2020スープラは期待を裏切らないピュアスポーツカーだ 詳細ページ(15459) - イベント・レースレポート

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2020スープラは期待を裏切らないピュアスポーツカーだ




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BMWとのコラボでトヨタは歴代最高のドライバーズカーを生み出した。

 

2020スープラのチーフエンジニア多田哲哉は用心深い。電子アシストステアリングラックの範囲やエンジンの最大ブーストに関する質問は交わす。最大のベンチマークであるポルシェ718ケイマンSより早いかどうかも教えてくれない。そしてMkIVスープラがなくなって21年ぶりにトヨタのスポーツカーを復活したBMWとの関係を用心深く語る。
 

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しかし、これくらいの謎はどうでもいい。5世代目スープラは立派なスポーツカーなので安心してもらいたい。West Virginia 州Summit Point Motorsports Parkの Shenandoah Circuit で車を乗り、容赦なくサーキットで走りこみ、シャーシ、ブレーキ、パワートレインを限界まで使った。そこで分かったことは、開発段階で勝つべき人が勝ち、スポーツカーに対するトヨタの思いは本気だということだ。今回の記事にはハリウッド映画や、古いトヨタの直6の話は一切ない。
 

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賛否両論のパートナーシップ
 

スープラはデビューしてからBMW Z4と同じプラットフォームを共有することで「妥協した車だ」とネット族に言われてきた。スープラマニアはこのコラボに対して反発が強く、「マニュアルミッションのないスープラは本物のスープラではない!」そして「コラボされた車はバッジを変えたただの偽物だ!」と言われてきた。
 

彼達は100%間違っていたわけではない。スープラはBMWのエンジン、ミッション、ダンパー、ステアリングラックを Z4と共有しており、これを知るとどうしてもBMWが単にパーツをトヨタに提供したと見える。多田のストーリーは信じがたい。それでもBMWのB58 3リッターターボエンジンは335hpと365 lb-ftトルクを発生し、ZFの8速ミッションと組み合わせるとよくマッチングしている。多田によると直6はスープラに欠かせないアイテムで、トヨタがBMWを選んだ理由だという。(実は4気筒スープラも存在するため、何れは北米に来るかもしれない。)0-100%までロックを任意に調整できる電子制御LSDも利用している。あと、スープラはBMWのフロントストラットとリヤマルチリンクサスペンションを使っている。車作りでパートナーを選ぶのは人生パートナーを選ぶのと一緒だ。BMWよりひどいパートナーはいくらでもいたはずだ。
 

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ドライビングツール
 

現代スポーツカー基準から見ればスープラのスチールボディは古く感じる。視界も悪く、クーペの小さいリヤウィンドーからほとんど何も見えない。車線変更はミラー頼り。さらに、スープラのボディはトヨタ86より3インチもワイドでありながら、室内の肩幅はもっと少なく、狭く感じる。しかしこの妥協の中には繊細な目的があった。背の高いドライバーがヘルメットを被って乗ると、ルーフをかすかに擦るこの狭い室内はボディ剛性を優先にした結果だ。スープラの剛性はほとんどボディのフロアパネルから出ている。ワイドなサイドシルで乗り降りも大変だが、スープラは86より2倍以上のボディ剛性を現実させている。
 

そしてサーキットで剛性は大事だ。一回ハードブレーキングで縁石に乗り上げでしまい、スープラのフロントサスペンションが完全にストロークしてしまった。通常なら車の向きは変わってしまい、ホイールも曲がっていたはずだったが、アダプティブサスペンションがそのショックを吸収してくれ、衝撃の音だけで済んだ。タイトなコーナーでスープラは敏感に動き、ドライバーが選んだラインに向かって爆発的な勢いでコーナーを出て行く。量産車では一番短いホイールベース、ワイドなトレッドだと多田は言う。スープラの小型フレームの向きを変えるのに最適だと思う。
 

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コーナー出口から立ち上がる時のフラットなトルク感は非常によく、シフトアップではタイヤがグリップを探し、ホイールスピンが少し起きる。B58の 365 lb-ft トルクは1600 rpmで発生し、高すぎるギヤに入っていても勢いよく前に突き出してくれる。たまにアグレシブなダウンシフトをしてくれない時に役に立つ。エンジンは勢いよくイエローゾーンまで回転を上げていき、7000 rpmまで使えるパワーバンドをくれる。シフトアップは必要な時に起き、トルクもスムーズにタイヤまで伝わる。アクセルを離すとBMWらしいマフラー音が鳴り響く。
 

ステアリングフィールも最高だ:正確でちょうど良い重さだ。タイトなサーキットでもスープラの動きについていける。フェードを一度も見せなかったブレーキとのマッチングも良かった。しかしスープラのライバルである Porscheの Cayman SとBMWの M2にも同じ褒め言葉を与えている。スープラは彼達と比べなければ評価などできない。
 

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トヨタらしさを無くす
しかし、スープラの一番凄いことはドライビングダイナミックスのすごさではない。スタビリティコントロールでリスクを取らないトヨタからこの車が発売されたことかもしれない。ハンドリングアシストを消せばスープラはブレーキング中でも向きを変え、コーナーに向かって突っ込んで行く。パワースライドは、恋に落ちるペースと同じくらい早く、オフセットされたサイズのMichelin Pilot Super Sport のグリップ力は非常にわかりやすい。左足ブレーキを好むドライバーは、ラッキーな事にブレーキとスロットルのオーバーラップ(過去に話題になってしまった)は可能となっている。重要なのはドライバーに技術があれば、そのテクニックを発揮が出来るということだ。
 

スープラのドライブモードも簡単でわかりやすい。ノーマルとスポーツの2個だ。スポーツモードを選ぶとスロットル、ミッション、マフラー、ダンパー、デフはすべてスポーツ走行用のセッテイングに変わり、ドライバーの好きなようにカスタマイズできる。トラクションモードは中間スタビリティモードであり、制御を緩くするが、必要な時にアシストをくれる。そして数回使おうとしたが、一度しか作動してくれなかったローンチコントロールシステムもある。今回のドライブイベント後に自社のパフォーマンステストを行った結果、0-60mphタイムは3.8秒、コーナリングは1.07Gで70mphからのブレーキングは148フィートだった。
 

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内装ではドイツが感じられる。スープラのセカンダリーコントロール、シフターからインフォテーンメントシステムはみなれたBMW製だ。さらにシートは2個しかなく、カーゴエリアも小さい。スープラとしては初だ。本皮シートは3.0プレミアムモデルから導入。ベーススープラは $50,920からはじまり、パフォーマンス部品ではリヤの大型ブレーキ以外は全て装備している。大型リヤブレーキは$54,920 3.0 Premium と$56,180 Launch Editionで手に入る。販売は7月から。
 

スープラマニアが望んでいたピュアDNAでないかもしれないが、ドライバーに最高の走りを届けるマシンを作ることが一番重要だと思う。トヨタは今回まさにそれに成功した。
 

記事提供元:CAR AND DRIVER
https://www.caranddriver.com/reviews/a27440454/2020-toyota-supra-by-the-numbers/

 

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