このトヨタ・スープラは750馬力のV10エンジンを搭載している
フェラーリをスワップしたトヨタ86がワイルドだと思っていたら、このJuddエンジンを搭載したMkVスープラを見てみてもらいたい。
2017年には、ドリフトパーソナリティのRyan TuerckのGT4586をクローズアップしてご紹介した。このクルマは、一夜にしてインターネットのカースペースを占領した。そのプロジェクトとは、トヨタ86にフェラーリ458V-8を搭載したもので、ビデオクリップが公開されるたびに感嘆の声が上がっていた。「うまくいくのか」という疑問に答えた後、すぐに次の疑問が出てきた。「あんなにクレイジーなものを、どうやって超えることができるのか?」その答えは、今週のSEMAのMobil 1ブースにあった。
Tuerck氏のインスタや定期的に更新されるYouTubeを見ていなければ分からないかもしれないが、このMk5 Supraはかなり前から製作していた。また、フェラーリスワップをするのも面白かったかもしれなかったが、今回はもう少しモータースポーツに特化した内容になった。この新しい試みの心臓部は、Judd Power社のGV4 V-10だ。
Race Heritage
72度10気筒レーシングエンジンのオリジナルバージョンは、90年代初頭に登場し、ル・マン24時間レース、F1、インディ、CART、さらにはヒルクライム競技などで活躍してきた。4.0リッターのNAエンジンは、13:1の圧縮比を持ち、750馬力を発生し、11,000rpmまで余裕に回転させることができる。ミッションはホリンジャー・エンジニアリング社のFD6だ。
個々のスロットルボディが展示されているが、AEM社が開発したカスタムカーボンプレナムは、インダクションエリアを密閉し、10個のランナーに均等に空気を供給するためのコントロールを提供している。フィルタリングされた空気は、エンジンの寿命を延ばすのに役立つが、3〜5,000kmごとにエンジンを分解してリフレッシュする必要がある。
Less Is More
膨大なパワーが求められる現在の車業界では、「小さくて安価なエンジンでブーストすれば、より多くの馬力が得られる」という当たり前のことを言っています。しかし、Judd GV4は、モータースポーツを目的としており、その性能は実戦でこそ発揮されるものだ。
人によっては最大馬力がすべてだが、レースに使う人にとっては実戦的な能力の方がはるかに重要だ。そして、勝利することがまさに目標であり、パイロンの周りを滑るためのものではない。その成果がタイムアタックで発揮される。GT4586はデモカーのようなもので、競技用ではないが、このフォーミュラ・スープラはサーキット走行に特化している。
フロントからリヤまで、ボディの強化、ドライバーの保護、そしてサーキットでの機能性向上のために、様々なカスタムワークが施されている。もちろん、エンジンを車に搭載するには技術が必要で、エンジンプレートや関連する多くの付属部品はワンオフで作られた。大きな問題のひとつは、エンジンルームの側面をクリアできるヘッダーを作ることだった。icengineworksのモデリングシステムを使って、ランナーを1本1本丁寧にルーティングしてモデル化し、インコネルを使って切断・溶接した。
車のリヤにはファイヤーウォールを作り、トランクにはRadium Engineering社製の6ガロン・セルを確保した。下回りでは、リアエンドを簡単に取り外せるようにして、変更を迅速かつ効率的に行えるようにした。興味深いことに、Driveshaft Shopから提供されたカーボンファイバードライブシャフトがあり、そのドライブシャフトからオルタネーターを駆動するためのカスタムキットも作られている。
Against The Weave
このような珍しいパワーユニットを搭載しているため、外観も一新する必要があったが、これまでに何度も見てきたようなエアロチューンではなかった。代わりにHGKのSupra Jetエアロキットが空輸された。ドアとほぼすべてのパネルを含むマルチピースのカーボンファイバーベースのキットには、マットなクリアコートが吹き付けられ、生のカーボンが透けて見えるようになっているが、光沢はない。膨らんだリアクオーターパネルのすぐ下には、ヒートプレート付きのエキゾーストアウトレットがある。ブラックのセンターロック式RotiformホイールにNitto NT01を装着し、ダークなテーマをさらに強調している。 軽量のカーボンパーツの他にも、車重を下げるために車の一部を削っている。
室内にはカスタムロールケージが装着され、カーボンファイバーバックのRecaro P13シングルシート、Tiltonペダルボックス、OMPステアリングホイールが搭載されている。助手席の足元には、Petersen Fluid Systemsのオイルタンクが設置されており、ドライサンプオイルのセットアップが可能だ。
Built For Battle
前作のフェラーリを搭載したトヨタや、今回のJuddを搭載したスープラのようなワイルドなものを作って、それを展示するだけというのは犯罪だと思う。幸いなことに、Tuerck氏は自分で作った作品を積極的に運転することに専念しており、この車も競争する運命にある。