SUPER FORMULA第4戦富士スピードウェイ レースプレビュー
真夏の富士戦、勝利は誰の手に!?
前回の戦いからおよそ1ヶ月。シリーズの折り返しが近づく今シーズンのSUPER FORMULAの第4戦が、静岡・富士スピードウェイで開催される。レース開催2週間前には同地で公式テストが実施され、各チーム、ドライバーが精力的に走り込み多くのデータを入手。近づく決戦に向けて、粛々と準備を進めている真っ最中だ。
・目前の富士、そして後半戦を見据えて
3月上旬に今シーズンの戦いが幕を開けたSUPER FORMULA。今大会を含め、残るイベントは4つ。うち、終盤2つは1大会2戦のダブルヘッダーであり、レース数は6つとなる。また、富士での戦いが3つと半分を占める形だ。それゆえ、7月上旬に2日間に渡って行われた公式テストは、この先のシーズンを見据えた貴重かつ重要なものであったことがよくわかる。
なにしろ、ノックアウト形式で実施される予選はコンマ1秒に留まらない僅差の争い。Q1からQ2はもちろんのこと、Q2での最終グリッド争いにおいても、この”ほんの僅かな差”がレースでの明暗に大きな影響を与えるのは言うまでもない。確実に着実にライバルより前のポジションからスタートを切らねば、求める結果をしっかりと手にすることができない……それが今のSUPER FORMULAの難しさであり、観る者からすると最大の魅力となっているのは明らかだ。
一方、近年はサーキットでのテストが極めて限定され、基本的にシーズン開幕前のテストを除くと、シーズン中は一度しか公式テストは実施されない。余談だが、前回、第3戦のSUGO戦はシーズン初のウエットレース。だが、ドライバー誰一人としてそのウエットタイヤでのレースをしたことがなく、難しい天候のなかでレースを続けることはかなり緊張を強いられる状況であったことも事実。それを考えると、富士での公式テストは待ちわびたテストであり、誰しもが1分1秒たりとも無駄にしたくないセッションだったに違いない。
各チーム、エンジニアとドライバーはこれまでのレースデータ、結果をもとに、念入りに準備したプランにそってあれこれとトライ・アンド・エラーを重ねながらこの先の戦いに向けて、”なにか”を収穫したはず。その答え合わせとなるのが、今回の富士戦になる訳だ。なお、テストで好調さをしっかりとアピールできたのは、第2戦オートポリスで今季待望の自身初勝利を果たした牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。さらに、開幕戦で久々の表彰台に立った山下健太(KONDO RACING)も然り。山下はシーズンを通しての安定感に欠けるところがあり、流れを構築するのがこれまでも難しかっただけに、このテストで総合トップタイムをマークしたことを好機として、シーズン後半戦でしっかりと上昇気流を維持していきたいところあろう。
一方、チャンピオン経験者かつ現時点でのポイントリーダーである野尻智紀(TEAM MUGEN)はどうか。2日間の総合結果から見る限り、テスト中に一発の速さをアピールするようなパフォーマンスは見られず。総合タイムでは8番手に留まった。”悩み多き”実力派だけに、本番に向けて、きちんと”帳尻”を合わしてくることも十分に考えられるが、大勢いるライバルとの戦いに向け、どのような手を打ってくるのか、それも楽しみのひとつとしたい。
・ドライバー変更は2チーム
富士戦に向けて、2チーム、2戦手に変更が見られる。まず、前回のSUGO戦でトップフォーミュラへのデビューを果たした平良響が改めて今大会でも出走することになった。引き続き、名門、ITOCHU ENEX TEAM IMPULから参戦する。SUGOの決勝では、あいにくの天候で思うような走りができず。だが、引き続き第4戦富士への出場が決まったことで、事前のテストにも参加。この継続起用によって、”引き出し”の中身が一気に増えたのは間違いない。これにより、走り慣れた富士では近い将来に向けてのビッグチャンスをしかと活かしたいと平良自身が一番望んでいることだろう。
加えて、TGM Grand Prixが松下信治に替わって大津弘樹を起用すると発表。もともと外国人ドライバーでの参戦を見据えていた同チームだったが、これが叶わず松下がステアリングを握っていたという経緯がある。しかし、この先のチーム運営、体制を考慮し、新たに大津を迎え入れることになったとのこと。これまでも助っ人ドライバーとして参戦する機会が多かった大津だが、チームメイトとなるJujuとともに、新チームでの躍進を見せてもらいたい。
・『瑶子女王杯』となる第4戦
なお、シーズン初の舞台となる富士スピードウェイだが、第4戦は、『瑶子女王杯』として開催されることが日本レースプロモーションから発表されている。三笠宮家の瑶子女王殿下の賜杯をいただき、『第1回瑶子女王杯 全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦富士大会』として開催されるという。もちろん、日本最高峰フォーミュラレースとしては初となる。一方、これまでも瑶子女王殿下におかれては、東京モーターショー、そして昨年初開催されたジャパンモビリティーショーの総裁を務められたことでも知られており、自動車産業の発展、普及に大変ご尽力されてきた皇族のおひとりでもある。これまで、鈴鹿サーキットで開催されているF1日本GPへお成りになってはいるが、今大会では、予選、決勝両日においてお成りになられ、公式記者会見やスタートセレモニーへご臨席される予定だという。果たして、どのドライバーが瑶子女王殿下から賜杯を下賜されるのか、これも大きな話題となることだろう。
夏休みのなかで開催される今大会。縁日や屋台も用意されており、サーキットではさまざまなイベントも。楽しみな一戦となりそうだ。
主なタイムスケジュール
7月20日(土)
09:20 – 10:50 フリー走行1回目
11:55 – 12:45 ピットウォーク
14:00 – 14:10 予選Q1・A組
14:15 – 14:25 予選Q1・B組
14:35 – 14:42 予選Q2
6月23日(日)
09:20 - 09:50 フリー走行2回目
11:35 – 12:15 ピットウォーク
14:00 – 15:00 スタート進行
15:00 – 決勝レース 51周/最大75分