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2023年 ル・マン24時間レース プレビュー




初開催から100周年のル・マン、節目の一戦に
 

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・特別枠参加のNASCARのシボレー・カマロZL1をドライブするマイク・ロッケンフェラー、ジミー・ジョンソン、ジェンソン・バトンの3選手(写真左から)
 

世界三大レースのひとつ、歴史ある耐久レースとしてモータースポーツファンから絶大な人気を誇る「ル・マン24時間レース」。夏至を目前に開催される伝統の一戦は、初開催から100年を迎えることもあって、早くからお祭りモード全開に。最高峰クラスのハイパーカーには、日本のトヨタはもとより地元フランスのプジョー、さらにドイツのポルシェ、イタリアのフェラーリなどが総合優勝を目指し、”激アツ”の戦いを繰り広げることになる。
 

100周年記念大会に賑わう

遡ること100年前。1923年に記念すべき最初の24時間レースがフランスのサルト県ル・マン市郊外にあるサルト・サーキットで開催された。このサーキットは常設コースの「ブガッティ・サーキット」と一般公道区間(全体のおよそ2分の3に該当)を組み合わったもので、1周が13.626kmある。ル・マン24時間レース初開催より17年も前に、フォーミュラレースのフランスGPが開催されたほどの歴史がある。今年は記念すべき100周年ながらレース開催は91回目にカウントされるのだが、これはかつてフランスの自動車工業界におけるストライキの影響(1936年)、さらに第二次世界大戦(1940〜1948年)の休止があるためだ。
 

かつては”伝統の一戦”として、独立した耐久レースイベントだったが、2012年からはFIA(国際自動車連盟)とこれまでレースの主催を務めてきたフランス西部自動車クラブ(ACO)による共同開催へと変わり、年間8レースのシリーズ戦に組み込まれることとなった。とはいえ、ル・マンはやはりル・マン。シリーズ戦とはなにもかもが”別格”であり、1年に1度のスペシャルイベントであることに変わりはない。今大会は初開催から数えてちょうど100周年の節目となるメモリアルレースだけに、なおいっそうの盛り上がりとなっている。
 

ファンの目を楽しませる「公開車検」はすでに昨年の時点で復活。今年も2日間にわたりル・マン市街中心部にあるリパブリック広場を舞台に全62台の車検が行なわれた。これまでテストデーを経て、ル・マンウィークに入ってからの日、月曜日に公開車検を実施していたが、今年は金、土曜日の2、3日に実施。4日からの2日間がテストデーに充てられた。文字通り、”公開”しかも市街地で実施する車検は観戦チケットなど不要の無料イベント。記念大会だけに早々に30万枚!の前売りチケットは完売しているが、当然のことながら、広場には連日多くのファンが押しかける盛り上がりを見せた。その中で高い注目を浴びていたのは、ル・マン特別カラーリングを施した地元フランスのプジョー9X8。昨年はル・マン後のWECデビューだったために、今回が初ル・マンとなる。さらに、特別枠として参戦可能な「ガレージ56」からのエントリーとなる改造版NASCARのシボレー・カマロZL1だった。なお、このNASCARには、NASCARカップ・シリーズチャンピオンを7度獲得したジミー・ジョンソン選手はじめ、ル・マン24時間レース優勝経験者のマイク・ロッケンフェラー選手、 さらには2009年のF1ワールドチャンピオンであり、日本のSUPER GTでも2018年にタイトルを手にしたジェンソン・バトン選手が乗ることになっており、参戦車両もさることながら、ドライバーラインナップも多くの話題を集めている。
 

一方、公開車検中の”100周年イベント”の一環として、第1回目のレース優勝車「シェナール&ウォルカー」に加え、今年のル・マンを走る一部の車両が、交通規制によって封鎖された公道をパレード。豪快なエキゾーストサウンドを響かせ、観客を沸かせた。
 

自動車メーカーが最上位クラスに集結

昨シーズン、5連覇がかかったトヨタがその目標を達成。今年も連覇実現を目指して健闘を誓う。一方、今シーズンは数多くのライバルがこれを阻止しようと意気込んでおり、記念大会として名誉ある勝利を巡って相当激しい火花を散らすことになるだろう。
 

