6号車を先頭にして15号車、さらに8号車がトップ3を形成した。
 

その後、各車はピット作業を終えて激しい上位陣争いの場へと復帰。そんななか、8番手から猛追を見せていた7号車トヨタと5号車ポルシェとの攻防戦が激化。互いに譲らず並走が続いたが、コカ・コーラコーナーで2台は接触。7号車は左リヤの足回りを傷めてしまい、ガレージインを強いられる。スタッフが懸命の作業を続けたが、最終的にはチェッカーまで1時間を切った時点でリタイアという苦渋の決断を下すこととなった。なお、5号車もまたリタイアに終わっている。
 

レースは残り30分を切り、一旦表彰台圏内から陥落していた7号車トヨタがNo.12 ハーツ・チーム・JOTA(ポルシェ963)を抜いて4位へと浮上。すると、3位を走行していたNo.35 アルピーヌ・エンデュランス・チーム(アルピーヌA424)がドライブスルーペナルティを課せられたことから、8号車は3位へポジションアップ。ところが、残り12分という時点になって、今度は8号車に対してなんとドライブスルーペナルティが出てしまった。これは最後のピットアウトでのアウトラップで、トップを快走する6号車ポルシェに対しての「青旗無視」が原因というもの。結果、8号車の手からようやく掴み直した3位の座がチェッカー目前ではらりとこぼれ落ちるというまさかの事態となった。最終盤にステアリングを握っていたのは、平川亮。気を取り直すかのように、ペナルティを消化し、最後は10位でチェッカーを受けている。
 

”無事これ名馬”ではないが、6号車はまさに盤石のレース戦略をもって、富士6時間を制覇。日本でのレースキャリア豊富のロッテラーをはじめとするドライバーはミスなく着実なレースを完遂させ、開幕戦以来となる勝利を果たし、チャンピオン争いでもライバルに大きくリードを築き上げて最終戦のバーレーンを迎えることになる。2位に続いたのは15号車。そつなくレースをすることで予選からひとつポジションを上げることに成功し、シーズン初表彰台を成し遂げた。また、3位のNo.36 アルピーヌ・エンデュランス・チーム(アルピーヌA424)もシーズンベストの結果を手にしている。
 

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LMGT3はクラス9位の54号車がシーズン初優勝

日本で初レースとなったLMGT3クラス。こちらは、序盤の落ち着かない展開が小康状態となってから、予選5位スタートのNo.59 ユナイテッド・オートスポーツ(マクラーレン720S LMGT3エボ)が暫定トップに浮上する。その後はピット戦略の駆け引きで随時トップが入れ替わる状態となり、レース折り返しの3時間が過ぎると、59号車とNo.85 アイアン・デイムス(ランボルギーニ・ウラカンLMGT3エボ2)との激しいトップ争いが続いた。
 

だが、のちに59号車はFCY(フルコースイエロー)導入時にスピード違反があったとされ、ドライブスルーペナルティが課される。これを機にトップグループが入れ替わり、85号車を筆頭に、予選2位のNo.81 TFスポーツ(シボレー・コルベットZ06 LMGT3.R)、No.27 ハート・オブ・レーシングチーム(アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3)がトップ3を形成した。
 

そんななか、このトップグループがルーティンのピット作業をするのを横目に、別途VSCのタイミングでピットインしていたNo.92 マンタイ・ピュアレクシング(ポルシェ911 GT3 R LMGT3)が暫定トップへと浮上。すると、コース上ではハイパーカークラスの車両がトラブルによって停止したことを受け、再度、VSCが導入された。ちょうどチェッカーまで残り2時間を切っており、折しも各車がルーティンのピットインと重なったことで、急遽トップ3以外の車両にも優勝争いのチャンスが降ってくるという展開に。
 

レースが再開されると、92号車を暫定トップに、以下、59号車、No.46 チームWRT(BMW M4 LMGT3)がトップ3となり、激しい優勝争いを繰り広げる。その一方で後方から猛追を見せたのがNo.54 ビスタAFコルセ(フェラーリ296 LMGT3)。クラス9位スタートだった54号車だが、あれよあれよと3番手まで浮上。さらに、ラストスティントでもその勢いはまったく衰えず、トップ3はタフな攻防戦を展開し、ついにチェッカーまで残り30分の時点で54号車が暫定トップへと浮上。92号車を引き離しにかかった。さらにペースの上がらなかった59号車を46号車が逆転。レースはこのままチェッカーを迎えた。
 

終盤の猛追が結実し、トップチェッカーを受けた54号車は今季初勝利。2位に92号車、3位には46号車が続いて戦いを終えた。なお、92号車は、最終戦を待たずして今シーズンのドライバーズチャンピオンを獲得している。
 

日本でのWEC開催は現在のシリーズ初年度にあたる2012年から続く(コロナ禍で中止となった2020、21年は除く)が、レース後に開催地である富士スピードウェイの発表によると、今大会のレースウィークには6万5800人もの観客が来場し、この数はWEC富士としての最多来場者数になったという。トヨタはもちろんのこと、世界の名だたる自動車メーカーが大挙して参戦するカテゴリーならではの盛り上がりだったといえる。4月中旬にスタートした今シーズンの戦いも、10月末のバーレーン戦が最終戦に。今大会で勝利した6号車がランキングトップのまま、戴冠を果たすのか、あるいは、母国開催で好成績を残せなかったトヨタ勢がシーズン最後の有終の美を飾るのか。まだまだ熱い戦いは続きそうだ。
 

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<決勝結果>

ハイパーカークラス
1.No.6 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(ポルシェ963)6H00’32.196 213Laps
2.No.15 BMW MチームWR(TBMW MハイブリッドV8)+16.601
3.No.36 アルピーヌ・エンデュランス・チーム(アルピーヌA424)+42.321
 

LMGT3
1.No.54 ビスタAFコルセ(フェラーリ296 LMGT3)6H00’50.725 194Laps
2.No.92 マンタイ・ピュアレクシング(ポルシェ911 GT3 R LMGT3)+3.775
3.No.46 チームWRT(BMW M4 LMGT3)+7.061

(TEXT : Motoko SHIMAMURA)










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