第91回ル・マン24時間、朝を迎え天気が回復。トップは51号車フェラーリ
突如として降り始めた雨に翻弄されることが多く、レース中は多くのアクシデントが発生し、いつになく波乱の多い展開が続く100周年記念大会のル・マン24時間レース。不安定な天候に、夕日はもとより朝日も顔を出さず、”ル・マン名物”はお預けとなったが、レースそのものもまだ不安要素を残しながらスタートから18時間が経過し、レースの4分の3を終えることになった。
去年は比較的”静かな”展開が長く続いたが、今年は真逆とも言える慌ただしい状況が多く、落ち着きのないレースとなっている。ハイパーカークラスに50年ぶりにメーカーとして復帰したフェラーリ。開始から10時間を前にポールポジションスタートの50号車がラジエター交換を強いられ、ポジションダウン。代わって”シスターカー”である51号車が安定した速さを見せてレース終盤に入っている。一方、そのフェラーリとガチンコ勝負を展開しているのがトヨタ。しかしながら、開始から8時間目前に7号車が後続車から追突を受け、不運のリタイヤに追い込まれたことから、8号車1台が孤軍奮闘の戦いを続けている。
夜明けを前に少し雨模様になったこともあってか、朝日にも恵まれず曇天の朝を迎えたル・マン。レースは15時間を過ぎて真っ先に200周目を周回し終えたのは8号車で、ちょうど平川がドライブしていたときだった。その後、207周目にはルーティンのピットインを実施。ピット前に用意されたフロントカウルの交換作業に取り掛かったため、同一周回にピットに戻ってドライバー交代した51号車には先行を許すことに。これを機に51号車はペースアップを見せて、8号車をじわりじわりと引き離しにかかる。次の219周でもピット作業内容が違ったこともあり、さらに51号車のリードが広がった。
その後、フェラーリはや早めのタイミング_11周のスティントでピットイン。それまで同一周回でのピットインをしていた8号車もこれに順応。ピットに向かうとともにドライバー交代を行なった。
一方、朝を迎えるにつれて各クラスでもトラブルに見舞われ戦列を離れるクルマが現れ、ハイパーカークラスでは4号車ヴァンウォール・バンダーベル680がエンジンブローに見舞われ、コースサイドに車両を止めてリタイヤを強いられている。
LMP2さらにLM GTE Amクラスの上位争いでも同一ラップでの攻防戦が続いた。P2は事実上、34号車と41号車が一騎打ち。また、Amクラスは上位7台が同一周回でバトルを展開。女性ドライバー3人で挑んでいる85号車ポルシェ911 RSR-19が18時間目突入を前にして、クラストップへと浮上するなど、終盤に向けて激しいポジション争いになることが予想される。一方、日本人選手の星野敏と藤井誠暢がドライブする777号車アストンマーティンはマシントラブルにより、コースサイドでストップ。フリープラクティス1回目に大クラッシュを喫するも、決勝出走が叶って粘り強く周回を重ねてきたが、足回りのトラブルが酷くなり、レース続行ならず。惜しくもリタイヤとなってしまった。
18時間経過後の総合トップ3、および各クラストップは以下のとおり。
ル・マン24時間レース途中結果(6月11日午前10時・18時間経過/総合トップ3および各クラストップ)
HYPERCAR
1.No.51 フェラーリ499P(A.ピエール・グイディ/J.カラド/A.ジョビナッツィ) 18H01’26.226 248周
2.No.8 トヨタGR010ハイブリッド(S.ブエミ/B.ハートレー/平川亮)+1’00.229
3.No.2 キャデラックVシリーズ.R(E.バンバー/A.リン/R.ウエストブルック)+3’09.332
LMP2
No.34 オレカ07・ギブソン(J.スミエコウスキー/A.コスタ/F.シェーラー)238周
LMGTE Pro
No.25 アストンマーティン・バンテージAMR(A.アル・ハーシー/M.ディナン/C.イーストウッド)227周
(TEXT : Motoko SHIMAMURA)