前述のとおり、昨シーズン途中からWECシリーズ参戦を開始したプジョーはじめ、最高峰クラスにカムバックを果たしたフェラーリ。しばらくLMGTEクラスでの参戦に留まっていたのだが、2021年にWECへの参戦計画を発表、今シーズンからハイパーカークラスに”再デビュー”となった。フェラーリにとっては1973年以来、50年ぶりにトップカテゴリーで臨むル・マンとなる。排気量2994cc、6つの気筒から1シリンダーあたりの排気量が499cc(2994÷6=499cc
)が車名の由来であるらしい。開幕戦のアメリカ・セブリング1000マイルから快走を見せ、ポールポジション獲得という鮮烈なデビューを飾ると、決勝は3位でチェッカー。申し分のないポテンシャルを披露した。F1ファンにはお馴染みの真紅のカラーを多用した、いかにも”フェラーリ”マシンは、ル・マンでもファンを魅了するはずだ。参考までに、フェラーリが今年のル・マンを制した場合、1965年以来、58年ぶりの総合優勝が実現するという。
 

このほか、キャディラックの新規参戦もアメリカのル・マンファンにとってはうれしい限りだろうが、同じく”復帰組”のポルシェはスポーツカー誕生から75周年というアニバーサリー・イヤーを迎えることもあり、かつてル・マンで躍進していたスポーツカーのカラーリングへの”オマージュ”が施されている。来年にはランボルギーニとBMWの参戦、さらに現在LMP2クラス参戦中のアルピーヌの”ステップアップ”が決まっているハイパーカークラス。かつてLMP1クラスに欧州の自動車メーカーがガッツリと参戦していた時期があったように、新たなる”黄金期”再来は間違いないようだ。
 

日本人参戦は8名に

昨年、初ル・マンでいきなり優勝を遂げたNo.8 トヨタ・ガズー・レーシングの平川亮、さらにもはやル・マンでのベテラン選手となったNo.7 トヨタ・ガズー・レーシングの小林可夢偉を筆頭に、今年は合計8名の日本人選手がル・マンへ挑戦する。No.57 ケッセル・レーシングの木村武史、No.74 ケッセル・レーシングのケイ・コッツォリーノ、辻子依旦、横溝直輝のトリオ、No.777 Dステーション・レーシングの星野敏、藤井誠暢のうち、ル・マン初挑戦は2選手。それぞれ異なるカテゴリーでのパフォーマンスに期待したい。
 

ちなみに、公式車検の翌日、3時間x2セッションが行なわれたテストデーで速さを見せたのは、No.51 フェラーリ・AFコルセ。7日、水曜から始まった公式スケジュールでは、14:00〜17:00(日本時間21:00〜24:00)に1回目のフリープラクティスを実施。その後、ハイパーポール進出をかけた予選が19:00〜20:00(同・翌2:00〜3:00)を実施。そしてレースウィーク初となるナイトセッションとして、22:00〜24:00(同・翌5:00〜7:00)に2回目のフリープラクティスを行った。翌日8日(木)は、15:00〜18:00(同・22:00〜01:00)に3回目のフリープラクティス、そして各クラスの予選上位6台が出走し、決勝グリッドの順位を決めるハイパーポールが20:00〜20:30(同・翌03:00〜03:30)に開催され、その後は決勝に向けて最後のナイトセッションとなる4回目のフリープラクティスが22:00〜23:00(同・翌05:00〜06:00)に実施した。
 

そして、サーキットでの走行セッションが行なわれない9日(金)は、市内でのドライバーズパレードを実施する。記念大会とあって、今年はいつもより開始時間も早く、午後2時(同・19時)スタートとなっている。もうサーキットだけでなく、市街地も世界各国から訪れた熱心なファンで”興奮の坩堝”となっていることだろう。そして待ちに待った100周年、91回目のスタートは、10日(土)の午後4時(日本時間23時)に号砲。今回のウィナーには、100周年を記念したスペシャルデザインが施されたトロフィーが手渡される。イベント自体が特別感満載のル・マンだが、今回はよりいっそう高揚感高まる記念すべきレースとなるのは言うまでもない。
(TEXT : Motoko SHIMAMURA)
 

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・公開車検後の集合写真に収まる93、94号車プジョー・トタルエナジーズ(写真左)
・100周年イベントで公道を特別走行したNo.33 コルベット・レーシング(写真右)










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