SUPER FORMULA第1戦鈴鹿 プレビュー
今シーズンは鈴鹿から戦いがスタート!
昨年、11月にシーズンを終えた戦いが帰ってくる__今週末、三重・鈴鹿サーキットにおいて、ついに2024年シーズン開幕を迎える。これまで、4月開催だったこのイベントだが、今シーズンは、長らく秋開催だったF1日本GPが4月に鈴鹿で開催されることもあり、3月、しかも初旬での開催となる。冬の間、今か今かとレース開催を待ちわびていたファンにとっては、”前倒し”感もあって、喜ばしい限り。ステップアップを果たした新たなドライバーの参戦も含め、今シーズンもさまざまなドラマを見せてくれそうな気配だ。
例年より1ヶ月弱早い開幕戦に
開幕戦を前にした先月2月21、22日。初日は本降りとなる雨の中、鈴鹿では公式テストが行なわれた。シーズンインすると、1度しか公式テストが実施されないため、直近の実走は貴重な時間。あいにくの雨模様とはいえ、ウエットタイヤを装着してのテストと考えれば、これもまたとないチャンス。エンジニアやドライバーは、少しでもデータを収集すべく、精力的にテストに勤しんだ。
降り続く雨で、ドライコンディションを想定した内容のテストが存分にできなかったことも事実だが、今週末の鈴鹿は春が近づくなかでのレース開催となり、現時点で天候が崩れる心配もなさそう。若干手探り感は否めないが、ここはチームとしてのデータを活用しつつ、レースウィーク中にクルマをしっかりと合わせ込む方向で戦いに臨むのではないだろうか。
21名がしのぎを削ることに
さて、今シーズンは12チーム、21選手でしのぎを削ることになるスーパーフォーミュラ。開幕ギリギリまで20名の選手のみアナウンスされていたが、最後の最後になって残る1選手、松下信治のエントリーが確定した。そして、その顔ぶれが昨シーズンとは大きく変わっているのも、今シーズンの特徴と言えるだろう。これまで”固定”ドライバーによる戦いが続いていただけに、ニューカマー参戦によって、さまざまな効果があらわれるかもしれない。
昨シーズンのチャンピオン、宮田莉朋が渡欧してWECやGP2への参戦。またWECと”二足のわらじ”を履いていた平川亮も完全に海外へと活躍の場を移したことで、どのドライバーがどのチームへ加入するのか、もっぱらストーブリーグの話題だったが、宮田に変わってTOM’Sへの移籍を決めたのが、坪井翔。SUPER GTでは一足早く同チームに加入しており、今シーズンは両カテゴリーで同じチームからの参戦が叶う。つねにチームとコミュニケーションを取れる環境が整うことは、彼にとって大きなアドバンテージとなることだろう。一方、平川が所属していたTEAM IMPULは、ドライバーラインナップを刷新。GP2チャンピオンのフランチドライバー、テオ・プルシェールと国本雄資がチーム入りを果たした。若手ルーキーのプルシェールはF1にも近いドライバーとして注目を集める一方、国本は2016年のチャンピオン。互いに刺激を与え合うことになりそうだ。
そして、開幕を前にすでに大きな話題を集めているのがJuju(ジュジュ)こと野田樹潤。4月から日本大学で”キャンパスライフ”を送る大学生であり、若干18歳の日本人女性ドライバーは、史上最年少でのスーパーフォーミュラ参戦にどう挑むのか。まだ試行錯誤が続く厳しい道のりには違いないが、成長ぶりに期待がかかる。さらに、昨年までFIA-F2に挑戦していた岩佐歩夢が”鳴り物入り”で国内トップフォーミュラに挑戦。欧州で磨いた腕を披露する絶好のシーズンとなりそうだ。これに対し、国内からのステップアップドライバーは木村偉織。昨シーズン参戦していたスーパーフォーミュラ・ライツでは、最後の最後までもつれたチャンピオン争いを制した実力派だけに、粘りある戦いを見せてくれることだろう。この他、”復活組”の三宅淳詞や、チーム移籍を果たした福住仁嶺、大湯都史樹らの奮闘にも注目してほしい。
開幕戦を制し、波に乗るのはどのドライバー?
レースフォーマットに関しては、昨シーズンが踏襲される。とはいえ、昨シーズンはQ1からQ2への進出がかなりシビアな状況となっており、先日の公式テストでドライコンディションでの走り込みが少なかったことを考えると、まずは、土曜日朝のフリー走行がキモになる。1時間30分の時間を活用して、午後からの予選に向けてクルマを仕上げなければならない。質の高い準備をすることで、ライバルを出し抜きたいところだ。どうアプローチし、予選を組み立てるか。エンジニアとドライバーによる”知恵の絞り合い”も含め、好結果を残せるかどうか。まさにチーム総力戦の開幕戦になりそうだ。
本格的な春の訪れにはまだ少し遠い中で迎える鈴鹿の一戦は、今シーズンを象徴するような戦いになるのか。楽しみでならない。
主なタイムスケジュール
3月9日(土)
10:05 – 11:35 フリー走行1回目
11:55 – 12:40 ピットウォーク
15:05 – 15:15 予選Q1・A組
15:20 – 15:30 予選Q1・B組
15:40 – 15:57 予選Q2
3月10日(日)
09:10 - 09:40 フリー走行2回目
14:25 – 決勝レース 31周/最大75分