WEC富士、7号車トヨタが4勝目。完勝を遂げる! 詳細ページ(22928) - イベント・レースレポート

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WEC富士、7号車トヨタが4勝目。完勝を遂げる!




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9月10日、静岡・富士スピードウェイにおいて、世界耐久選手権レース(WEC)第6戦の決勝レースが行なわれた。6時間に渡って繰り広げられた戦いでは、ポールポジションからスタートを切ったTOYOTA GAZOO Racingの7号車トヨタGR010ハイブリッドがパーフェクトウィンを達成。今シーズン4勝目を挙げている。
 

台風13号の影響を受けた富士スピードウェイでは、前日まで不安定な天候となったが、決勝を迎えた現地は秋晴れの快晴に恵まれる。また、ポルシェ、フェラーリによるハイパーカークラス参戦が話題となったこともあり、今年は3日間でのべ5万4700人のファンが来場。富士スピードウェイでWEC開催が始まってから、過去最高の集客になった。

午前11時のスタートを前に、気温は29度、路面温度は42度とレースウィークを通して、一番の暑さとなった。それだけに、レース中のタイヤや路面のコンディションを気にかけながらの戦略を採ることになったチームも多いはずだ。
 

レースはいきなりオープニングラップからセーフティカーが導入される波乱の幕開け。TGRコーナーでGTE-Amの1台がストップしたのが発端だったが、一方で、ハイパーカークラスでは、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの5号車ポルシェ963がイレギュラーのピットイン。右側リヤタイヤが接触により破損したことで、ライバルに対して遅れを取った。その中で、まずはトップを奪取したのが、5号車のシスターカーである6号車。これにフェラーリAFコルセのNo.50フェラーリ499Pが続き、ポールスタートの7号車は3番手に後退した。
 

なお、レースウィークを通して、20度以上の温度差になった路面への対応は、チーム、ドライバーを悩ませた模様。高い数値を示した路面を考慮し、ハードタイヤあるいはミディアムタイヤか、選択を迷ったチームも少なくなかったようだ。中には、コースレイアウトを踏まえ、左2輪と右2輪で異なるコンパウンドタイヤを選択する戦略を採るチームもあったという。
 

レースは1時間経過を前に、8号車トヨタGR010ハイブリッドが暫定2位へとアップ。この前後には各車がルーティンのピット作業を実施したが、タイヤ交換の有無はチームによって判断が分かれており、これを境にして、各車のタイムギャップが広がる。ハイパーカークラスでは、スタート時にトップを奪った6号車が安定の走りを披露し、折返しとなる3時間を経過した時点でもトップをキープ。これにトヨタ勢の7号車、8号車が続いた。ミディアムタイヤを選択したトヨタ勢はコースコンディションに見合う態勢を築き、トップとの差を確実に縮めるパフォーマンスを披露。その中で、まず3番手にいた8号車が平川亮の手で、シスターカーの7号車を先行。さらにトップの6号車を攻め立て、残り2時間の時点で接近戦へと持ち込む形となった。
 

各車が最終スティントを終えてコースに復帰すると、トヨタの2台はワン・ツー体制を確立。ここから先は、チームメイト同士による激しトップ争いが繰り広げられたが、残り1時間半強の段階で、7号車をドライブする可夢偉が8号車を逆転する。予選でポールポジションを手にし、レースでは最終スティントを担当した可夢偉は、レース終盤にファステストラップを刻む力走で圧巻のパフォーマンスを披露。そのまま8号車を従えて、6時間経過のトップチェッカーを受けて完全勝利を果たした。また、8号車も2位に続き、凱旋ラウンドをパーフェクトウィンで飾ったトヨタが、最終戦を待たずして、今シーズンのマニュファクチャラータイトルを獲得している。
 

LMP2クラスは、クラストップからスタートを切ったユナイテッド・オートスポーツのNo.22オレカ07・ギブソンがトップをキープ。これにシスターカーの23号車が続く。レース折返しの時点で、2位にはチームWRTのNo.41オレカ・ギブソンがポジションアップ。41号車は、その勢いでレース終盤にトップを奪取し、このままチェッカーを受けることになった。また、41号車に先行された22号車は、41号車のシスターカーである31号車の猛追を受けて、一時逆転を許したが、最後の最後にポジション奪還を果たし、2位でチェッカーを受けた。
 

GTE Amでは、予選クラス11番手スタートとなったAFコルセのNo.54フェラーリ488 GTEエボが終盤に大逆転を果たし、優勝を果たす結果となった。スタート直後は、予選3番手から藤井誠暢がスタートドライバーを担当したDステーション・レーシングのNo.777アストンマーティン・バンテージAMRがトップに立つ走りを見せるなど、盛り上がりを見せたが、折返しの3時間が経過した時点で、アイアン・デイムスのNo.85ポルシェ911 RSR-19とコルベット・レーシングのNo.33シボレー・コルベットC8.Rが激しいトップ争いを繰り広げた。
 

33号車が遅めのタイミングで1回目のピットインを済ませると、ライバルに先んじてピット作業を済ませていた54号車が3位で先行。ライバルよりも速いペースでの周回を重ねることで、さらにポジションアップを果たし、2位へと浮上する。GTE Amクラスでは、決勝日になって急激に変化した路面コンディションと装着するタイヤとのマッチングに苦しむチームも少なくなかったようで、ポジション争いにも明暗が分かれたようだ。その中で54号車に33号車が追いつく激戦を展開する中で接触が起こり、のちに33号車に対しては30秒のピットストップペナルティが課せられている。また、33号車は終盤になっても他車への走路妨害によるペナルティの対象となるなど、浮き沈みの多い内容となってしまった。
 

最終的に、タフな戦いの中で戦略を完遂させた54号車がクラストップのチェッカーを受けることに。一方、終盤に追い上げを見せたケッセル・レーシングのNo.57フェラーリ488 GTEエボが、今回WECデビュー戦となる宮田莉朋の手によってポジションアップを果たし、2位へ。追い上げによる逆転に注目が集まったが、レースは残り20分の時点でFCYが導入され、惜しくもこのままチェッカーの運びに。日本人選手ふたりがドライブする57号車が2位表彰台に立つこととなったが、夜遅くになって発表されたFIAによる正式結果では、57号車に対し、FCY導入時の速度違反がペナルティの対象となり、レース結果に10秒加算が行なわれた。これにより、57号車は3位降格の結果となっている。
 

<決勝結果>ハイパーカークラスのみトップ3

ハイパーカークラス
1.No.7 トヨタGAZOO Racing(トヨタGR010ハイブリッド)6H01’17.551 229Laps
2.No.8 トヨタGAZOO Racing(トヨタGR010ハイブリッド)+39.119
3.No.6 ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(ポルシェ963)+47.768
 
LMP2:No.41 チームWRT(オレカ07・ギブソン)219Laps
 
LMGTE Am:No.54 AFコルセ(フェラーリ488 GTEエボ)210Laps
 
(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 
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