SF第5戦、予選5位の牧野が逆転の2勝目!
8月25日、栃木・モビリティリゾートもてぎにおいて、全日本スーパーフォーミュラ選手家第5戦決勝が37周にわたって行なわれた。レースは予選5位のNo. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が終盤にチームメイトのNo. 6 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と攻防戦に持ち込むと、壮絶なバトルを制して逆転勝利を果たしている。
残暑厳しい天候となった決勝日。サーキット上空には薄曇りの空が一面に広がってレース中の降雨も心配されたが、無事にドライコンディションのまま、レースが幕を開けた。
前日の予選で、7年ぶりにポールポジションを手にしたNo. 3 山下健太(KONDO RACING)、そして予選2位の太田が揃ってスタートを決めると、後方では予選4番手のNo.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)が若干出遅れる。これに対し、牧野は好スタートを切って、オープニングラップ終了時には3番手まで浮上。前の2台をペース良く追う形でレースを進めたq。
トップ山下は、2位太田に対して1秒強の差をキープ。だが、その後方で追い上げを図る牧野のペースが速く、油断できない状態。そんななか、ルーティンのピット作業が可能となる10周が終わると、太田が先陣を切ってピットへ。待ち受けるチームスタッフも6.3秒の素早い作業で太田を送り出すことに成功した。これに対してトップの山下、2番手で続く牧野はひと足先に作業を終えたライバルを意識しながらの走行が続いたが、先に動きたのは牧野。レース折り返しを過ぎた22周終わりでピットに戻った。
チームメイトの太田同様、こちらも6.1秒と文句なしの作業タイムでコースへと復帰。これを見て、なんどもピットインのタイミングを見計らっていた山下もその翌周にピットへと帰還すると、1周前まで牧野の後方を走っていた野尻もこれに続いた。山下の作業タイムは6.6秒。太田、牧野よりも時間を要することになった上、すでにコース上ではふたりがペースを上げて周回しており、結果としてレース復帰後は太田、牧野に加え、10周終了時にピットに戻っていた予選3番手のNo.39 大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)に対しても後塵を拝する形になってしまった。
しかし、山下も諦めずに猛追を開始。まず25周目、大湯とサイド・バイ・サイドになって2コーナーで逆転を果たす。しかし、前を走る牧野との差は4秒強と厳しい状況に置かれる。逆に、牧野は山下よりもトップをひた走る太田にロックオンの状態。ペース良く周回を重ねて少しずつ、だが着実に太田との距離を詰めていく。結果、30周終了時に4秒強あった2台の差は、34周目には、わずか0.432秒まで縮まることに。チームメイト同士ゆえか、いっそう張り詰めた空気のなかでの攻防戦は見どころたっぷりの様相となり、互いが見せるクリーンなドッグファイトに観客も大いに沸くこととなった。
レースは、35周目に両者揃ってオーバーテイクシステム(OTS)を多用しての攻防戦に展開。火花を散らしての手に汗握る激しいサイド・バイ・サイドを繰り広げ、コーナーによっては牧野が先行することもあったが、メインストレートでは先に太田が通過し、一歩もトップの座を譲ることなく走行を続けた。
ところがチェカーまで残り1周、トップを死守していた太田のマシンにトラブルが発生する。90度コーナー先のセカンド・アンダーブリッジ手前でスピンしたクルマは、コースのアウト側にストップ。真後ろにいた牧野は、間一髪で衝突を回避して太田を抜いていく。まさかのハプニングはスロットルトラブルによるものだったが、結局、太田は再スタートを切れず、悔しさつのる戦線離脱となった。
思わぬ形でトップの座が転がりこんだ牧野。レースはこのまま牧野がトップでチェッカーを受け、オートポリスに次ぐシーズン2勝目を達成した。2位には山下。ペースで太田、牧野に遅れを取ったものの、なんとかしのぎ、開幕戦以来となる2度目の2位を手にしている。そして、3位には野尻が続き、厳しい条件下でも結果を残すことに徹する形で残る表彰台の一角をもぎ取った。
なお、気になるタイトル争いだが、野尻が依然としてトップを死守。これに今回の覇者、牧野が5点差で2番手に浮上することに。3位には5位入賞のNo.36 坪井 翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が続いている。次回の舞台は、再び富士スピードウェイ。今日のもてぎ戦からおよそ1ヶ月半のインターバルが開くが、事前には公式テストも行なわれるている。なお、この富士、そしてシーズン最終イベントの鈴鹿サーキットでの2大会は、土曜、日曜にそれぞれ決勝を実施する2レースの戦いとなる。残る2大会、4レースで繰り広げられるのは大逆転劇か、それとも圧巻のレースとなるのか……。まだまだ記憶に残る名勝負を見ることができそうだ。
第5戦もてぎ・決勝結果 トップ3
1.No. 5 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)37周 1’00.10.235
2.No. 3 山下健太(KONDO RACING)+1.603
3.No.16 野尻智紀(TEAM MUGEN)+4.261