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日本初開催、フォーミュラEが盛況のうちに終わる




3月29、30日に東京のお台場で開催されたABB FIAフォーミュラE世界選手権第5戦「東京E-Prix」。完全電気自動車のフォーミュラレース「フォーミュラE」は、初夏のような好天気の下で決勝レースが行われ、詰めかけたファンを大いに魅了した。
 

待望の日本初開催となるフォーミュラEとは

開幕を前に販売されたチケットは、開始から5分足らずで完売という大人気ぶりを見せたフォーミュラE。東京・江東区有明の東京ビッグサイト周辺を舞台に繰り広げられる日本初となる公道での世界選手権をひと目見ようと足を運んだファンも多かったことだろう。
 

このフォーミュラEだが、初開催から今年で10年を迎えたばかりの”若い”世界選手権。レギュラーシーズンにさまざまなカテゴリーでレース活動をするドライバーたちがいわゆる冬の”オフシーズン”に参戦するレースカテゴリーに位置づけられていた時期もあったが、近年では日本のスーパーフォーミュラやSUPER GTに参戦していた外国人ドライバーが、世界を転戦するカテゴリーレースとして積極的に参戦していることもあり、日本のレースファンの関心も高い。
 

2014/15年にシーズン1がスタート、このときから一般公道を舞台に展開する形が多く、日本でも有名な欧州の自動車メーカーが次々に参戦を表明。電気自動車での”エコな”レース参戦をアピールしてきた。マニュファクチャラーが多数名乗りを上げたことで、ドライブする選手たちも往年のF1選手から伸び盛りの若手ドライバーまで百花繚乱状態となり、ル・マンを含むシリーズ戦、世界耐久レース(WEC)と掛け持ちするドライバーも珍しくなくなった。
 

これまでのシリーズ戦には、日本人選手も参戦。元F1ドライバーであり現在もインディカーに参戦する佐藤琢磨はじめ、現在は衆議院議員を務める山本左近、WEC参戦中の小林可夢偉も出走の経験がある。一方、チームとしては、ニッサンが参戦中のため、この東京大会で初のホームレースが実現したことになる。
 

フォーミュラEのレースフォーマットは、他のレースと少し違っており、予選と決勝が同日開催という特徴を持つ。東京大会では、29日の午後と30日の午前中にそれぞれフリー走行を実施。30日は、フリー走行を経て、予選そして決勝を行う。なお、予選では、コースインした2台が1対1でタイムアタックを行うという”ガチ勝負”を展開する「デュエル方式」が採用されているのも特徴のひとつ。予選から駆け引きがあるというのも面白い。
 

クルマは、電気ですべてを賄うこともあり、ガソリンの”燃費”に該当する”電費”も勝負のポイントに大きな影響を与える。なんでもアクセル全開で走った場合、ゴールまでにクルマが電気切れとなり、ストップするとのこと。そこで、エネルギーを回生しながらエネルギーを回収することになる。現在、2022/2023年シーズンから投入されている「GEN3」というマシンを使用し、11チームが参戦。今回も合計22選手による熱い戦いが繰り広げられた。
 

快晴の中で行われた決勝レース

決勝日には、岸田文雄内閣総理大臣と小池百合子東京都知事が来場。2万人の観客へ向け、挨拶を述べるなど”特別感”もあり、会場が大いに湧いた。また、瞬時に完売した観戦券がなくともレースイベントを堪能できるファンビレッジも用意され、パブリックビューイングや車両展示などを見ることができるなど、クローズドサーキットでは味わえない楽しみも提供されたことは新鮮に感じられた。
 

初走行となる初日は雨となり、不安定な路面コンディションとなってしまったが、30日のお台場周辺は朝から快晴の天気に恵まれた。大きな期待と注目が集まるなか、予選でトップタイムをマークしたのは、ニッサン・フォーミュラEチームのオリバー・ローランド。一方、日本でのレース活動を歴てフォーミュラEに参戦している”里帰り組”のニック・キャシディ(ジャガーTCレーシング)とサッシャ・フェネストラズ(ニッサン・フォーミュラEチーム)のふたりは、上位につけることができずほろにがい予選結果に。キャシディはタイムこそ早かったが、テクニカル面での違反が判明してベストタイム抹消という憂き目に遭って19位。また、フェネストラズはタイムアタック中に挙動を見出してウォールに接触するハプニングもあり、20位に沈んだ。
 

【予選結果・トップ6】

1.No.22 O.ローランド(ニッサン・フォーミュラEチーム) 1’19.023
2.No. 7 M.ギュンター(マセラティMSGレーシング) 1’19.044
3.No.48 E.モルタラ(マヒンドラ・レーシング) 1’19.081
4.No. 3 S.セッテ・カマラ(ERTフォーミュラEチーム) 1’21.244
5.No. 1 J.デニス(アンドレッティ・フォーミュラE) 1’19.323
6.No. 9 M.エバンス(ジャガーTCSレーシング) 1’19.448
 

迎えた決勝。朝から走行が立て続けに行われることもあり、徐々にテンションアップするシチュエーション。初夏を思わせるような陽気も追い風となった。クリーンなスタートが切られ、まず、ポールスタートのローランドを筆頭に、22台のクルマが周回を重ねていく。途中、ウォールに接触したり、車両同士のライン交錯での接触など、狭い市街地コースならではアクシデントが発生。さらに、19周目にはセーフティカーも導入され、コース上に落ちたパーツ回収のシーンも見られた。
 

セーフティカーが導入された分の2周が追加され、35周の争いとなったレースは、終盤にトップのローランドを逆転した予選2位のマキシミリアン・ギュンター(マセラティMSGレーシング)がそのまま逃げ切りトップでチェッカー。所属チームであるニッサンの母国開催での優勝を狙ったローランドは、0.755秒という僅差で悔しい2位となった。3位には、予選5位スタートのジェイク・デニス(アンドレッティ・フォーミュラE)が続いた。なお、キャシディは8位、そしてフェネストラズは11位でチェッカー。さすがに表彰台は遠かったが、ふたりともポジションアップを果たしている。
 

【決勝結果・トップ6】

1.No. 7 M.ギュンター(マセラティMSGレーシング) 53’34.665 35Laps
2.No.22 O.ローランド(ニッサン・フォーミュラEチーム) +0.755
3.No. 1 J.デニス(アンドレッティ・フォーミュラE) +1.405
4.No.13 A.F.ダ・コスタ(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム) +1.822
5.No.94 P.ウェーレイン(タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム) +3.897
6.No.51 N.ミューラー(ABTクプラフォーミュラEチーム) +4.573
 

2023−2024年シーズンは、フォーミュラEとして10周年にあたる。1イベントで2レース開催される国もあり、今シーズンは全10大会、全16レースで実施している。東京大会を前に、初年度から参戦を続けているニッサンが2030年までこのシリーズへ参戦継続を発表。次世代の車両開発にも着手しているとした。さらに、ヤマハ発動機がイギリスのレーシングカーコンストラクターであるローラ・カーズとテクニカルパートナーシップ契約を締結し、フォーミュラEへサプライヤーの立場で参戦することを明らかにしている。今後、ヤマハは電動パワートレインの開発と供給を担うことになるが、1997年にF1から撤退して以来となる4輪モータースポーツへの復帰に心を踊らせるレースファンもいることだろう。
 

これまで、日本のレースファンの中では正直馴染みが薄いと思われたフォーミュラE。東京開催を気に新たなファン層の獲得となったかどうか、その答えは来年の開催にかかっているのかも知れない。シーズン11のカレンダーは、6月に発表を予定している。










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