WEC in JAPAN、タイトルを見据たシリーズ終盤を迎える
9月13日から15日の3日間、静岡・富士スピードウェイにて開催される世界耐久選手権(WEC)。もはや、富士で開催される秋のビッグイベントとしてすっかり定着した世界選手権といえるだろう。今シーズンは年間8戦へと増え、その第7戦目の舞台として開催される富士での戦いは、果たしてどんなレースになるのか? ポルシェ、フェラーリ、そしてホームコースでの一戦を迎えるトヨタの三つ巴に目が離せない!
・ハイパーカークラス、王者の行方は?
昨年のWEC in JAPANでは、ハイパーカークラスを筆頭に、LMP2とLM-GTE Amクラスの3クラスにカテゴライズされたなかでの6時間レースだったが、今シーズンからWECでのクラスは2つとなり、ハイパーカークラスとLMGT3クラスがそれぞれ激戦を繰り広げている。
シリーズ終盤戦の一戦というだけに、当然ながらタイトル争いも佳境を迎えているわけで、この富士戦でシーズンチャンピオンが確定する可能性も高い。それゆえ、最終戦を前にタイトルを掴んでしまおうと、各チームが総力を挙げて臨んでくることだろう。
もちろん、ファンとしてはトヨタがホームコースである日本・富士スピードウェイへと凱旋するため、そのなかでの躍進に大きな期待を持っているだろう。だが、その一方で好敵手の存在にも事欠かない。WECで長い間トヨタのライバルとして君臨するポルシェには、日本のレースファンにも良く知られた”タレンティッド”なドライバーが顔を揃えている。6号車ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツで参戦するA.ロッテラー、そして僚友5号車のF.マコヴィッキは、SUPER GT等で活躍したことで知られるだけでなく、彼ら自身が”日本びいき”でもあるため、富士での戦いを心待ちにしていることだろう。
一方、バラエティ豊かなマニュファクチャラーにも注目したい。今年、ハイパーカーには9つのマニュファクチャラーが参戦。残念ながら、うちイソッタ・フラスキーニが第6戦以降の参戦を取りやめることとなったが、先述のトヨタ、ポルシェをはじめ、プジョー、フェラーリ、キャデラック、そして今シーズンからはアルピーヌ、BMW、ランボルギーニが加わった。WECは、欧米の名だたるスポーツカーメーカーが威信をかけて臨むシリーズであることがわかる。トヨタ、プジョーの戦いに、先陣を切って戦いに挑んできたのがプジョー。しかし、投入したマシンの信頼性が伸び悩み、思うような結果を残せていない。逆にデビュー後発組といえるフェラーリはル・マンでの勝利だけでなく、先の第6戦オースティン(アメリカ)でも優勝を遂げており、かつてのフェラーリv.sポルシェの激戦を彷彿させる活躍を見せる。
現時点で、ハイパーカーのドライバーズタイトルのトップに立つのは、6号車ポルシェ。これに7号車トヨタGR010ハイブリッドが2番手でプレッシャーをかける。得点差は12ポイントだ。50号車フェラーリ499も同ポイントではあるが、7号車は最終戦バーレーンを前に、なんとしてもこの富士で勝利し、また、僚友8号車は7号車をアシストするパフォーマンスでポルシェの富士での戴冠確定を阻止したい。WECでは、予選でのポールポジションにも得点が与えられるため、早速予選から見せるであろうしのぎを削る戦いに注目して欲しい。
一方、新しいクラスとして初の富士戦を迎えるのが、LMGT3クラス。世界中のレースシーンで活躍するGTカーのオンパレードということもあり、GTカーファンにとっては、その勇姿を見ることも楽しみではないだろうか。9マニュファクチャラー、計18台が参戦しており、そのなかには日本人ドライバーの姿も。トヨタのハイパーカーをドライブする小林可夢偉、平川亮に負けじと劣らず日本のコースでの活躍を近い、力を尽くすはずだ。
9月上旬に上陸した台風10号以来、厳しい暑さが残り連日のように高い気温を記録中の日本列島。今週末もタフなコンディションになるのだろうか。11日早朝には台風13号が発生したというニュースが届いているものの、沖縄から中国大陸への進路が予想されていることから、サーキットがある静岡県への影響は少ないと思われる。が、酷暑となるのか、曇天の不安定な天気になるのか。いずれにしても、年に一度の世界戦を楽しんでもらいたい。
スケジュール
・9月13日(金)
11:00 〜 12:30 フリープラクティス1
15:30 〜 17:00 フリープラクティス2
・9月14日(土)
10:20 〜 11:20 フリープラクティス3
14:20 〜 14:32 LMGT3予選
14:40 〜 14:50 LMGT3ハイパーポール
15:00 〜 15:12 ハイパーカー予選
15:20 〜 15:30 ハイパーカーハイパーポール
・9月15日(日)
11:00 〜 17:00 決勝
(TEXT : Motoko SHIMAMURA)