レース4分の3を終了、雨の中、長時間のSCで大接戦に
レース折り返しを前に本格的な雨に見舞われることとなったフランス、ル・マンのサルト・サーキット。第92回ル・マン24時間レースは、折り返しを過ぎてなおSCランが続き、現地時間午前9時を前にようやく再開を迎えた。長くSCランによるレースコントロールが続いたことを受け、スタートから18時間が経過してなお激しいポジション争いを繰り広げている。
小雨になり、路面状況がやや改善したかと思いきや、再び降雨になりウエットタイヤを要するという極めて落ち着きのない天候になっている今年のル・マン。長引くSCの走行で燃料が減り、別途SCを投入するという珍しい光景も見られた。ようやく明け方になって少しずつ雨量が減って空も明るくなり始めるなか、依然としてSCランが続いていたが、午前8時を迎える頃には雨雲も消え、コース上に3台いたSCも1台ずつコースを外れていくこととなり、総合トップに立った8号車トヨタGR010ハイブリッドが198周目を走行中に牽引するSCのフラッシュライトが消灯。およそ4時間26分にわたって続いたSCランが終わることとなった。
気温13度、路面温度15度と近年のル・マンとしては寒さが先行するコンディション、しかも雨模様というタフな戦いが続くなか、レース再開とともにポジション争いも一層激しくなる。ハイパーカークラスでは8号車と6号車のポルシェ963によるトップ争いが激化。一方、路面コンディションの改善に合わせ、どのタイミングでウエットからドライタイヤへ交換するかも気になるところ。トヨタではひと足先に7号車がスリックタイヤを装着してウエットタイヤの8号車とのタイムを比較。スリックのほうが速くなった段階で8号車をピットインさせ、タイヤ交換を実施した。
雲は多いものの、青空も垣間見えるようになったル・マンだったが、午前9時半すぎに3回目のセーフティカーがコースインする。これは、LMGT3クラス車両がバランスを崩してインディアナポリスでコースアウト、車両がひっくり返る事態となったため。幸いドライバーは自力でクルマを降りたが、このSCランはほぼ1時間に及ぶこととなった。
度重なるSCランによって各クラスの上位争いは極めて僅差になっているが、レース再開直前に迎えた18時間経過の時点での総合トップは6号車。8号車がこれに続き、2号車のキャデラックVシリーズ.Rが3番手となっている。
いよいよ残り時間6時間を切ったル・マン。気になるのは再び天気予報で雨の予報が出ていることだ。近年稀に見る激しいポジション争いが続くスプリントレースのようになっているだけに、午後4時を過ぎてトップでチェッカーを受けるのがどのチームになるのか、最後の最後まで先が読めない。
18時間が経過した時点の総合トップ3,および各クラストップは以下のとおり。
ル・マン24時間レース途中結果(午前10時・18時間経過/総合トップ3および各クラストップ)気温16度、路面温度16度
<HYPERCAR>
1.No.6 ポルシェ963(K.エストーレ/A.ロッテラー/L.ファントール)222周
2.No.8 トヨタGR010ハイブリッド(S.ブエミ/B.ハートレー/平川亮)+0.686
3.No.2 キャデラックVシリーズ.R(E.バンバー/A.リン/A.パロウ)+2’18.473
<LMP2>
1.No.183 オレカ07・ギブソン(F.ペロード/B.バーニコート/N.バローネ)212周
<LMGT3>
1.No.87 レクサスRC F LMGT3(木村武史/E.マッソン/J.ホークスワース)201周
(TEXT : Motoko SHIMAMURA)